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カカの天下  作者: ルシカ
756/917

カカの天下756「部員だぞ、がんばれタケダ」

「ただいまより! タケダ隊員の入部試験を行います!!」


 わーぱちぱちぱちー、とささやかな声援を受ける私はカカその人であります。拍手してくれているのはもちろん親友のサエちゃんサユカン。そして私の宣言を聞いて唖然としているのは――タケダ!


「あ、あのう、カカ君?」


「なんだねタケダ隊員! 質問を許可する!」


「入部も何も……俺はすでに、この手芸部へ入っているのではなかったのか?」


 そう、ここは手芸部。そして今はクラブ活動時間中なのだ。


「質問に答えよう。確かに先日、部員が足りなくて廃部の危機に立たされた私たちは、仕方なくタケダ隊員に声をかけた。しかし! それはあくまで数合わせ! 私はまだ、おまえを部員として認めてはいないのだ!!」


「そんな無茶な!!」


 ふ、部長のやることは絶対だ。


「あれっ。でもカカすけってば、最近タケダはあんまり嫌じゃないからまぁいいやー、って言ってなかったっけっ」


「野暮だなーサユカちゃん。こんなのただの暇つぶしに決まってるじゃないのー」


「そっか、理由はどうでもいいのねっ」


 そうとも言う。だってクラブ活動って言ってもあんまし目標とかないし。


「さぁタケダ隊員、試験だ!!」


「ぬぅ! これもカカ君に認められるための、男の試練! やろうではないか!」


 威勢はいいね。だが私の試験は甘くないぞ。


「試験内容! 私のボケにツッコみ続けてなさい!」


 どよめく部員一同、とはいっても私以外は三人しかいないけど。テンカ顧問は相変わらず来ていない。きっとどこかで酒でも飲んでるんだろう。


「れ、レベルが高いな。しかしふと思ったのだが」


「なんだねタケダ隊員」


「部員ではなくて隊員なのはなんでだ」


「そういう細かいところはツッコまなくてよろしい」


 ひそひそと「理不尽ねっ」とか「そこがこの試験の面白いとこなんだよー、多分」とか聞こえるけど、無視!


「さぁタケダ、行くよ!」


「来い!!」


「とぉ」


 とりあえず殴った。タケダは吹っ飛んだ。


「ふぁふぃふぉふふー!?」


「何を言ってるのかわからん。失格!!」


「罰ゲームとして一枚脱げー」


「ちょ、サエすけやめなさいっ! そんな汚いもの見たくないわっ!」


「やめやめやめぇい!! はぁ……はぁ……い、痛すぎて、あと顔が歪みすぎて喋れなかった」


 んなおおげさな。


「そ、それでなカカ君。これのどこがボケなのだ?」


「そんなの自分で考えろ」


 理不尽だ……理不尽すぎる……そう慄くサエちゃんサユカン。そんな感じでツッコめばいいだけなのにねぇ。


「さぁ、次の問題いくよ!」


「ふ、不安だが……来い!」


 もっかい殴った。もっかい吹っ飛んだ。


「ふぁふぁふぁほ!!」


「あーダメダメ。またかよ!? ってツッコまなきゃ」


「け、けほ、けほ……づ、づっごんだづもりが、けほ!! 言葉にならなかったのだ!」


「じゃあ失格」


 鬼と呼びたきゃ呼ぶがいい。なにせバケモノの妹だぞ私は。


「失格だからもう一枚脱がすよー」


「きゃーっ! ちかーんっ! あ、これってこうやって脱がすのね」


「しっかり見てるじゃないかサユカ君!! ええい、も、もう一度だ!」


「よーし」


「腕は振りかぶるな!!」


 ちっ。


「じゃあボケるよ。ボケ、それは私にとって息をするより自然なこと」


「え、えっと――」


「私の脳内にはでゅみゅみゅみゅう大魔王が住んでいて常にリンボーダンスをしていてその横にはマイケルとジョーイが常におならをこいている」


「あ、あの?」


「三人は常に仲良しいつもいつも笑っているにゃははははーと可愛く笑っているキモいキモい明らかに異常、だからこそ私の行動も異常となるだからどうした何が悪い」


「え――」


「でゅみゅみゅみゅう!!」


「あ――」


「ボケみゅみゅみゅう!!」


「あぅ……」


 タケダは膝をついた。


「わからない……どうツッコめばいいのか全くわからない……なんなのだこの世界は……」


「はい失格。全部脱がそー」


「うああああああぁやめろサエ君!!」


「きゃー! 猥褻物陳列罪よっ!!」


 うーん、適当に思いついたことを朗読しただけなんだけどなぁ。




 その後。


 こんなものにツッコめるはずがないだろう! と憤慨するタケダを引きつれ、部員みんなで我が家に戻ってきた。


 そして……やがてトメ兄が帰ってくる。さぁ、これがお手本だ。


 トメ兄にてくてくと近づき。


「おう、カカ、どした」 


 私は前触れもなくこう言った。


「ボケ、それは私にとって息をするより自然なこと」


「じゃあとりあえず息すんな」


「私の脳内にはでゅみゅみゅみゅう大魔王が住んでいて常にリンボーダンスをしていてその横にはマイケルとジョーイが常におならをこいている」


「うるさい黙れ」


「三人は常に仲良しいつもいつも笑っているにゃははははーと可愛く笑っているキモいキモい明らかに異常、だからこそ私の行動も異常となるだからどうした何が悪い」


「おまえの頭が悪いんだと思う」


「でゅみゅみゅみゅう!!」


「黙れ」


「ボケみゅみゅみゅう!!」


「はいはい、ツッコみゅみゅう」


 どうだ、この見事な切り返し! ちょっと泣きたくなるくらいに即答だぞ! しかもツッコみゅみゅうとか予想外なお茶目を返してくれるおまけつきだ!


「ま、負けた……」


「タケダ君がんばー。さぁ今度はどこを脱ごうか」


「トメさんステキ……」


「なぁおまえら。よくわからんが、夕飯一緒に食ってくか?」


 わーい、みんなでご飯だ。クラブ活動って楽しいなぁ。


 ……え、手芸部ですが、なにか?




 前にいただいたリクエストで、カカにツッコミをする試験はどうだろう、というものがありました。

 まぁユカさんの入門試験のときにいただいたのですが、こっちで使わせていただきました^^


 なんだかんだで手芸部は多芸部ですよね。

 あとタケダ、せっかく九位になったのに扱いはそのままでごめんね。形だけ謝っておく。



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