表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
748/917

カカの天下748「ダメな二人」

「ふぁー」


 むくり、とベッドから体を起こします。


「……にゅー」


 サエです。


 と、思いました? 残念でしたー。その母サカイです。


「……くぁ」


 も一度あくび。はい、寝起きです。自室です。目を開けます。すると最初に見えた顔は、愛しの娘サエ……ではなく。


「おはようございます、ご主人様」


 野太い声、無駄におっきい体。なぜかスーツを着てるけど、どこからどう見てもゆーたです。


「目を覚まされたところで、本日の予定をお伝えいたします」


 ぼけーっと見つめる私の視線にも構わず、ゆーたは胸から出した手帳を読み上げました。


「まず起床後にサエ様との朝食があります。続きまして二度寝。起床後に昼食がありまして、さらに昼寝。15時からはおやつの時間となり、またもや惰眠。夕食をサエ様と過ごされた後は、もーそろそろ永眠してしまえ、と以上になっております」


「……永眠?」


「はい」


「……抱き枕は、サエでしょうね?」


「もちろんです」


「ならよし」


 サエと一緒に永遠に……ふにゃふにゃむにゅむにゅ……ふへへ……


 ん?


「……あれー。ゆーた、おはよー」


「おはようございます。ちゃんと起きましたか?」


「はいー。なんだか寝ぼけて変なこと言った気がするんですけど」


「はて? いつも通りでしたが」


 そっかー。


「ところでー、なんで私の部屋にいるの?」


「忍び込みました」


「目的はー?」


「なんとなく執事をしたかったんで」


「かといって、勝手に女性の部屋へ入るのはどうかと思うんですけど」


「ご心配なく。賞味期限切れに用はありません」


「死ね」


「冗談です、お許しください。許せないのなら踏んでください」


「踏むのめんどい」


「おお、踏んでくれないとはなんとひどい仕打ちでしょう!」


 むー、目をこすりこすり……まだ眠い。眠いけど、ゆーたに聞いておくことがあったような……あー、そうだー。


「ゆーた、前に私が言ったことは調べてくれたー?」


「はい。報告はまとめてあります」


「それで、どうだった?」


「は、警察はもちろん、機動隊から探偵、裏ルートの情報屋まで使って調べさせましたが……結果は、わからず」


 そっかー、そこまでしてもわからないかー。


「一体、どういうことなんでしょうねー」


 え、今の会話がどういうことかって? それはですねー、話はかなーり前まで遡るのですが……


 あるとき、トメさんに怒られたことがあるのです。私が趣味と実益を兼ねてサエにえっちなことを吹き込んでいたとき、「それはイロイロ危ないから止めろ」と。サエがこれ以上可愛いくなってしまったら世界に狙われてしまうというその意見に私は賛成し、サエにえっちな情報がいかないように細心の注意を払ってきました。


 しかし。だがしかーし! 


 サエはどこからか新たな情報を得ていたのです! 先日、サユカちゃんの誕生日の衣装を悩んでいたときに「えっちなスクール水着とかどうだろー」とかぼやいていたのを、確かに聞いたのですから! 普通に考えて子供が自分でスクール水着をえっちに見るなんてありえない! 本を読んだか動画を見たか知りませんが、そういった情報をどこからか入手したはずなのです!


 だから私はその情報ルートを潰すため、急いでゆーたに調べさせたのですが……


「動物部隊にも手伝っていただきましたが、何も情報はないと……なぁ、総理大臣、官房長官」


 いつの間にかゆーたの横に整列していた二匹の猫が「にゃ」と頷きました。


「えーと、ゆーた、この子たちの言葉がわかるの?」


「同じ飯を食った同胞でありますから」


「食ったんだー」


「食わせたのはあなたでしょうに」


「まさか本当に食べるとはー」


「命令されれば従う。それが下僕クオリティ!」


 そっかー、下僕をなめてたー。じゃ今度はもっとすごいことさせよ。


「それにしても、本当にどこから情報が漏れてるのかしらー」


「……ご主人様」


「なにゆーた。改まって」


「一つ、わたくしめに推測が」


「なに、情報ルートを掴んだのー!?」


「ご主人様のベッドの下を見たのでは?」


「あうち!」


 そこは気づかなかったー!! そっかー! 私のベッドの下はそんじょそこらの男性に負けないくらいのワンダーランド……私の留守中にサエがこのパンドラの箱を開けてしまっていたとしたら――いやあぁー!! やめてー!! この箱の最後に残っているのは希望じゃないのよ、なんだかもっとこう、いやらしい望みなのよー!!


「決まりですね」


「ううー、サエがー、サエが汚れるー」


「心配ありません、おそらく深くまでは見ていないでしょう。本当に深くまで見ていたらサエ様の人格が変わるか、もしくはご主人の人格が疑われます。その場所はそれくらいカオスです。そうなっていないなら、まだ浅いはず」


「そ、そっかぁー」


「というわけで、サエ様が道を踏み外す前に全部捨ててください」


「無理」


「ええ!? さ、サエ様のためなら捨てるべきではないですか!?」


「か、隠し場所を変えればいいんだもん!」


「それではまた見つかってしまいます! 大事なサエ様のため、ここは思い切って――」


「じゃーあなたは自分のベッドの下にあるものを捨てられるの!?」


「無理」


「でしょー!」


「不覚……思わず即答してしまうほどの問題だったとは! 仕方ありません、どうやっても見つからない場所に隠すしかないようですな!」


 あそこだ、ここがいい、それよりもあの場所が――ゆーたと真剣に隠し場所を話しあっていると、総理大臣と官房長官が呆れた感じに「にゃ」と鳴きました。


「ゆーた、二匹はなんて言ってるのー?」


「このダメ人間め、だそうです」


 私とゆーたは「あはは」「うふふ」と笑い、同時に言いました。


『そんなに褒めるなよー』


 本当にダメだこいつら……猫ちゃんたちがそう思ったのはまず間違いないでしょう。


 だって仕方ないでしょー。人間だものー。




 はい、ダメな二人の話をお送りしました。なんか生々しい話題ですが、カカ天はわりとリアリティを追求していますのでご容赦を。

 まぁ、「人気投票までこの二人影薄かったし出番あげよー」と思って書いた結果がこんなんなっちゃったわけですけど^^;


 ……さて、ここでお知らせ。

 誠に勝手なのですが、ちょっとGWはいっそがしいためカカ天を一回休ませていただきます。

 五月五日辺りにカカたちのGWの様子を載せれればいいなーって感じです。なのでまだキャラ人気投票していない人はGW中にお願いしますね^^


 あと! わざわざ私の誕生日にメッセージをくれた方々、ほんっとーにありがとうございます! こっちではあんまり言ってなかったのに祝っていただけて、嬉しすぎて半ば感激しています笑


 私も25歳になりました……まだまだイロイロと頑張っていかなきゃなぁ。ではでは、またこれからもよろしくお願いします^^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ