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カカの天下  作者: ルシカ
697/917

カカの天下697「黒いところと白いところ?」

 こんにちは、サエですー。


 もうすぐお母さんの手作りな夕飯ができあがる頃。私は自室で机に向かい、一人考えていました。


「むむむー」


 一冊のノートを前に、唸ります。ちなみに勉強じゃありません。予習復習含め、すでに終わってます。


「どうしよー……」


 悩んでいる議題は、ズバリこれです。


「次の、サユカちゃんの衣装」


 ご存知、私とカカちゃんは彼女で遊ぶことが多いです。彼女『と』遊ぶ場合もありますが、彼女『で』のほうが多いです。というわけで、次はどんな着せ替えをして遊ぼうかと思案中なのです。


「次は……メイドさん? いやいや、それはいつかのトメさんのでお腹いっぱいだしー。巫女さんはサラさんのバインバインなぼんきゅっぼーんの見ちゃったから印象薄いしー。やっぱバニーガールかな」


 想像してみる。


『うっふーん、あっはーんっ!』


 候補に入れておこう。なに? 描写が少ない? それくらい根性で妄想してくださいなー。


「あとは……んー?」


 てとてと、と可愛い足音がしたので振り返ってみると、そこには足音に見合わないでっかい牛が。


「日本経済、どうしたのー?」


 どうした日本経済!! ってなんだかニュースのタイトルみたいだね。


「あ、ご飯まだなんだね。もう少し待ってね……あ、思いついた」


 牛の衣装なんてどうだろう。白黒なまだら模様のオーバーオールに、頭には角のアクセサリー……それだけじゃ面白くない。そうだ、乳搾りできるやつにしよう。そうすればサユカちゃんのおっぱい揉み放題、もとい搾り放題だ。サユカちゃんてば小五にしては胸が結構あるし、いけるよね。


「それをトメさんに揉んでもらったらー……ふふ……ふふふー」


 とてつもなく愉快なサユカちゃんが見れそうだー! 想像しただけで笑いがこみ上げてくる。


「よくやったね、日本経済」


 なでなでしてあげると、牛さんは眠たげに「モー」と鳴いた。


「あれ、豚野郎もきたの?」


 ぽてぽて、と太った感じの足音で部屋に入ってきたのはまん丸な子豚ちゃん。


「豚……豚の、鼻?」


 豚の鼻型のアクセサリーを作ったらどうだろう。


 それをサユカちゃん――いや、カカちゃんがつけたら!?


「どうしよー……似合いすぎるー!!」


 カカちゃんのことだ、きっと顔の真ん中にでっかい豚の鼻を装着しつつも平気で商店街のど真ん中を歩き、なぜか「ホーホケキョ!」とか叫んでくれるに違いない。


「メモメモー……ふふふー……よーし、あとは」


 これらをどうやって着せるかだ。


 カカちゃんは問題ない。だってこんなの好きだろうし。出来上がった豚の鼻を見せれば喜んでつけてくれるだろう。問題はサユカちゃんだ。どうやってハメるか――じゃなくて、つけてもらうか。


「これは……綿密な計画を練らなければー」


 そうとなればきちんとした作戦案を作成しなければならない。だとすると、こんなノートじゃ足りない!


 そう、今こそ……パコちゃんが本領発揮するときなのだー!


 昨今の計画書、企画書といえばパソコンで作成すると決まっている。ならば私も挑戦なのだー!


「はいはい、お肉コンビは出てってー」


 ブーとかモーとか言いながらも、二匹はおとなしく部屋から出てってくれた。ごめんね、後でちゃんとご飯持ってくからね。


 よーし、いくよパコちゃん!


 まずは電源スイッチをポチっと!


 ……返事ないよ?


「ねーねーパコちゃん、どうしたの?」


 慌てない慌てない。何回も連続で電源ボタンを押してはいけないと、前にきちんと学んだのだから。


「いーち、にーい、さーん、しーい、ごーお、ろーく、しーち、はーち、きゅーう、じゅう!」


 きちんと十数えてから、もう一回スイッチを押す。今度は長めに。


「……ねーねー」


 返事がないー!


「おーかーあーさーん!!」


 部屋のドアを開けて、台所にいるだろうお母さんに届くように、廊下の向こうへ精一杯に声を張り上げる。


「なにー!? お母さん今、レベルの高い玉子焼きで忙しいんだけどー!!」


 よし、聞こえた。お母さんの声も聞こえる。


「パコちゃんがー! グーレーたー!!」


「あらあらサエー? そのラックの色はグレーじゃなくてシルバーよー!」


「そうじゃなくてー! 動かないのー!」


「コンセントは入れたのー?」


「コンサート? 引退コンサート!? ありがとうパコちゃん! パコちゃんは永遠に不滅ですーってそんなのやだー!」


「違うわよー! コンセント!!」


 コンセント……あ、抜けてた! そっか、お肉コンビが足にひっかけちゃったんだ。


「よーし、パコちゃん起きてー」


 あ、今度は返事があった! よかったー!


 作業画面が出るまで待機中。まだかなー、まだかなー。


 よし、おっけー!


『一個の更新が見つかりました』


 え? え? なにこれー?


『インストールを開始します』


 びっくりしてクリックしちゃったら、なんか出た。え、何このゲージ、なんか、だんだん上がって……違う、下がってるのかな? え? えー? 


 ――あとから聞いた話だと、それは自動更新というものらしく、私が見たゲージはインストールの作業状況を表すパーセンテージのバーだったらしい。でもそのときの私は、そんなことを知らなかった。だから、


「これー……横に時間が書いてある……あとこれだけ秒読みってことかな……」


 100%へ向かって上がっていくバー。そして減っていく残り時間。それを見た私はこう結論を下した!


「パコちゃんが爆発するー!!」


 もうパニックです! きっと時限爆弾がセットされたんだー! 時間切れになればパコちゃんは木っ端微塵に!? どうしよう、パコちゃん機械だから骨を拾えないよー! それに木じゃなくて鉄でも木っ端って言うのかなー!? ああそうじゃなくてー! パコちゃんを見捨てるわけにはいかないよー!


「わかりました、私がパコちゃんを救います!」


 こういう爆弾って、そうそう! たしか、中に二色のコードがあるんだった! テレビで見たー!


 パソコンの本体を開く。わ、コードがいっぱいあるー! どうしよう、どれだろう、ああ時間がない……こういうときは直感! そしたら大体は正解なんだよねー! テレビとか映画じゃそうだもん! はさみはさみ……えーい!!


 コードをパチンッ!!


 なんかバチッ!


 画面がブツン。


 結果、爆発はしなかったー! やったー!


 私、覚えたよー! ああいうときは、ここを切ればいいんだねー!




 ……でもその後、お母さんにすっごく怒られました。私がしたのは、とても危険なことだったみたいです。


 二度としてはダメ、と言われました。


 でも、それでも! パコちゃんが爆発するのを黙って見ていられません! いくら危険でも、また同じ状況になったとき、私は同じことをします!


 何度でもー!!




 書いてから思いました。

 前半の黒いところはいいとして……

 後半のこれ。白いのか? 白いっていうのか?


 どう思います?笑

 

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