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カカの天下  作者: ルシカ
731/917

カカの天下731「練習だってさ、がんばれタケダ」

 トメです。


 今夜はなにやら妹交代ということで、カカに代わってサエちゃんとサユカちゃんがお泊りにきています。


「お、お兄様!」


「トメにいたまー」


「……なに、それ」


「お兄ちゃん、という呼び方は違和感があるみたいでしたので、呼び方を変えてみましたー」


 確かにさっき思ったけど……それ、口に出してないよな?


「心を読むな。兄呼ばわり自体が違和感あるんじゃい!」


「私はいつもトメお兄さんって呼んでますよー?」


「で、でも私としては兄じゃないほうがいいですっ! そのほうが結婚できますし!」


「おめでとー、サユカお義姉ちゃん」


「あぁ、義妹よっ!!」


「いいから風呂入ってこい!!」


 わーわーキャーキャー言いながら散っていく二人。まったく、ある意味カカより騒がしいわ……


「トメさんっ! 覗かないでくださいねっ!」


「絶対に覗いてくださいねー」


「はよ入れ!!」


 あー疲れる。


 ……今頃、カカは何してんのかなぁ。




 ――そのころのカカとタケダ。


「こ、このたびは俺の家に来てくださりありがとう!! どうぞ遠慮なく夕飯も食べていってくれ!」


「ん、ありがと。それはいただくけど、今日は私の言うことに全て従うように」


「な、なにをさせられるのだ!?」


「いいからつべこべ言わずに従え。まずは夕飯を出せ」


「か、かしこまりました!!」


「……息子は愉快な友達を連れてきたなぁ」


「父上! ヘルプ!」


「ヤ」




 再びトメです。


 お風呂上りの二人に『なんで覗いてくれないんですか!?』とステレオで責められ(サユカちゃんは風呂に入っている間に懐柔されたらしい)、「そんなモン覗いて何になる」と答え、『ネタになる!』と返されて、あぁやっぱりこの二人はカカの親友だなぁなんて再確認しつつ、今度は僕がお風呂に入る番となりました。


「ふぃー……」


 湯船でゆったりまったり中。


 そこへ、


「ハレンチな妹とうじょー! さぁ行くんだーサユカちゃん!」


「さ、サエすけ! 本当に行くの? うぅ……もうヤケよっ! お兄ちゃん、お背中流しますっ!」


 甘い。


「あ、あれ。なんか開かないわよっ」


 お風呂場の扉は内側からアレをコレしてどうにかしてロックしてある。


「むむー、こうなったら衣服に悪戯をー、って、あれー?」


 さらに甘い。衣服も風呂場に持ち込んである。防水のためスーパーの袋に詰めてな。もちろんタオルもだ。これなら着衣を済ませて風呂場から出れる。


「なんでそこまでするんですかっ!!」


 悪戯好きなお子様とは付き合いが長いものでね。はー、いいお湯。


「むー、こうなったらお風呂場の電灯を消してやります」


「おい待てそんな地味な嫌がらせ――」


 パチン。


 真っ暗。


 ……地味に迷惑だ、これ。


「サエすけっ! これは愛のない嫌がらせよっ!」


「そっかー。じゃーちゅけよー」


「……ちゅけよ?」


「……かんだー」


 とにかく結局、電灯は点いた。




 ――そのころのカカとタケダ。


「お風呂……覗かれた……」


「ふっふっふ」


「写真まで……撮られた……」


「ふっふっふっふ」


「もうお嫁にいけない!!」


「うっさい、男のくせにちっさいこと言うな」


 もちろん覗かれたのはタケダのほうである。


「さぁ、言うことを聞け!」 




 三度、トメです。


「お風呂上りのお菓子に、チョコはいかがですかー?」


「お、珍しい形のチョコだな」


「サエすけ、わざわざ持ってきたの?」


 小さな箱に入ったチョコを差し出され、とりあえず僕は一つ摘まんで、


「ほれ」


 笑顔なサエちゃんの口へ放り込んだ。


 サエちゃんは笑顔でペッ! と吐き出す……かと思いきや、


「ありがほうごわいわふー」


 特に動揺した様子もなくそのまま口の中で転がした。なんだ、てっきり風呂場の雪辱戦に何か仕掛けてきたのかと思ったんだけど、普通のか。


「わたしもっ! わたしもアーン!!」


 別にそういうつもりでやったんじゃないけど、まぁいいか。嬉しそうに口を開けるサユカちゃんの姿に苦笑しながらも、僕はそこ目がけてチョコを放り投げるのだった。




 ――そのころのカカとタケダ。


「さぁ、鳴け!」


「モォォォォォォォォ!!」


「叫べ!!」


「なんじゃこりゃあああああああ!!」


「……タケダ!」


「イェス・マム!!」


「おまえはなんだ!?」


「でゅみゅみゅみゅうであります!」


「おまえの人生とは!?」


「でゅみゅみゅみゅうであります!」


「おまえの父親は!?」


「もうすぐでゅみゅみゅみゅうであります!」


「おまえの母親は!?」


「旅行中であります!!」


「おまえが今すべきことはなんだ!?」


「大佐に従うことであります!」


「NO! NO! NO! 違うでしょ違うでしょぅそうじゃないでしょソレじゃないでしょ全然これっぽちも正解じゃないでしょう? 練習は中断! お仕置き!」


「でゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅ――」




 今ごろカカは何してるんだろう……おそらく変なことになってるんだろうなーなんて確信しながら考えつつ、


「はろほろひれはりぇーあははー」


 この子をどうしよっかなーなんて思ってる、四度トメです。


「トメさん……どうしましょうっ」


「うーん」


 サユカちゃんと二人して頭を抱える。視線はサエちゃんに。


「とめおにーひゃーん……ひくっ」


 そう、なんかベロンベロンのサエちゃんに向けられている。


「多分、僕たちを酔わすつもりだったんだろうな」


 先ほど食べたチョコ。それにはブランデーが入っていた。よくある話ではあるけど、そのチョコに含まれていたアルコール度数は予想以上に高いものだったのだ。


 そして悲しいかな、皆で仲良く食べているときに真っ先に酔っ払って「ふにゃあああーん」とか叫び出したのは首謀者サエちゃん。この中で一番アルコールに弱かったらしい、なんて子供相手に言うのもどうかと思うが。


「サユカちゃんは平気?」


「何個も食べましたけど、ちょっと体が温かいだけですっ! もしかしてわたし、トメさんと一緒に飲みにいけるかもっ!?」


 それ僕が捕まるから止めて。


「にゃふー、とめおにーひゃん、だっこー」


 フラフラと立ち上がったサエちゃんは、そのまま危うい足つきで僕へ向かってダイブ――


「阻止っ!!」


 しようとしたところをサユカちゃんが身体でブロックした!


「ふははっ! わたしの目の前でトメさんとイチャつかせるわけないでしょうっ!」


「にゃー、じゃサユカちゃんだっこー」


 バスケのディフェンスよろしく密着していたサエちゃんは、そのままサユカちゃんにひっついた。


「ちょ、ちょっとサエすけっ!? ひゃぃっ? まって、ほっぺた舐めないでっ!」


「ぺーろぺーろちゅっちゅーぺーろちゅっちゅー」


「ひぃやあああああああっ! トメさん助けてっ!」


 た、助けるって言ってもな。引き剥がせばいいのか?


「トメひゃんも、なめゆー?」


 悪寒がしたので全力で回れ右。


「さーてと、寝床を用意するかな」


「と、トメさぁぁぁぁぁぁんっ! ひぅ? ちょ、そこはくすぐった、あん! あぁんっ」


「聞こえない聞こえない。カカのベッドそのまま使えばいいよなー。とすると枕をもう一つ用意すればいいわけだ。枕、枕、っと」


 あの二人の寝床が一緒なのは言うまでもない。


 今夜は楽しんでくださいませ。




 ――そのころのインドちゃん。


「あ、メルちゃんから返信だ。えっと? 『今夜は練習のおかげで寝られないんだよ。でも私は負けない! 一晩でモノにしてみせる!』って、何をモノにするのかな」


 モノにされるのはタケダ……かどうかは定かではない。


「さっき私が送った質問の答えは……あ、最後にあった。なになに? 『今日の夕飯は焼き魚の鯖だった』かぁ。おかしいなぁ。なんとなくメルちゃんちの夕飯はカレーのような気がしたんだけどなぁ」


 前話でもいいましたが、インドちゃんに特別な力はありませんのであしからず!!


 ……たぶん!!




 ――そして、あわただしい一日が終わる。




 久々にがんばれタケダ話!

 とかいいつつメインはトメ家サイドのダブル妹にゃんにゃんだったりカカの暴走だったり。まぁ細かいこと気にしないのがカカ天ですしタケダの扱いなんて所詮はそんなもんです。

 ま、好きな子と一晩過ごしたんだから、その幸せに見合う分だけ不幸になってもイイよね♪


 あと、お気づきの方もいるかもですが。

 先日、見事トップに輝いた名セリフを最近は特盛りにしています。あくまでトップ記念ですので、期間限定の多用ですのであしからず。

 あと、今回の話はいくつかのリクエストが重なってます。細かく紹介はしませんけど、ヤッタね(いろんな意味で)! また感想いただけると嬉しいです^^


 ではでは、展開速いですけどそろそろお楽しみ会ですよー。


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