カカの天下706「カカ天クエスト Ep12」
注意:このお話はカカ達がゲームのキャラになりきりながらRPGを進める話
です。話の内容はゲームの中ですが、『もしもカカ達が異世界にいたら』みたい
な感覚でお楽しみください。
ステータス
カカ ボケ勇者 レベル1 へん
サエ 悪の魔法使い レベル1 はらぐろ
サユカ 手の平の踊り子 レベル1 さびしんぼう エロレベル3
トメ ツッコミ レベル1 つっこみ ドリル
ケロリン スライム レベル25 おっさんくさい ???
相も変わらずレベル1のまま、無事に『とにかく水』を手に入れた勇者一行。慎重に慎重に魔物から逃げまくりながら、なんとか村まで戻ってきました。
「や、疲れたね」
「うん、疲れたねー。歩くのに」
「ほんと、歩くのに疲れたわっ!」
カカたちのHPは減っていない!
「さて、早速ケロリンを生き返らせに行きましょっ!」
「教会は……」
「カカちゃん、そっちじゃなくて、こっちー」
「ああ、リサイクルショップだったっけ」
少女移動中……
「いらっしゃいませー」
「あ、どうも。持ってきたよ、『多分忘れられてる洗剤』と『水ならなんでもいいんでしょ』ってやつ」
「だんだんアイテム名が投げやりになったきたわね……」
「でも否定できないよー」
「……はい、確かに。ご苦労様です。それでは作業に移らせていただきますので、取りにいきましょう」
「は? 取りに?」
「はい、こちらへどうぞ」
少女移動中……あ、この店員さん少女じゃない。
「誰がおばさんだってぇ!?」
怒れるおばさんのこうげきが異次元を超える!!
KYシステムに3543のダメージ。
システムの処置により、『おばさん』のグラフィックが『お姉さん』を通りこして『少女』に変化した。
「ふう、それでは行きましょう」
「おばさん、怖い……」
「しっ! 殺られるわよカカすけ」
今度こそ少女移動中……
「さ、ここです」
「ゴミ捨て場じゃないの!?」
「だって臭いんですもの」
「あなた鼻がないんじゃなかったっけー?」
「だって汚いんですもの」
死んだスライムは腐敗するだけの産業廃棄物に過ぎない。ゴミ捨て場へ置きたくなるのも無理からぬことだろう。
「えっと……あったあった」
キタナイモノの山の一角から店員少女はカンオケをちゃんと掘り当てた。
「こんなところに置いといて大丈夫だったの?」
「はい、この世界には『ゴミ収集車』なんかありませんから。持ってかれる心配なんかありませんよ」
よくよく見れば、ゴミ捨て場は狭くない。ゴミ山と呼んでも過言ではないくらい大量のガラクタが延々と連なっているのだ。ちなみに鉈とかは落ちていない。
「なんだか魔物が出てこないのが不思議なくらい物々しい場所だねー」
KYシステムが作動し、ゴミ山をダンジョン認定に――
「しなくていい!!」
――しなかった。ちなみに今のは店員少女の声である。NPC怖い。
「さ、戻りましょうか……あら、このカンオケ、こんなに重たかったかしら」
少女+生ゴミ移動中……
「はい、それではこれからスライムのリサイクルを開始します」
店員少女は身も蓋もない呪文を唱えた。
ケロリンが生き返った!
「ケロリン! 久しぶ……り……?」
「無事に生き返ったわね――無事っ!?」
「なんかー……」
三人は唖然としている。
「ふぅ、久々に吸う娑婆の空気はうめぇぜ。おう? どうしたてめーら。俺様に会えて嬉しくねーのか」
「嬉しい、けどさ」
「ケロリン……なんか」
「黒いよー?」
そう、ケロリンは変色していた。
とあるRPGによくあるスライムの青色とは違い、黒――いや、黒っぽい、けど別の濁った色も所々に混じっているような……言ってみればとてもキタナイ色をしていた。
「これは一体」
カカが疑問を口にしようとした、そのとき!
「大変じゃー!! 魔物が攻めてきたのじゃー!」
「なんですって!? ここは勇者の出番ね!」「そーだそーだ働け勇者!」「俺たちからぶん取った分だけでも働けぇ!!」「むしろ死んで、お詫びにうちから取ってったもん返せぇ!!」「てか、なんか臭くね?」と、いつかのような展開になってきた。
「なんていいタイミング! さすがはRPGだね」
お褒めに預かり光栄です。
「ここはやっぱりケロリンの出番でしょー」
「さぁ、久々に復活した君の力を見せてちょうだいっ!」
「ったく、相変わらず他力本願なやつらだぜ……ま、俺様としても病み上がりの準備運動になるからいいけどな!」
一行は外へ出た。
すぐさま走ってたどり着いたのは村の入り口。向かってくるは魔物の群れ。
「よし、行けケロリン!」
「おうよ!!」
ケロリンは激しい炎を吐き出した!!
――いや、違う。
激しいゴミを吐き出した!!
魔物Aへと金タライが3個ふりそそぐ。178のダメージ! 魔物Aを倒した。
魔物Bへと腐った冷蔵庫がふりそそぐ。225のダメージ! 魔物Bを倒した。
魔物Cへと生ゴミがふりそそぐ。精神的に210のダメージ! 魔物Cを倒した。
魔物D〜Zへと『混ぜるな危険』印のゴミが一斉にふりそそいで全部混ざった。なんかもう全部死んだ。
「な、なにこの威力……!」
「そもそもなんなのよこの技っ!」
「あ! カカちゃん、サユカちゃん、これを見てー!!」
ステータス表。
ケロリン レベル30。
「30!? なんで、どうして! ただ死んでただけのはずなのに」
「いつの間にレベルアップをっ!」
「……そうかー、わかったかもしれない」
「どういうこと? サエちゃん」
「スライムって、産業廃棄物なんだよね? 産業廃棄物って、とどのつまるところゴミだよねー。死んだスライムは特に。そんなゴミと化したケロリンが今まで安置されていた場所は?」
「ご、ゴミ捨て場……」
「そう、ケロリンはゴミ捨て場というキタナイ場所に放置されることによって、様々な汚物を吸収して、よりゴミとして熟成され、成長したんだよー! ゴミとして!」
「そうか! だからゴミレベルが上がって、より一層強いゴミになったのか!」
「というか危険なゴミになった感じよねっ!」
「おい、てめーら。そんなに褒めるなよ」
改めて強力な味方を得て、盛り上がる一行!
「さぁ、次の町を目指すわよっ!」
「魔物なんか怖くないね」
「いざ、新しい場所へー!」
意気揚々と出発しようとした、そのとき!
一行の前に新たな敵が立ち塞がる!
「勇者様……」
村長があらわれた!
村長のこうげき!?
妙な臭いが辺りを包み込む……
「くさっ!! うぇ、何この臭い!」
「村長さんから匂ってくるのっ!?」
「村長……もう歳だし、半分くらい身体が死んで腐ってるんじゃー」
「違うわ!! あれの臭いじゃ!!」
村長が指差す先、そこには――先ほどケロリンが吐き出した大量のゴミ、汚物の山があった。異臭はそこが発生源だったのだ。
「このままでは、村が異臭で滅びてしまう……なんとかしてください勇者様!」
「え……っと……」
「ところで、この臭いを消すには『消臭剤』というアイテムが必要なのじゃが」
「また探せっての!?」
「いいかげん次の街に行かせてよっ!!」
「ここもう飽きたー」
「ちっ、俺様のせいだってのか……?」
問題解決かと思えば新たなトラブル!? これもRPGっぽいけど同じ場所にずっといると飽きるから、さっさと次のとこへ行ってほしい……次回、『なんだかんだで新天地!? サユカちゃんイェイ』をお楽しみに!
気づいた人はいたでしょうか。ケロリンが死んでから徐々に、前書きに書かれていたレベルが上がっていたことに。私の大好きな小細工です。
さて。今も東京、携帯で更新しています。感想まで携帯で返信するとなると時間が足りないので保留してますが……読みました、ええ。なんかもう「なんだコレ」としか言いようがないカオスっぷり。普通の感想は普通にめっちゃ嬉しいけど、一部! 帰ってからどう返信すればいいのかカナリ悩みどころです。
ま、まぁ帰るのは明日だし……それまでは忘れとこ、うん。