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カカの天下  作者: ルシカ
727/917

カカの天下727「ねーよ」

 こんばんは、カカです。


 もうすぐ夕飯の時間、なのにトメ兄は帰ってきません。先ほど届いた携帯メールによると、残業により遅れるそうです。


 でも私はそんなにお腹が空いてません。余裕があります。トメ兄を待っていられます。ここは――余裕のあるうちに夕飯の用意をして、トメ兄をびっくりさせてあげるべきでしょう!


 そんなわけで、私はまず献立を考えることにしました。


「んー、何が食べたいかなぁ? ご飯はいっぱいあったよね、たしか。じゃ、ご飯に合うもの……」


 鶏の唐揚げ。これしかない!


「よし、メインは決まった。次は材料だね」


 鶏の唐揚げに必要なもの……揚げるってことは、あぶらがいるよね。


「アブラカタブラ!」


 言ってみただけ。


「こういうのは台所にあると思うから……鶏がいるね」


 そんなわけで私は外出することにしました。


 玄関を出て、鍵を閉めて、道路へ出て……五分も歩かないうちに目的地に到着します。


 ピンポーンと呼び鈴を鳴らしてしばらく。


「あらあらー、カカちゃんじゃないですかー」


 でっかい家の主、サカイさんが顔を出しました。


「サエはまだ帰ってないですよー?」


「知ってます」


 さっきまで遊んでたからね。


「今頃は埋まってるはずですし」


「埋まってる!? サエが!! こうしちゃいられません」


「あ、間違えました。埋めてるとこです」


 サユカンを。


「ならいいわー」


 いいんだ。


「それで、サエに用事がないなら私に用事かなー?」


「はい。鶏をください」


 あれ、なんで黙るのサカイさん。


「……あのー? カカちゃん、うちに鶏はいませんよー?」


「え、豚も牛も山羊までいるのに、なんで鶏がないの?」


「うちは肉屋じゃないですしー」


「知らなかった」


「知っとけー」


 お、サカイさんにツッコまれるとは思わなかった。本人も珍しいことして小気味いいのか「うふふー」と笑ってる。


「ま、無いならいいや。今度は仕入れといてね」


「だからー」


 適当に流してサカイさんと別れる。さて、どうしたものか。他にあるかなぁ、食材を調達できるとこ。うちの近くで……あ、セイジ食堂! きっと材料あまってるよね。


 えっと、裏に回って……懐かしいなぁ。この辺りに捨てられた総理大臣のダンボールを置いてたんだよね。そしてこの扉の向こうが食材置き場――そういや私もひどいことしたな。食材置き場のまん前に総理大臣を置いたんだから。どうぞ食べてくださいと言っているとしか思えな――


「…………!」


 絶句した。


 扉を開けて勝手に進入した食材置き場。並ぶ大型冷蔵庫&冷凍庫の前には、まだ収納していないらしい食材の詰まったダンボール箱が並んでいる。


 そのダンボールに囲まれるようにして、猫がびっしりと詰まっていた。本物の猫だ、なんだかお行儀よく座って整列してる!


「ま、まさか……」


 これも、食材!? なんということだろう、この猫たちは揃いも揃って食べられるのを順番待ちしているのだ。なんてこと……こんなに可愛い猫ちゃんたちが食べられるなんて、あってはならない! ちょっと味見したいけど!


 ここは一発、前のように書いておかないと。えっと、ペン、ペン……あ、でっかいホワイトボードがあるからすぐに見つかった。よーし、ちょうど猫ちゃんたちの背後にあるし、このホワイトボードに書いてやれ。


 『食べないでください』っと。これでよし。


「わ、誰か来る」


 逃げろ逃げろ!




「――というわけで家に逃げ帰ってきたというわけさ」


「ほほう。それで?」


 なんだかんだやってるうちに帰ってきてしまったトメ兄に、私は先ほどの出来事を語っていた。


「結果として唐揚げは作れませんでしたとさ」


「……なぁ、なんで商店街に行かなかったんだ?」


「面倒だったから」


「これから夕飯を作るのは?」


「トメ兄」


「……面倒」


「許さん」


「エー」

 

「さっさと作れ」


「……そもそも唐揚げの材料だって、元々うちの冷蔵庫にあったのに……なぁカカ、おまえうちの食料状況を把握してないな?」


「してるよ」


「ならうちに何の食べ物があるか言ってみろ」


「アブラカタブラ」


「ねーよ」




 一方。セイジ食堂のセイジは。


「さーて夜の仕込み前に納品物の整理……うお!? まーた猫の集会か。最近は総理大臣がいなくなったんだから場所変えりゃいいのに……あぁくそ、またホワイトボードで爪研ぎやがって! これじゃ書いてあった文字が読めないじゃ――あぁん?」


 セイジは眉をひそめた。


 ホワイトボードには、まるで猫の大群の総意とばかりに文字が書かれていた。


 爪を研がれたために書かれていた文字は濁点に傷がついてしまい、はっきりと読めたのは三文字だけ。


 それはまるで漫画の吹き出し。だから猫の大群が声を揃えてこう言っている気がした。

 

『食べて』


 猫の大群が一斉にセイジを見る。


「ねーよ」


 猫の大群は一斉に首を傾げた。




 ふっつーの話を書きたい。

 というわけで普通の話を書きました。

 

 多分普通。おそらく普通。結局は猫食べてないし普通に違いない。


 しかし気づけばもう三月も終わり……ようやく温かくなってきたところですな。私は花粉症でうぎゃあです。

 うぎゃあ。



 あーそうそう。どうやら小説家になろうのサイトの作品数が四万を越えたようで。あと色々と決まったようなのでおめでとうございます!

 ってここで言っても仕方ないかもしれないけど、他にいう場所もないので……笑

 ずっと使わせていただいている身として、心からお祝い申し上げます^^

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