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カカの天下  作者: ルシカ
692/917

カカの天下692「わーい」

 こんばんは、トメです。


 今日も今日とて夕飯の時間。せっせと作ってテーブルに並べます。


「ほらカカ、ご飯だぞ」


「わーい、ご飯だご飯だ」


 両手をバンザイして喜ぶカカ。うむ、作ったかいがあった。


「ほらカカ、味噌汁だぞ」


「わーい、味噌汁だ味噌汁だ」


「あ、ちょっとトイレ」


「わーい、トイレだトイレだ」


 何が始まってるんだか……ふむ。


「カカ。わーいわーい」


「わーい、わーいわーい」


「カカ、青巻紙赤巻紙黄巻紙」


「わーい、赤巻紙青巻紙きまきまき、あかまけまきあみゅっ」


 勝った。さーてトイレトイレ……


 用を足して戻ってきて、二人そろって「いただきます」だ。


「わーい、とんかつだとんかつだ」


「カカ、それマイブームなのか?」


「わーい、そうだそうだ!」


 そうなのか。


「そういえばさ、この間な、姉が」


「わーい、バケモノバケモノ」


「サラさんと」


「わーい、おっぱいおっぱい」


「ボーリングに行ったそうだ」


「わーい、ガーターガーター」


 よくガーターばっかりだったってわかったな。ちなみに姉は力の入れすぎ。サラさんは転びすぎだそうだ。


「わーい、おかわりおかわり」


「はいはい」


 そんな調子で食事は進み……食べ終わって二人仲良く「ごちそうさま」だ。


「わーい、食器洗い食器洗い」


「おお、やってくれるのか。悪いな」


 シーン……


「言ってみただけかよ」


「わーい、だるいだるい」


「まぁいいけど……くそ」


「わーい、クソだクソだ」


「下品な言葉を使うんじゃありません!」


「わーい、大便だ大便だ」


「まったく上品になってません!!」


「わーい、自然の摂理だ不可抗力だ」


「おまえ難しい言葉知ってるね」


 仕方ないなぁ……満足して妙なマイブームやめるまで付き合ってやるか。


「はい、質問」


「わーい、質問だ質問だ」


「1+1は?」


「わーい、2だ2だ」


「356×573は?」


「電卓もってこい」


「急に素になるなよ」


「わーい、次だ次だ」


「まったく……じゃあ問題です」


「わーい、カモンカモン」


「カカの父親は、いまどこにいるでしょう?」


「わーい、死んだ死んだ」


「死んでねぇよ!!」


 さすがに哀れすぎるぞ父さん……ちなみにテーブルの下にいたりする。カカの答えを聞いて泣きながらシュバッと消えたけど。


「謝っておけ」


「ごめんなさい」


 うむ、さすがにひどいことを言った自覚があるのか、素直で結構。聞こえたかどうかは知らんが。


「ふー疲れた」


「お、満足したのか」


「うん。今度はトメ兄がやってみてよ」


「僕がぁ? 嫌だよ、キャラじゃないし」


「可愛い妹の頼みと思って」


「えー……」


「とーめーにー! とーめーにー!」


 あー、わかったわかった。言うこと聞くから、僕の腹に頭突きしてそのまま頭をぐりぐり押し付けてくんな。攻撃なんだか懐かれてるんだかよくわからんが。


「でも僕、そんな器用になんでも思いつかないぞ?」


「そこを頑張って!」


 あーもう! 懐くなってのに!


 まったく……本当に仕方ないなぁ。やれやれ! 


 言っておくけど、妹に甘えられて張り切ってるわけじゃないからな!


 ただな、ここで期待に応えてこそ兄だなとか思っただけで!


 とにかく頑張ってみるか!


 わーいわーいと、元気よく!


 すごく恥ずかしいけど頑張っ――


「あ、サエちゃんと電話するんだった。ごめんねトメ兄。私、部屋に戻ってそのまま寝るわ。おやすみ」


 ――って、みる、つもり、だったのに。たったったーと自室に戻る気まぐれカカ。


「……わーい、一人だ一人だ」


 寂しくなんかないんだからな!!


「やーい、一人だ一人だ」


「クソオヤジてめぇ!! どこだ!?」


「わーい……仲間だ」


「……飲むか?」


「……わーい」

 

 女心と秋の空(冬だけど)に振り回された哀れな親子は、なんとなくしんみりしながら杯を交わすのだった……わーい、酒だ酒だ……




 わーい、ほのぼのだまったりだ。

 そんなの書こうとしたら、なんか残念な結末に。


 ……わーい、これもカカ天だ私の気まぐれだ。

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