表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
689/917

カカの天下689「クララandタマ」

 こんにちは、カカです。


 空はすっかり快晴ですがまだまだ雪が残る中、トメ兄に頼まれた買い物へ行くため出歩いている途中で妙なものを見つけました。


 それは空の近く、結構な高さにある枯れ木の枝に乗って何やら雪を撒き散らしている……クララちゃん?


「おーい」


「あ、カカ!! あけましておめでとうございます!」


「あ、うん。おめでとう」


 そういえば今年会うのは初めてか。


「久しぶりだね、どこか行ってたのー!?」


 いまだに枝の上でなんかしてるクララちゃんを見上げながら、声を張り上げる。


「冬眠してました!」


「……そか」


 雪、降ってたしね。木に戻ってたのかな。


「それで、今は何してるの?」


 見た感じ……枝に積もった雪を掴んで、木の他部分にぶっかけてるみたいだけど。


「花咲かじいさんです!」


「え! 花って本当にそうやって咲かすの!?」


 驚きだ。脳裏に浮かぶのはおとぎ話、おじいさんが色々あった灰を桜の枝にかけると、パーッと花が咲いていくという……まさか、それが本当だったなんて! 実はそれが妖精の仕事で、私たちには見えていなかっただけだったなんて!


「クララ間違えました!」


「え、なに?」


「クララ女の子です! クララ、花咲かばあさんです!」


「ああ、うん、そだね」


「クララまた間違えました!」


「今度はなに」


「クララまだまだ若いです! クララ、花咲か女です!」


「急に妖怪っぽい名前になったね。雪女よりも優しそうだけど」


「クララまたまてぃ間違えました」


「噛んだね今。またまた、でしょ」


「こんなんで花が咲くわけないです! クララはただのクララです!」


「咲かないんかい!!」


「やってみたかっただけです」


 私が言うのもなんだけど、この子も結構アレだよね。


「カカはお買い物ですか?」


「うわぉ!? いつの間に下りてきたの」


「今の間に」 


 び、ビックリした……消えたり現れたりもできるんだったねクララちゃん。べんりー。いいなー。


「それで、お買い物なんですか?」


「うん。買い物しに歩きながら面白いもの探してる」


「見つかりました?」


「うん」


 You!!


「よかったです! あ、ではでは。あそこにいる似たような二人はどうでしょう。面白いですかね?」


「あそこ?」


 クララちゃんが指差したのは公園のベンチが並んでいる場所、そのうちの一つに腰を下ろしているのは……タマちゃん、と、タケダ!?


「なに、あの組み合わせ……」


「面白いですか?」


「うん!」


 ちょっとコソコソっと近づいてみよう。何話してるのかな。


 コソー、コソーっと。


 ベンチの真後ろにある木の影へとうまく隠れることに成功。さてさて会話は?


「しかしタマ君」


「あい」


「のんびりとはいいものだな」


「ですね!」


 なんだろう、この年寄りくさい若者たちは。


「あおいそら、いいですね」


「うむ、心が洗われるようだな」


 タマちゃんもはっきり喋るようになったなぁ。しかも敬語……あ、そういえば最近タマちゃんが敬語にハマってるってお姉が言ってたっけ。


「しろいゆき、いいですね」


「目の保養だな」


 どうしたんだろうタマちゃん、こんな大人っぽくなっちゃって。


「にげられません、いいですね?」


「怖いわ!!」


 ほっ。タマちゃんはやっぱりタマちゃんだ。


 くいくい。


 ……ん? 何か服が引っ張られて……あ。


 目が合う、いつの間にか隣で上着の裾を引っ張っていたタマちゃんと。


 逃げられませんって私のことだったのか!?


「おお、カカ君ではないか!」


「……よ」


 タケダに気づかれた。ちゃ、と手を上げて軽く応える。


「こんなところで会うとは運命だな!」


「嫌な運命」


 あ、凹んだ。


「それにしても珍しい組み合わせだね。どうして?」


「む? いやな、俺はただ散歩していただけなのだが、この公園で一人で遊ぶタマ君を見つけてな。これも何かの縁と思い、話し相手になっていたのだ」


 そっか。何度か一緒にイベントしてたから、いつの間にか喋るようになってたんだね、きっと。


「いや、しかし……はっはっは! こうしてタマ君を間に挟んで並ぶと、その、夫婦のようだな!」


 不愉快だ。


 そう言おうとしたんだけど。


「タケダの周りに花が咲いてます!」


 どれだけ上機嫌なのか、タケダの周りに少女漫画的なイメージが開花しまくっていて。


「てい!」


「むごぁ!?」


 花咲かクララちゃんはその職務を全うすべく、タケダの顔に雪(ど汚い)をかけまくっていた。文句言おうとしたけど、それでスッキリしたからいいや。


「はなさけー! はなさけー!」


「ぶふぁぁぁ! そんなに顔に押し付けるな! 鼻が裂けるわ!!」


「面白くない。てぃ」


「むごぉぉ!? か、カカ君まで」


 うはは。


「ああ! バックのイメージが萎んでいくです!」


「これだけ顔に雪を詰められれば幸せ気分も吹っ飛ぶに決まっておるわ!」


「クララしょっくです!!」


 バチーン!!


「なんでビンタ!? ぐ、ぐう、そんなに俺を追い出したいならいいさいいさ、いなくなってやるさ! でもこれで終わりじゃないからな!」


 覚えてろー! と泣きながら去っていくタケダを笑って見送る私たち。なんだ、あいつ。なかなか面白いやつかも。


「ところでタマちゃんや」


「なんですかぁ?」


 いつの間にかクララちゃんに混じって雪を投げてキャッキャ笑っていたタマちゃんは、少し舌ったらずな敬語で返事をしてくれた。


「お姉は一緒じゃないの?」


「とうみんしました!」


「クララと一緒です!」


 さすがお姉、クララちゃんという妖精よりも『冬眠』という言葉が似合う人間(かどうかは非常にあやしい)。


「おっと、買い物行かないと」


「では、クララがタマを家に連れて行きましょう!」


「あ、お願い」


 時計を見る。やばい、トメ兄が仕事から帰ってくる前に終わらせて戻らないと。夕食が遅くなってしまう!


 商店街へと急いで足を向ける私、その後ろで、


「さ、行きますよタマ! クララがおうちに連れてくです」


「にげられません、いいですか?」


「クララが連れてかれるですか! どこに!?」


 そんな会話が聞こえたけど、その後、彼女たちがどこへ行ったかは……知らない。




 新年に入ってからこの子ら書いてないなーと思い、ドーン。

 勢いで行動するクララちゃん、いいですね。

 敬語な子供なタマちゃん、いいですね。

 逃げられません、いいですね?


 さて、特に上記のコメントを解説せずに謝罪、というか言い訳をば。


 昨日の更新を楽しみにしてくださっていた方々がいましたら申し訳ありません。さー更新しようと思ったらサイトに繋がらず、その時間を逃すと仕事の都合でどうしても昨日中に掲載することができない状況でした。

 でも、まぁ。今年はそんなに肩肘張らずにいこうと思っているので、一日くらい、いいかなぁと。そんなわけで一日飛ばしの更新となりました。


 読者さんたちのお言葉に甘えて無理せずに行こう、なんて思ってます。去年は後半の休み以外ずっと頑張ったし……いいよね? これくらい笑


 いいと言って!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ