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カカの天下  作者: ルシカ
73/917

カカの天下73「エイプリル?」

「今日は嘘つきの日だ」


「……んあ?」


「嘘つかないと舌抜かれるんだよ」


「はぁ」


「てわけでお膳立てはしといた。朝食はできてるよ。さらば」


 ……おはようございます、トメです。


 なにやら起きると目の前に姉がいて、言うだけ言って去っていきました。なんだあれは。


「いいや。起きよ」


 のそのそと居間に向かいながら、そういや今日って四月一日だっけ……ということをぼんやり思い出した。


「トメ兄、おはよ」


「おう、おはよ」


 朝から晩まで同じテンションの妹カカと挨拶。


「あ、カカ。朝食もうできてるらしいぞ」


「わ、ほんと?」


 カカはよほどお腹が減っていたのか居間へ小走り。この妹は朝からがっつり食べる派だから毎朝準備が面倒なんだよね。姉もたまにはいいことをする。


「……トメ兄」


「どした、なんか何とも言えない顔して」


「これ、テーブルの上にあった」


 差し出されたのは一枚の紙。


『朝食はいただいた! by姉』


 前言撤回、姉はいつも通りろくなことをしない。


「朝食あるって言ったのに……うそつき」


 ああ、そういうことか。


「あ、そうだ。確か台所の戸棚に買っておいたパンがあったはず」


「じゃ、それで」


 カカはまたまた小走りで台所に向かっていった。


 ……そして再び一枚の紙を持ってきた。


『おやつはいただいた! byカツコ』


 カツコって誰だ?


 ……?


 ……えと。


 ……えっと。


 …………?


 あ、姉の名前だ! 本気で忘れてた。


「うそつきぃ」


「僕は悪くないぞ」


 そのとき、ピンポーン! というベルと共に「カカちゃーん」とサエちゃんの声が聞こえてきた。


「お」


 カカはその声を聞いた瞬間、耳を小動物のように耳をぴくりと動かすと猛ダッシュで玄関に向かっていった。おー、朝食よりもやっぱサエちゃんのほうが優先順位高いんだなー。


 僕もサエちゃんの顔でも見ようかと、のろのろ玄関へ向かう。


 するとそこには立ち尽くすカカ。


 そして一枚の紙。


『サエちゃんはいただいた!!! by姉様』


 そしてもう一枚の紙。


『追伸 うへへ』


 なんだ、このムカつく紙は。


「か、カカ」


 俯いてるカカの顔を覗き込むと、


「……人の女に手を出すたぁ、ふてぇ野郎だ」


 なんかすごい顔になってた。


「祭りだよ……血祭りだよ」


「ちょ、怖いから怖いから!! こらこら俯いたままどこからともなく木刀出すな!! これは冗談だって、嘘だって! だって今日はエイプリルフールなんだから!」


「トメ兄、何言ってんの」


「え、何って」


「今日は四月二日だよ」


「え」


 そういえば、そうだったっけ?


 ……あ、昨日エイプリルフールっぽいことなかったから勘違いしてた!


「あんの姉、普通に嘘つきやがったな、日とか関係なく……」


「血祭りだ……」


「血祭るか……あの姉」


 合唱。


「「こーろせー、こーろせ、たーっぷり、こーろせ♪」」


 そして合掌。




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