表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
69/917

カカの天下69「カカの幸せ」

「幸せってなんだろう」


「お子様がなんだ、いきなり」


 こんにちは、トメです。


 相も変わらず唐突なことを言いだす妹カカに、僕は呆れきってため息をつきました。


「おまえなぁ、もう少し子供っぽい話題ないわけ?」


「子供でも人間なんだから、こういうことをちゃんと考えるべきだよ」


「……おい」


 マジで子供っぽくない、と思ったら。


「って、先生が言ってた」


 そうか先生か。よかった安心した。その歳で何をそんな黄昏れることがあったのかと心配したじゃないか。


 ん? 待て。そんなことを言い出す先生のほうが黄昏れてるのか? 直接僕には関係ないからどうでもいいけど。


「でさ、幸せってなんだと思う?」


「うーん……そうだなぁ」


「やっぱトメ兄のことだから、いい女集めてハーレムでうっはうっはのばいんばいん?」


「とりあえずカカの発言がまともになってくれれば幸せかなぁ」


 今どきばいんばいんってなんじゃい。


「じゃ、姉を12人くらい集めて」


「まてやっ!! 言いたいネタはわかるがあんな姉が12人もいたら世界が滅びるぞ」


「大げさだなぁ。せいぜいご近所くらいしか滅びないよ」


「充分に脅威だ!!」


「仕方ないなぁ。じゃあ普通に妹を12……」


「そのネタから離れろ! つうか一人でも頭が痛いってのにそんなのが12倍になったら」


「痛いのもだんだん慣れて気持ちよくなる?」


「なるかっ。廃人になるだけだ!」


 ほんっとこの妹の口にすることは危ない言葉が満載だ、原因はなんだろう。いたって普通に教育してるつもりなんだけど。


 とは言いつつ原因はわかってる。12人集まって変形合体すればご近所を滅ぼせる人害兵器、姉だ。


「でさ、結局トメ兄の幸せってなんなのさ」


「そういうお前の幸せは何なんだよ」


「結婚すること」


 おお……意外とまともだ。


「サエちゃんと」


 まともじゃねぇ!!


「おい、本気で言ってないよな?」


「本気だよ。好きな人と一緒になって何が悪いの」


「……サエちゃんには言ったか?」


「そんな恥ずかしいこと、簡単に言えるわけないでしょ」


 そか、よかった。


 いや、しかし、そうかぁ。そんな世界かぁ。


 まぁ、まだ小さいし、いいのか、なぁ、そんな、考えも。


 うん、なんか恐いから、この話はスルーにしておこう。


「で、トメ兄の幸せは?」


「んー……結婚、かなぁ」


「お! なに、相手いるの?」


「や、そうじゃなくて」


 僕は自分自身に苦笑しながら言った。甘いなぁ僕も。


「カカと姉が結婚したらさ」


「私と姉が!? こわ!」


「ちゃうわ。カカと姉が、ちゃんとした人と結婚したら、たぶん兄冥利、弟冥利につきるくらい幸せかなぁ、なんて」


「ふむふむ、手のかかる姉が出て行けば楽になって幸せだってことだね」


「そうともいう」


 否定はしない。しかしそれはお前にも言えることだぞカカ。


「……トメ兄、ありがとう」


「ん? あ、ああ」


 や、兄としては妹の幸せを願うのも当然ということで……


「私とサエちゃんのことを認めてくれて嬉しいよ」


「は?」


「サエちゃんは必ず私が幸せにしますっ!」


 ぺこり、と頭を下げて、カカは去っていった。


 僕は固まってしまって何もツッコめず、その後ろ姿を見送ることしかできなかった。


 えと、マジでそっちの世界いくのか、カカ?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ