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カカの天下  作者: ルシカ
757/917

カカの天下757「突発もしも物語、もしもカカたちが虫だったら」

 注:前回の虫キャストとは異なることもあります。どうかご了承ください。




 むかしむかし、である必要もないので、いつか適当な日のこと。あるところにクワガタとカブトムシの兄妹が仲良く暮らしていました。兄妹なのに虫の種類が違う? そんな意見は無視です。


「なんちゃってなんちゃって」


 いつもボケ役、クワガタカカ。


「なんでやねんなんでやねん」


 いつもツッコミ、カブトムシトメ。


「なんでなんでやねんばっかやねん」


「そっちこそなにがなんちゃってやねん」


「なにがもなにもボケやねん」


「なんでやねんなんでやねん」


 こんな感じでハサミと角、ボケとツッコミを突き合わせながら暮らしていました。


「お腹すいたねん」


「ここに蜜があるやねん」


「それだけで腹ふくれるんかいな」


「むしだからそのへんは無視するねん」


「そのボケはくだらなさすぎて無視でけへん」


 関西弁風味には意味はありません。単にノリです。


「蜜うまいねん」


「なんでやねん」


「なにがやねん」


「なんでこんなところに蜜があるねん」


 名前も知らないなんでもないような木に不自然に塗られた蜜。そう、これは人間が虫を捕まえるための罠だったのです!


「うあー」


「カブトムシトメ兄!!」


 クワガタカカの長ったらしい叫び声も空しく、カブトムシトメは人間の手に捕まってしまいました。


「くそー!」


 クワガタカカにもその手が伸びます、しかしハサミ攻撃でそれを撃退! クワガタカカは素早い動きで木の上へと逃げることに成功しました。


「カブトムシトメ兄……絶対に助けるからね! それにしても言いにくいなこの名前。略してカメ兄でいっか」


 こうして、クワガタカカがカメ兄を助け出すための旅が始まりました。


 この木なんの木気になる木を降り、進んでいくと……まず最初に、アリの群れに出会いました。わらわらと沢山いる黒アリたち。その群れを率いるのは最も黒い女王アリ、サエちゃんでした。


「ゴッキーじゃなかっただけマシかー」


 女王アリサエは唐突によくわからないことを言いました。


「アリサエとアジサイって似てるよね」


 クワガタカカの発言も負けてません。


「ねぇねぇアリサエちゃん。ちょっと聞きたいことが二つあるんだけどいいかい?」


「いーよー」


 とてもフレンドリーな女王様です。しかし何を企んでいるかはわかりません。なにせ黒いので。


「まず一つ目の質問……このアリの大群、なに?」


 女王アリサエを崇めるアリたちは、みんな口々に「サエ様サエ様」とか「踏まれたい踏まれたい」とか「サヤエンドウ」とか言いながら働いています。このアリたちは、一体?


「全部ゆーた」


 恐ろしい事実が発覚しました。でもなんかアリって力強いし働き者だし納得です。


「じゃあ二つ目の質問。カメ兄知らない?」


 重要なはずの質問なのにとてもフランクな聞き方です。


「あっち」


 それに負けないくらいの答えを返す女王アリサエちゃん。


「ありがと」


「いえいえー」


 童謡とかにありがちな理由のわからないほのぼの進行で、クワガタカカは先へ進みます。


 しばらく歩くと、今度はカマキリテンカに出会いました。


「こんにちは」


「おっす」


 なぜこんなに穏やかでのほほんとしているかは虫業界の謎です。


「カマキリテンカ先生はさ」


「なんで先生なんだよ」


「なんとなく。気にすんな」


 ハイ気にしません。


「で、カマキリテンカ先生は何してんの」


「あん? 歌って遊んでんだよ」


「お酒しか持ってないように見えるけど」


「っせぇな! 酔ったら歌うんだよ!!」


 確かに酔っ払いは歌います、ええ。


「さっきも歌いながら働き者のアリどもをバカにしてきたところだ」


「あの、さっきから思ってたんですけど、それってキリギリスの話じゃないんですか? あなたカマキリですよね」


「細けぇこたぁ気にすんな。似たようなもんだろ」


 昔、作者は区別がつかなかったので似たようなものと分類します。


「バッタみたいなやつとカマキリとは全然違うと思うけど」


「っせぇな、いつもボケたことばっか言ってるくせに、んなとこだけマジメになんな」


「それもそだね。ところで話は変わるけど、カメ兄知らない?」


「あっち」


 この世界の虫はとてもモノ知りです。


 酒瓶で指された方角へ進んでいくと、今度は二匹のセミに出会いました。


「セミのタケダだ!」


「セミのシューです!」


 知っていますか? セミというのは成虫してから七日間で死んでしまうんです。


「ついに俺たちは地上へと出てきた!」


「さぁ、今から七日間! 短い人生ですが、弾けますよー!!」


 しかしこのセミたちはなぜか七秒で死にます。


「え、ちょ、なんで!?」


「待っ――」


 ハイ死にました。命、弾けましたかね? 知ったこっちゃありませんが、死んだセミの二匹がダイイングメッセージっぽく進むべき方向を指してくれたので、クワガタカカはちゃんと先へ進むことができました。


 次に出会ったのは、かたつむりニシカワ。


「あっち」


「聞く前に答えたよこの人」


 マイペースにのろのろ進む彼は、なんか楽しそうです。


 ともあれ、特にボケどころもツッコミどころもなかったので先に進んだクワガタカカは……ついに、カメが捕まっている虫カゴへと辿りつきました。こんな案内で本当に辿り着くから物語ってすごいですよね。


「カメ兄!」 


 すっかりカブトムシのイメージは消えてカメの姿しか浮かばなくなった彼を捕まえていたのは――なんと伝説の虫でした。


 そう。恋の虫、サユカン。


「あぁ、トメさん! その角、ステキです! その黒い色、ステキです! その甲羅、ステキです!」


 若干おかしな点も混じってますが、とにかく彼女はカメに夢中のようです。


「待っててカメ兄、今助けるからね!!」


 クワガタカカは勇ましく恋の虫へと飛び掛りました!


 そしたら目測を誤りました!


 そのまま虫カゴへ入ってしまいました!


 こうして、兄妹は虫カゴの中でサユカンに飼われ、幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし……




 とは書いたものの、実は続きが!?

 次回、虫カゴに囚われた彼女たちをアリの大群が救う!

 いつ書くかは未定! 本当に書くかも未定!

 見たいか? もし見たいなら感想に要望を書くがいい!


 さて、いつぞや書いた虫物語を実際に形にしてみました。いかがだったでしょうかね。個人的にはセミあたりが最高なんですけど。

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