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カカの天下  作者: ルシカ
743/917

カカの天下743「さーて今年の手芸部は?」

 今日も今日とて楽しい学校! さらに楽しいクラブ活動! うきうきカカです!


「さぁ、今日の手芸部の議題は!?」


「新入部員についてだよー」


「そっか! 新しく五年生になった子がクラブに入るから、うちにもくるのねっ!」


 それは何とも楽しみな話題! 


「よう」


 あ、顧問のテンカ先生が家庭科室に入ってきた! 


「こんにちはー、顧問のわりには年に三回くらいしかクラブ活動の時間に顔を出さないテンカせんせー」


「……随分なご挨拶だな、サエ」


「それで、そんな先生失格の先生(仮)もしくは先生(偽)はたまた先生(詐欺)やっぱり先生でゅみゅみゅうが、どうしてここにっ!」


「なんでテメェら今日はそんなに容赦ねぇんだよ」


 ほら、久々のクラブ活動でテンション上がってるんだよ。


「……こねーよ」


「テンカ先生の嫁がですかー?」


「あぁ、たしかにこないのもわかるわっ!」


「違う!!」


「え、きたんですかー? 嫁が」


「おめでとうございますっ! まさかトメさんじゃないでしょうねっ!!」


「あーもーうっせぇ!!」


 すごいなぁ二人とも。私が口を挟めない勢いだ。


 この私が口を挟めない? そんなことはあってはならない。私だって二人に負けていられない! なんとかして口を挟まないと!!


「はさみ!!」


 なんかみんな黙った。


「……よぅカカ。はさみがどうした」


「知らん」


「オイ」


 だって知らんもんは知らん。ハサミはまぁ家庭科室なんで裁ちバサミがいっぱいあるけど……あ。


「テンカ先生の目つきがハサミみたいだなぁと」


「オレはどんな目をしてんだよ……」


「そうよカカすけっ! それを言うならカミソリのような目よっ!」


「違うよー。包丁みたいな目だよー」


「いいえっ、むしろ鉈みたいな目ねっ!」


「いやいやー、日本刀のような目だよー。名刀鬼殺し」


「それお酒の名前だよサエちゃん。いっそギロチンのような目にしとこうよ」


「てめぇら……目にモノ見せてくれようか!?」


「わ、どんなモノの目を見せてくれんの?」


「すまん。ワケわかんねぇ」


 私もわかんねぇ。


「あーくそ、とにかく!!」 


「うわ、関西大震災みたいな目だ!!」


「ほんとワケわかんねぇよ!! いいから聞けよ!」


 ごめんねテンカ先生。なにしろテンション高くて。 


「新入部員の話だ!」


 おお! 五年生のクラブ希望調査が終わったのかな! わくわく!


「うちに入りたい人はどれだけいたんですかー?」


「手芸部は地味だから、せいぜい2、3人ってとこじゃないかしらっ!」


「最初に『こねーよ』って言ったろ? 答えは0だ」 


 あんだってぇ?


「え、なんで0。ありえないでしょ」


「テンカ先生が顧問と聞いて、みんな怯えてるんじゃー」


「きっとそうよっ! だって絶対いるはずだもの、こう、面倒くさいからあんまり何もしないでよさそうな手芸部に入りたい生徒とかっ!」


 私たちの抗議を聞いたテンカ先生は、なんだか哀れそうに深々とため息を吐きながら応えてくれた。


「オレもよ、何人か誘ってみたんだよ。一応は顧問だからさ。そしたら」


 そしたら?


「みんな……先輩についていけない、ってよ」


「それクラブに入ってから言うセリフでしょ!?」


 なんで入る前から諦めてるの!


「てめぇらには悪いが自業自得だな。数々の伝説を作り出す手芸部、どうやらその敷居は果てしなく高いようだぞ」


 え、私ら何かやったっけ?


「三人とも、わかってねぇようだな。手芸部の伝説その一、運動会を卑猥な言葉で台無しにした」


 そ、そこまでやったっけ? わりとウケたし大成功だったような。


「伝説その二、独創性豊かな芸術を駆使してお見合いを壊した」


 ま、間違ってはいないけど、そんなの伝説になるほどじゃ――


「千件以上も」


 そんなにしてないよ!? そんだけやったら確かに伝説だけど!


「伝説その三、漫才大会で優勝」


 それ手芸部と関係――なくもない!? そういや人形とか使ってた!!


「彼らは揃って言った。『とてもマネできない』と」


 え。えっとぉ。


「ま、マネできなくてもいいんだけど」


「オレもそれを言った。そしたら彼らは再び揃って言った。『とても信じられない』と」


 どうしよう。挙げられた伝説の数々は明らかに手芸部と違う活動のはずなのに……否定できない。だって少し絡んでるし、全部事実だし。


「そしてオレは言った。『それもそっか』と」


「もうちょっと粘ろうよ!?」


「そうは言うがな、一般生徒に『漫才大会で優勝しろ』なんつーのは、いくらなんでも無茶だぞ」


「そもそも手芸部がソレをやるのが無茶なんですけどー」


「だって去年やったじゃん」


 何も言い返せねー。


「ま、新入りは諦めるんだな。どうせ手芸部なんざ無くなる予定だったんだし。最後に伝説作ったからもういいじゃねぇか」


 それは……そうだけどさぁ……


「あー、そうそう。今年から部員は五人必要になったぞ。本当に最後にしたくないならもう一人頑張れ。じゃないと存続できねぇぞ。んじゃ」


『え!?』


 言うだけ言って去っていくテンカ先生……じゃ、じゃあクララちゃんの幽霊部員を足しても一人足りない! どこかからもう一人引っ張ってこないと、手芸部解散!?


 大ぴーんち!!




 また一日遅れてしまった……最近の私はたるんでいる!(お腹が、じゃないよ


 なんか不甲斐なくてムカつくんでちょっと連続投稿してみます。

 

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