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カカの天下  作者: ルシカ
680/917

カカの天下680「カカの挑戦 そのいち」

 こんばんは、カカです。


 今日もそろそろ終わるころ。私は眠る前に机に向かい、自室で一人うんうん唸っていました。


 目の前には一冊のノート。


 宿題ではありません。当たり前です。


 そのノートは……


「どうやったら、今年の抱負を達成できるか」


 ということを書き綴ったものです! 新生カカノートとでも呼びましょうか。


 今年の抱負――笑わせる。いさ考えてみるとこれは難しい。お笑い芸人さんたちが日々頑張っているのは、実はとんでもなくすごいことなのだと実感せざるをえない。


「どうやったら人を笑わせることができるか……」


 おもしろいことをすればいい。ならば、そのおもしろいこととは? 具体的には?


「トメ兄にコスプレしてもらう」


 それはおもしろい。しかし笑いはとれるだろうか?


 身内にはとれるだろう。しかし周りの人は引くだろう。


 うーん、半分合格。一応メモメモ。さぁ次は?


「トメ兄にボケ百連発をかましてもらう」


 ダメだ、きっと三連発あたりでお客は全員帰ってしまうに違いない。


 失格。次。


「トメ兄を素っ裸にして外へ放り出す」


 笑いは笑いでも、後ろ指差されて笑われてしまう。私を含む家族のみんなが。


 却下。次。


「トメ兄が飛ぶ」


 私が飛ぶほうがおもしろい。


 ナシだね。次。


「トメ兄がでゅみゅみゅみゅう」


 アリだ。メモメモ。次。


「トメ兄ダンス」


 想像してみよう。


『トメ! トメ! トマラナイけどトメ! トメ!』


 アリだな。メモメモ。次。


「トーメー人間」


 透明人間。


 なれない。


 次。


「トメィトゥ!!」


 トマト。


 美味い。


 メモメモ。次。


「正義の味方、トメ」


 想像してみよう。


『君のピンチに颯爽と惨状!! 敵はどこだ!?』


 どこだろう。


 いいや、適当に作っちゃえ。えっと……でっかいケロリンでいいや。


『おお!? 出たな怪物ケロリン! 全長三百メートルで税込み九千四百五十円、今なら可愛い帽子も付いてくるお買い得品め!!』


 鳴き声はアレしかなかろう。


『でゅみゅみゅみゅう!!』


『おのれ、なんだか可愛くてクセになる鳴き声でみんなの人気者の……って、あれ、じゃあ僕、倒さなくてよくないか? や、でも一応、その、敵め!!』


『でゅみゅー!!』


『成敗してくれるわ! いくぞ!!』


 トメトメカッターはこないだ使ったから……


『笠原流包丁術、輪切り』


 きらりと光るトメの包丁が一閃される。普段ならきゅうりなどをお手軽に切る包丁術だが、笠原流と名がつくだけあって威力は尋常ではない。その証拠に一つの高層ビルがあっさりと輪切りされてしまった。


 意味もなく。


『おのれ、効かないか!? こうなったら――笠原流包丁術秘儀、皮剥き』


 再び翻る戦闘用家庭用包丁(どっち用だよ)。包丁で皮剥き……容易に思い浮かぶ家庭のお料理上手の姿といえばこれだろう。ゴボウの皮剥きならばともかく、じゃがいもの皮を包丁で綺麗に剥いている人を素人が見れば感心せざるをえないはずだ。その皮剥きすら笠原流、やはり威力は尋常ではない。東京ドームの外側を剥き削り、少しだけ小さくしてしまった。


 見世物としては思いのほか地味な結果だった。そしてやはり意味はない。


『こうなったら――』


 すでになんだか「なんで建造物ばっか壊してんだ」とか「派手に目立ちたいだけだろ」とか「がんばれケロリンそいつをやっつけろ頼むから」と誰もが言いたい雰囲気の中、空気の読めないそのヒーローは最後の一撃を放つ。


『笠原流包丁術最終奥義、微塵切り!!』


 その名のごとく。キャベツだけではなく、もっと大きなものを粉微塵に切り刻むその奥義は――


 カカの夢を、切った。




「……ばぇ?」


 妙な音を出して顔を上げる。額がひりひりする、身体が痛い。いつの間にか机に突っ伏して眠っていたらしい。


「時間は……おぉ」


 トメ兄が起きるくらいの時間だ。


「……ぼぇ」


 再び妙な音を出してから、のそのそと起き上がる。うぅ、さむ。毛布毛布……寒い中で座りながら寝たせいで身体が起きているのか、今日は毛布団子にならなくても動ける。もちろん寒いので肩にはかけるけど。


「とーめーにーはーおーきーてーるー?」


 部屋を出る。細々と歌いながら、そーっと廊下を移動。やがてトメ兄の部屋へ。こそこそ入る。


 おーおー、あったかそうに気持ちよさそうに寝てるよ。今日から出勤日なのに。


 ピ――ポチ。


 鳴りかけた目覚ましを即行で止める。


 さて、昨日さんざん考えた結果を試そうか。


 トメ兄を……


 結局どうすんだっけ?


 アレだっけ? コレだっけ?


 まぁいいや。


 顔に全部書いてやれ。




 そして私はペンを置いた。


「トメ兄、遅刻するよ」


「んあ? あー……ってもうこんな時間!? なんでだ!? 目覚まし鳴ってなかったのか!?」


「そんなこと言ってる間に」


「うああやばい!! カカごめん、飯は適当に頼む。僕着替えてそのまま出るわ!!」


 鏡も見ずに慌てて走って出て行くトメ兄。


 さてさて。


 トメ兄の愉快な顔に、みんなは笑ってくれるかな?




 挑戦の結果がどうなったか……それはまた後日。


 さて、話は変わりますが昨日の秘話を一つ。


 私は昼の仕事を終えた後、いつもの通りカカ天を書いていました。しかしいかんせん時間がなく、そんなときに限って書いてたらなんか不良でてきてユイナさん頑張っちゃっていつもより長引いて……

 やばい、もう家を出ないと夜の仕事に間に合わない。もうちょっと、もうちょっとでできるのに! 今日は仕事に出てしまえば帰ってくるの夜中一時過ぎるの確定だから今のうちに更新しないと毎日更新が――と葛藤しつつ書きまくった結果。

 遅刻しちゃいました。てへ♪


 ま、まぁまぁ。仕事の様子見てヤバくなさそうだったし、遅刻っていっても七分だし……いいよね? ね!?


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