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カカの天下  作者: ルシカ
682/917

カカの天下682「不思議な繋がり?」

 こんにちは、サエです。


 突然ですが、これは夢です。初夢というやつでしょうか。そんなわけで何の説明も理由も道理も前触れもなく、空からお年玉が降ってきました。


『あなたが落とした玉は、この金の玉ですか? それともこの銀の玉ですか?』


 どこからともなく聞こえてくる声が言うには、どうやら落とし玉のようで。目の前には二つのおっきな玉が並びました。


「えっとー」


 わたしは何も落としてないんだけど、とりあえず選べばいいのかな? 


「どっちにしようかなー」


 うろうろと迷っていた、そのとき!


「こっちにしなさい、サエ!!」


 いきなり金の玉の上半分が砕け散り、まるで卵から生まれたひよこのごとく現れたのはお養母さん――わかりやすく説明すると、前までお世話になっていた叔母さん。


「いいえ、こっちよー!」


 続いて同じように銀の卵から生まれたでっかいひよこは、現在進行形で私と暮らしているお母さん。


 二つのお年玉――落とし玉の中身は、お母さんとおばさんだった。がっかり。


 あ、いやっ、別に二人が嫌いなわけじゃないですよ? でもお年玉っていったらもっと……ねぇ?


「あらあらあらー、そこの人はなんで金の玉に入ってるのかしらー? 略してほしい? 略して言ってほしい?」


「あははうふふ? 何を下品なことを言ってるのかしら銀の人? 英語で言うとシルバーの人? シルバーつまりは高齢者、あらあらお似合いじゃないですかー。お、ば、あ、ちゃ、ん」


「私より遥かに年上の人に言われたくないわー」


「肌年齢はあなたより下だと思うわよ? そんなにシワシワじゃないし。のびのびなのは声だけで残念ね」


「ふふふー、あなたの寿命もちゃんとこれ以上のびるといいわねー? 突然終わっちゃったりしなければいいわねー」 


 寒い……どうしてこの二人が会話するだけでこんなにも寒いのでしょうか。


「それで、サエ?」


「どちらを選ぶのー? そっちの金玉じゃないよねー」


「あ、言った、言っちゃった!! サエ? まさかそっちの下品なシルババァを選んだりしないわよねー? あら、シルバーとババァが混ざっちゃったー、おっかしー」


「汁ババァに言われてしまいましたー。何の汁か? ふふ、キモチワルイ汁とだけ言っておきま――」


「えいっ!!」


 とりあえず落とし玉、ということなのでー。


 二つとも崖に落としました。いきなり崖が現れたのは、夢だからです。なんで落としたかというと……怖かったので、つい。




「――という夢を見たのよっ」


「サユカちゃんが?」


「ええ、なぜかわたしがっ!」


 ミステリーだ。あ、ども。バトンタッチしてカカです。いまだ冬休み中、我が家に集まってコタツで歓談しているとこです。今の話題はサユカンの初夢。


 ちなみに今の夢話のナレーションは、夢の中でサエちゃんになっていたサユカンでした。微妙な違い、わかった?


「わたし、サエすけのお家事情にそこまで詳しくないはずなのに……ここまでシンクロした夢見るなんて、わたしすごくないっ!?」


「あ、でもねー。私も初夢、カカちゃんになりきってる夢だったんだよー」


「なんですと!?」


 それは聞き捨てならねぇなぁ!!


「どんなどんな?」


「えっとねー」




『バナナ』


『バナーナ』


『ばにゃにゃ』


『バニャーヌァ!!』




「ひたすらバナナって叫んでたー」


「カカすけっぽい」


 そうなのか。


 そうなのか?


 そうかも。


「んー、この流れだとー」


「カカすけっ! 君はわたしの夢を見たでしょっ!?」


「サバの夢見た」


『なんでさっ!?』


 そんなこと言われても。


「この流れなら三人が三人の夢見てー」


「不思議な繋がりを再確認するところでしょうっ」


 つくづくそんなこと言われても。




 ――そして夕飯の時間。


「……こいつか」


「ん、どしたカカ」


 テーブルに並んだ今夜のメニューを睨みつける。


 サバ。今年の初夢を『交換』した(かもしれない)相手。


 じゃあ、このサバはサユカンの夢を見たのか。


「おまえも私たちの仲間だったんだね?」


「なんで焼きサバに話しかけてるんだおまえは」




 初夢のお話です。

 ちょっとおもしろい初夢のリクエストもいただいたんですが、いざ書いたら長くなりそうなんでまたの機会に……


 さてさて、そろそろ冬休みも終わる頃。

 正月も終わる頃。

 やばい……正月っぽいこと初詣しかしてない!!


 とりあえず餅を食べようと思います。

 あ、カカたちに餅食わせてない!!

 サバじゃなくて餅にすればよかった。

 餅になった夢……そそられるZE!!

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