表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
698/917

カカの天下698「ちっちゃいことに気がつくでっかいの」

 こんにちは、サエですー。


 もうすぐお母さんがおうちに帰ってくる時間。でも少し残業するとのメールがあったので、まだしばらくヒマなのです。


「動物園でも見てこよーっと」


 もちろん一般の動物園まで足を伸ばすわけではありません。我が家の一角にある動物小屋を見に行くということです。猫とか犬とか牛とか豚とか山羊とかが住んでまして、たまに私の部屋とかに来るものの、基本はそこにいます。


「やっほー、げんきー?」


 キャンキャン鳴くラスカルは元気そう。


 ニャンニャン聞こえないからお偉いキャッツは出かけてそう。


 ブーブーモーモーは美味しそう。


 山羊さんズはここに慣れてきたのか意外と元気そう。


 ゆーたは「くくく」と笑ってなんだか楽しそう。


 ……今、変なもの見たぞう?


「あれ、ゆーたって家畜の仲間だっけー?」


「同じようなものです! さぁ犬とでも豚とでも蔑んでください!」


「じゃドッグフードか藁食べて」


「それだけはご勘弁を!! 健全に美味しいものを食べるのが人生で二番目の楽しみなのです!!」


 だろうねー。だからそんなに身体おっきいんだろうし。


「それは勘弁してあげるけど、どうしてここにいるの? 本当に犬畜生に成り下がったのなら保健所いきなよー」


「さ、サエ様……! そこは嘘でも『それなら飼ってあげるよ?』とか言ってくださらないものか!?」


「それなら飼ってあげるよ? 嘘だけど」


「うぅ……! サエ様、たくましくなられて……! 悲しいやら嬉しいやら」


「胸がいっぱい?」


「胸はおっぱいです! 間違えてはなりません! けっして!!」


「ご、ごめんなさいー……なんでそんな必死なの?」


「おっぱいですから!!」


 よくわかんないけど、とってもゆーたっぽい。


「まーいいや。せっかくだし、お話相手になってよ」


「は、喜んで」


「じゃーゆーた。何かおもしろい話して?」


「は、喜んで!」


 わ、無茶振りしたつもりだったんだけどな。あっさり頷くってことは期待できるかも?


「えー、言わずとしれた身体の大きいこの私」


 うん、体重130キロだっけ。筋肉もいっぱいあるんだろうけど、縦も横も奥行きもでっかいことには変わりない。


「実は背中にチャックがついてます!」


「えええー! 開けるとどうなるの?」


「ちっちゃい私がいっぱいいます」


「えええー! 見たいー!」


「どうぞ」


 ゆーたが背中を差し出してくる。本当にチャックがついてる!


 私は緊張しつつ、ツツツ……とチャックを開けた。


 すると中には、本当にちっちゃいゆーたがいっぱい!


 そのうちの一人が気軽に「よぅっ」って感じで片手をあげて、こう言った。


「あると思います!!」


「ないよ!!」


 うん、ありえないねー。


「でっかいやつには中の人がいるものです……某遊園地やスーパーで何か配ってるイカした怪物たちには中の人などいない、そう思っていた時期が私にもありました」


 でも今のはゆーたの作り話だよ。チャックを開ける辺りからね。中にちっちゃいゆーたなんか本当にいるわけないじゃんね。


「なかなかおもしろかった」


「ありがたき幸せ」 


「他に何かないー?」


「ふむ、では目を瞑って三十数えてください」


「わ、なになに? かくれんぼでもするのー?」


「おお! それは今度いたしましょう。私はこう見えても隠れて人を脅かすのが得意でしてね」


 そりゃゆーたみたいなでっかいのがいきなりヌッと出てきたらいい驚きかたするだろうねー。私は驚かなかったけど。


「いーち、にーい……」


「先ほども隠れていながらつい楽しくなり、笑ってしまいまして」


 なるほどねー。でもそれはすぐに見つかっちゃうんじゃないかな。かくれんぼが好きでも、向いてるわけじゃないのかも? あれ、そういえば隠れて脅かすのが得意って……そもそもかくれんぼと関係ないや。かくれんぼはずっと隠れてるもんだし。


「ろーく、なーな……」


 あれ、ゆーたの声が聞こえなくなった。隠れたのかなー。


「……さーんじゅ」


 目を開ける。


 するとそこには……


「ゆーたの中の人は……お母さんだったのかー!」


 衝撃の事実! 腹の中に黒い人、これが本当の腹黒かー!


「ただいまー。サエは何を言ってるのー?」


「あ、やっぱり違ったー?」


 だよねー。あれ、じゃあ……


「ゆーた、どこ行ったんだろ。ていうか何しにきたんだろー」


「あら、ゆーたさんに遊んでもらってたのー?」


「うん」


「そっかそっかー。今日のお昼、外に出たときに会って少し話したんだけどー、私が残業するって知って様子を見に来てくれたんだねー」


 そうだったんだ。私が一人でいるの嫌いって、知ってたのかな? ありがと、ゆーた。


「最近は不審者も多いし、ゆーたさんが守ってくれれば安心だねー」


「でも黙って忍び込むゆーたのほうがどう見ても不審者だよ?」


「それ、今度二人で言ってあげましょー」


「うん!」


 きっとゆーた、喜ぶぞー。




 最近サエちゃん目立ってないなーと思ったので、続けてサエちゃん話です。

 え、ゆーたの話になってる?

 ……まぁ、今年初登場だし、いいんじゃないスか?笑


 感想返信、もう少々お待ちを。金土日はほんっと余裕ないのです^^;

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ