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カカの天下  作者: ルシカ
741/917

カカの天下741「お花見大会(いつもとちょっと違う)」

「ささ、ユカさん! こっちに来たまえ!」


「あ、カカちゃん。そんなに引っ張らないで……」


「ほーほー、これが元彼女さんの顔かー」


「こらサエすけ、そんなにジーッと見ちゃ失礼でしょっ!」


「でもトメお兄さんの元彼女だよー? つまりこの顔はトメお兄さん好みなわけでー」


「なんですってっ!? じいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


「サユカン見すぎ」


「元彼女さんっ! その顔になるコツはなんですかっ!?」


「む、無茶言うわね、この子。それにワタシは元彼女って名前じゃなくて」


「おっけ。じゃ略して元女ね」


「カカちゃん!? なんだかそれ、ワタシがもう女じゃないみたいなんだけど!」


「こらこら子供たちー。新入りさんをいじくり回すのもいいけどー、ちゃんと座らせてあげないとー。ねぇ、元彼女さん?」


「サカイちゃんの言う通りだよ。元彼女さんにもあたしが調達してきた酒を飲んでもらわねば!」


「なぁなぁ、あんた飲めんのか? 元彼女よぅ。オレの酒が飲めるのか?」


「……あ、あの、ワタシ、だから、名前……」


「ふー……痛かったけど僕復活っと。しかしユカのおとなしい顔は久々に見るなぁ。さっきのが嘘みたいだ。借りてきた猫みたいにおとなしくしちゃって」


「元女はトメ兄の横ね」


「ちょっ!! なんであなたが隣なのよ! 気分が悪いわ。あーあー気分が悪いわ。どれくらい悪いかというと、朝目が覚めたら自分がゴキブリになっていたーってくらいに気分が悪いわ!」


「なぜ君は僕を目の前にしたときだけベラボウに強気になるのかね!?」


「おお、おもしれぇ。いい酒の肴になりそうじゃねぇか」


「テンちゃん、まま、一杯」


「おう、さんきゅー姐さん。サカイさんは何してんだ?」


「サエの隠し撮りを」


「ああ、いつものこったな。お? 元彼女がまた三角定規をトメに刺し始めたぞ」


「絶景だわ」


「えっほえっほ……うう、飲み物を運んでいるうちにトメさんが元彼女と何やらいい雰囲気に……私ってば最近、空気じゃないかしら」


「殺伐とした雰囲気に見えますがねぇ」


「あ、キリヤさん」


「しかしあれがツンデレというやつでしょう。あそこまでハッキリしたのは初めて見ました」


「なるほど、あれが! や、やっぱり内心はトメさんのこと好きだったりするんでしょうか!」


「そうだとは思いますけど、そうでもないと思いますよ」


「……キリヤさん、何か知ってます?」


「色々と知ってますよ。例えば美味しいお客の作り方とか」


「おお! それは興味深々です! 同じフリーター仲間としてぜひ!」


「よろしい、ならば語りましょう。私も一度あなたとバイト談義をしたかったのです」


「わーい!」


「ところでフリーターなあなたに聞きます。今日はフーちゃんとリーちゃんとターちゃん、どれがいいですか?」


「私の名前はサラですってば!」


「おほほ、みんな賑やかでいいですねぇ」


「お母、じゃなくて校長! 校長も楽しむです!」


「楽しんでますよ。私はこうして桜を見ながら、愉快な皆さんと食事して、それだけで充分に満たされています。主にお腹が」


「たしかに校長は玉子焼きを食べすぎです!」


「おほほ、次はたまごサンドにいきましょう」


「たまご好きですね!」


「うー? よびました?」


「あ、タマ! タマも大好きですよ!」


「タマタマがすきなのですか?」


「繋げたら危険な単語になってしまいました! クララしょっくです!」


「タマタマもしょっくです?」


「タマタマにショックを与えるだと!? な、なんと痛そうな会話をしているのだ君達は!」


「あ、肉ばっかり食べてるゆーたです」


「はっはっは。このパワフルなボディを保つためには酒と肉が不可欠なのだよ」


「でもポヨポヨなとこも多いですよ」


「ふ、そこが俺のチャームポイントだ」


「ゆーたぽよぽよー。ねね、だっこー」


「よしきた! おりゃ抱っこだー! タマちゃんの心はこれでゲット! ふっふっふ、我ながら腹黒い主人に仕えるだけはある。この作戦とは、優しいお兄さんを演出する流れでサエ様をノリで抱っこしてしまおうという計画なのだ。さぁサエ様、感想は!?」


「どう見ても誘拐犯」


「ゆーたしょっくです!!」


「なんかゆーた見てたら肉団子食べたくなってきた。どこだ肉団子! あ、トメ兄の目の前にある。うおおおお!」


「――あーあーわかったわ! トメのトは唐変木のトで、メはメイドのメだったのね!」


「唐変木なメイドとか僕はナニモノなんですか――って、カカ? なんでこっちへ飛び掛って」


「その肉団子をよこせー!!」


「わ、わたしもトメさんに抱っこしてもらうっ!」


「サユカちゃんって結構、他人の話を聞いてないよねー。まーいいや、私もー。とーう」


「なんで皆して僕に飛びかかってくるんだ!?」


「どうぞ召し上がれ」


「ユカさんあなた随分とうまいこと言いますね!? うああああ」


「あははー、なんだかトメさんを中心にして肉団子ができちゃいましたねー。んぐんぐ、おしゃけおいしー」


「んぐんぐ……かなり見苦しい団子だけどな」


「肉団子だと!? あたしきゅぴーん!」


「姐さん。随分と瞳を輝かせてるが、食うなよ。食人はさすがにバケモノの域を超えてっから」


「おほほ、この隙にお弁当の肉団子はすべてわたくしが」


「こ、校長はえぇです!?」


「おお、見てくださいフーちゃんリーちゃんターちゃん。あの最小限の動きで素早く動く校長を。あの体捌き、まるで混雑した居酒屋を駆け抜けるスーパーホールバイトのようではないですか!?」


「面倒くさいからって名前を全部混ぜられたのは不満ですけど、確かにあれは理想の動き! 私も精進せねば……いやまぁ最近はあまり飲食店のバイトしてないんですけど」


「もうすぐゴールデンなウィークでかき入れ時ですから、また『病院』に呼ばれますよ」


「そのときはお願いします。あ、校長先生! そこの肉団子を全部食べて満足げな先生! その動きはどこで身につけたんですか!?」


「おほほ、サバンナの樹海よ」


『レベル高いし』


「……肉団子は食べれなかったけど、楽しかったからいいや」


「そこな妹、僕の腹の上に仁王立ちするのがそんなに楽しいか」


「トメお兄さんってけっこー腹筋ありますねー。硬い硬い」


「こ、こら触るな。力が抜ける!」


「い、一度やってみたかったんですけど、その……お箸でお料理摘まんで……と、トメさん、食べてください。あーん」


「サユカちゃん!? ちょっと状況わかってます!? 唐突すぎません!? 僕ってば今仰向けに倒れててカカが乗ってて動けないんですけど!」


「え、ええとっ! は、はは、恥ずかしいけど、その、あ、あああ、あーんっ!」


「聞いちゃいねぇ! あああしかもなんでチョイスした料理がおでんなの!? 汁っ気たっぷりの大根なのーって熱っ!! 汁が垂れてきて熱っ! ってそんな僕の叫びも聞いてないんですよねわかります! っていうかお弁当におでんってどうなのさトウジてんちょ――」


「あっはっは! 弟君もいい悲鳴をあげるねぇ……む? そういえばシューはどこいった」


「シュー君でしたら、私が戯れに連れてきた動物軍団に引き摺られてどっかいきましたよー」


「あいつはいっつも喋る機会っつーもんがねぇなぁ」


「ま、あんなのはどうでもいいわさ。ところでそこの元彼女」


「……はぁ。名前に関してはもう諦めました」


「ちょいとこっちに来なさいな。過去の義妹候補ちゃん、少し喋ってみたいのよ」


「え、えと」


「あっはっは! 怯えてんぞ姐さん! 大丈夫だって、別に根性焼きとかしねぇから!」


「根性焼きってどの食べ物ですかー?」


「サカイさんって意外と食い意地張ってんのな」


「お、お邪魔します」


「おーよくきたよくきた。おねーちゃんの横に座りな。よしよし、ほれ一杯」


「ど、どうも」


「ほんと大人しいな、トメ相手だとあんなにパワフルなのによ」


「ふふふー、これがツンデレの『デレ』の部分なのですよー」


「どこら辺がデレてんだ?」


「わかった! お腹の辺りだ! えい」


「ちょ! おねーさん!? 摘ままないでください!」


「おー元気になってきた。さすがは姐さん! 遠慮がない! デリカシーもない! 常識もない!」 


「おぅよ! それがあたしだ文句あっか!?」


『ないでーす』


「てわけでユカちゃんが元気になってきたとこで、もっかいかんぱーい!!」


『かんぱああああい!!』


「はぁ……はぁ……」


「あ、トメがくたばってます」


「クララちゃんか……楽しんでるか?」


「それはもう!」


「ならよかった……しっかしこれ、お花見って言うのかな? 誰も花を見てないような」


「そんなことありませんよ」


「そうか? いやまぁ、確かにたまに見上げてるけど」


「それでいいんです。お花と一緒にいるのがお花見ですから」


「そう、なのか? てっきりお花を見るのがお花見かと」


「いいえ」


「へぇ?」


「お花がみんなを見るのが、お花見かもしれませんよ」


「……それは思いつかなかった」


「ふふ、クララ頭いいです! あ、またカカたちが何かやってます! クララ混ざってきます!」


「うん、いっといで」


「いきます! うりゃー!」


「わ、クララちゃん?」


「クララちゃんも芸やるのー?」


「よ、よかった……クララちゃん、わたしの代わりに芸やってっ! 二人が無理やり何かさせようとしてくるのよっ!」


「わっかりました! 必殺……桜吹雪!」


「うわー! 桜の雨だー!」


「あそこの枝の花だけすごい勢いで散ってるー」


「しまったです! あそこだけハゲました!」


「……今の、どうやったんだろ。手も触れずに桜の花が……まぁ、いいか。僕らを見てた桜が気をきかせたのかもしれないし」


「クサいですね、トメ君」


「そんな恥ずかしいトメさんもステキだと思います。ぷふー」


「仲いいなぁフリーターコンビこの野郎」


『かんぱーい!』


「なんだ唐突に……まぁいいか、乾杯! はぁ」


「どうしました、ため息なんかついて」


「いや……こりゃ当分、宴会は終わらないなーと思ってさ」


「当たり前です! 今日は飲みますよ!」


「フーちゃんは皿で日本酒飲むらしいですよ」


「だからサラだって言ってるでしょう!」


「はい、だから皿です」


「そーおーじゃーなーくーてー!」


「やれやれ……桜の木さんや、騒がしくてごめんねぇ。もうちょっとだけ我慢してくれ。それで……まぁ、あんたも楽しんでくれたら幸いだ」


「はい! わかりました!」


「なんでクララちゃんが返事すんのさ」


「秘密です!!」 


「そか」


「おうトメ、オレの酒を飲め!!」


「はいはい……ったく、いつになったら終わるのやら」




 いつもとちょっと違う書き方でお送りしましたお花見、いかがでしたでしょうか。

 完全セリフオンリー。これはこれで宴会の雑多な感じが出て、書いてて面白かったです。校長つえぇ。


 さて、お花見も終わり、しばらくは普通のお話に戻るかと。まぁカカラジが迫ってるんですが、果たして結果は!? まだまだ投票待ってます^^

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