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カカの天下  作者: ルシカ
723/917

カカの天下723「最近の日々の詰め合わせ、に」

 やぁやぁ皆の衆。我輩が教頭である。


「むぐむぐ」


「……なぁ教頭」


「なんだ、バレンタインにチョコをくれなかったテンカ君」


「まだ根に持ってんのかよ、っつうかオレがやんなくてもいいだろが。毎日毎日朝昼晩と職員室でチョコ食うほど余ってんだから」


「たわけ。チョコはあればあるほどいいのだ」


「そのうち身体がデストロイすんぞ」


「好きなものを食べていて身体が壊れるはずはない」


「おいそこの間違った教育者」


「たしかに身体の栄養は偏るだろう。しかし心の栄養は完璧だ! 病は気から、心から! 心が完璧に満たされているなら身体は勝手についてくる!」


「実は教頭ってバカなんじゃないだろうか」


「なにか言ったかね?」


「いや……そのチョコの山、全部生徒からもらったのか?」


「いいや、半分は自分で買った」


「やっぱバカだこいつ」


「なんだ、バレンタインは安値でいろんなチョコが楽しめるのだぞ?」


「はいはい……」


「はいは一回」


「へぇへぇ」


「へぇならよし」


「いいんだ!?」


 私はこのようにチョコにまみれて幸せな日々を送っている。




 サカイです。


「三月だというのに最近はまだまだ寒いですねー。でも私には温かい味方がいますー」


 ぶもー、ぶひー、めー、にゃーわんという優しい声。そう、私には人肌ならぬ牛肌と豚肌と山羊肌と犬肌と猫肌があるのですよー。温かいわー。そして牛肌と豚肌ってどことなく美味しそうだわー。


「ただいまー」


 あぁ、サエが帰ってきたわ!


 やっぱり愛する娘の人肌が一番温かいのよねー!


「サエー!! おかえ――」


「お母さん、臭い」


 ※動物と触れ合うときは匂いに気をつけましょう。


「うぅぅー……一番温かいはずの人の言葉が一番冷たいー……」


「お母さん、お風呂入りなさい」


「……一緒に」


「はいはい、一緒に入ってあげるからー」


「やほーい!」


 でもやっぱり温かい娘と触れ合いながら、私は日々を過ごしてます。




 ゆーたです。


「なんまいだーなんまいだー!」


 今日も今日とてチョコを拝みます。そう、ミエ様とサエ様からバレンタインにいただいたチョコです!!


「ありがたやありがたや……」


 もちろん仏壇に飾って毎日土下座して、お二人のお気持ちを感謝しながら日々を過ごしています。


 父上、母上……ゆーたは幸せモノです。


 はて? どこからか「その父上と母上は不幸だろうな」と聞こえたような。


 気のせいだな。俺の仕送りと週一の近況報告電話は完璧だ。両親は幸せに違いない。




 テンだ。


「……なぁ、ニシアヤ」


「ちょっとテンカ先生! さも私とニッシーがセットみたいな言い方やめてくださいよ!」


「いいじゃんアヤ坊。セットのほうが安いんだぞ?」


「誰が何を買うのよ!?」


「今日スーパーでお刺身セットを」


「あんたの夕飯なんか知らないわよ! ……ちなみにいくら?」


「480円」


「やすーい!」


 ……この夫婦も漫才が板についてきたな。


「んでよ、ちょっと聞きたいんだが」


「そのスーパーの場所ですか? それはいくら先生相手にでも教えられません」


「教えなさいよそのくらい!」


「いや、そんなもんは激しくどうでもいい。おまえらよ、仲いいよな?」


「なにせセットで480円ですから」


「それ私たちの話じゃないでしょ!?」


「あーいいからいいから。んでよ、おまえらこれから先も一緒にいると思うか?」


「は?」


 訝しい顔をするアヤ。そうだよな……なんかなぁ、最近あったトメのいざこざ見て色々と考えちまったんだよな。いくら仲良くなっても離れるし、また一緒になることもあるし……身近なやつらはどうなのかなーなんて。


「一緒だと思いますよ」


「……西見」


「今日は西狩です」


「ニシカリ、ずいぶんとハッキリ言うじゃねぇか。横でアヤが顔をトマトみたいにしながら喜んでっぞ」


「よ、喜んでなんかないもん!」


「そうです先生。アヤ坊はトマトが嫌いなんです」


「てめぇも相当わけわからんやつだな」


 オレの周りにゃマイペースなやつらしかいねぇのか?


「んで話を戻すが。ニシカリはなんでそう思うんだ?」


「根拠なんかありません」


「……ほう?」


「根拠などは後から考えるものだ、と言ってた人がいましたから」


 なるほど。要はうだうだ考えてると大事なものを見失うってことかな。いいこと言うじゃねぇか。


「誰の言葉だ?」


「今は亡きタケダの」


「あぁ……タケダか……」


 どこ行ったのかなぁ、あいつ。


 などと感傷に浸りながら日々を過ごすオレでしたとさ。




 ユカです。


「あら? どうしたのサワサカのおじいちゃん」


「暇での」


「はぁ。ワタシのところなんか来て暇つぶしすることがあるかしら?」


「うむ思ったのだが。ユカの『ワタシ』というイントネーションは独特じゃの」


「そう? なんだか向こうにいた時に友達のが移ったのよね」


「何度も言ってみぃ」


「ワタシワタシワタシ」


「どう聞いてもタワシにしか聞こえんわぃ」


「出ていけ♪」


 こうやってワタシは、まだ病室を宿にして過ごしています。ここにいる理由は特にないんだけど……なんとなく、ね。




「クララです!」


「タマです!」


「クラです!」


「タです!」


「クラす!」


「タす!」


「クラ!」


「タ!」


「ク!」


「!」


 クララたちは日々こうやって遊んでいます。


「つ、ついていけない……」


『誰ですおまえは!?』


「シューです!! ちょっと出てなかったからって忘れないでくださいよ!?」


 知らない人には気をつけましょう。




 セイジだ。


「よう兄貴。三月の季節限定メニュー、なにかないか?」


「ふむ、最近は春がちけぇってのに寒いしな。いっそ冬の定番を出してみるのはどうだ」


「冬の……そういえば大晦日に寒い中で食った石焼いもがうまかったな」


「馬鹿野郎! この街でうかつにソレを言うんじゃねぇ!」


「は!? わ、悪かった兄貴……そう、だよな。この街にゃヤツがいる」


「そうだ、ソレに関するネタがあればどこだろうと現れる、伝説の双子妖怪……」


「お、恐ろしいぜ。特に恐ろしいのは『妖怪』という日本的な種族のくせに外国っぽい名前ってところだ」


「一体どうなってんだかさっぱりわからねぇ。恐ろしすぎて寒気がするぜ……は!?」


 そのとき、俺たちが居た部屋の扉が開いた!!


「妖怪か!?」


「野郎、三枚に下ろしてやるぜ!!」


「やめろトウジ! ヤツらには刃物も銃も効かねぇ!」


「……何を騒いでるんだい、馬鹿ども」


 ああ、なんだ姉貴だったか。


「ふう、俺ぁてっきりHAHAHA! とか笑う妖怪かと」


「おぅ、妖怪違いだったな」


「違ぇねぇ」


 そして俺たちは、完全に妖怪(みたいな顔)と化した姉貴に(主に包丁と鍋で)料理されそうになったところを命からがら逃げ出し、逃亡生活を送ることになるのだった。


 三時間くらい。




 ユイナです。


「今日も来たよ、マイハニー!」


「ああ、パパ君! 会いたかった」


「俺もだよ!」


「さぁ今日も食べていって♪」


 幸せそうだったパパ君の顔が歪みます。それも仕方ないでしょう、パパ君はバレンタインから毎日毎日ここへチョコを食べに来ているのですから。


「……まだなくならんのか」


「もうちょっとだよ。それにしても逆チョコって嬉しいけど、ちょっと困るね」


 そう、私からのチョコじゃないのです。それは小さいのをとっくに渡して食べてもらいました。今パパ君頑張ってもらっているのは……バレンタインに日本全国から私へ届けられた逆チョコの山!


「そんな無理して全部食べなくてもいいのではないか?」


「ダメだよ。せっかく皆が心をこめて送ってくれたんだから。全部自分で食べるの」


「……俺が食べるのはいいのか?」


「パパ君は私の分身みたいなものだから、いいの」


 あ、パパ君の顔まで甘くとろけた。ちょっとうざい。正直、甘いものはお腹いっぱいだから。


「さすがに毎日食べてれば減ってきたが……ホワイトデーはどうするつもりだ」


「もちろん全部お返しするよ」


「ほう、偉い! さすが我が妻!」


「えへへ」


 だって優秀なサンタさんが届けてくれるはずだもの。私は用意すればいいだけ。


「よーし、パパ今日はいつもよりいっぱい食べちゃうぞー」


「きゃー、かっこいい!」


 でも今は言わないの。甘い時間に水を差すことないものね。


「はぐはぐはぐはぐ!」


 こうして私たちは、チョコを消費しながら日々を過ごしています。




 ほのぼのーっとした感じのをいっぱい詰め込んでみました。トメカカがないのは仕様です。過去編で出番たくさんあったしね。


 次はホワイトデーですね。そしてカカラジ……時が経つのは早いもんです。というわけで投稿とか好きなセリフ投票とか、まだ受け付けてますのでよろしく^^

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