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カカの天下  作者: ルシカ
676/917

カカの天下676「今年もほうふ」

 あけましておめでとうございます、トメです。


 ただいま年を越したばかり。家族でコタツを囲みながら、テレビと一緒にカウントダウンなんかしちゃいました。


「今年もよろしく!!」


「誰に言ってんだ、カカ」


「この世界の全てに向かって!」


「……あそ」


「それプラスお姉に」


「あれま、世界からハズれてんだな姉」


「人間じゃないし」


「納得」


「じゃーあたしって何さ!?」


 いったい何度言わせれば気が済むんだ。おまえは姉だ、それだけだ。他に何がある?


「ふふ、あけましておめでとう皆。あとカッ君」


「母まであたしをおまけ扱いか!!」


「ふふ、ママもカカ君とおそろいなのだ」


「あたしだけおそろいじゃないし!」


「あらあら。床下の人とおそろいになればいいじゃない♪」


 聞くまでもなく父さんだろうな、床下にいるのは。


「何をおそろいにしろと」


「お姉も嫁もらえば?」


「それだ!! じゃーテンちゃんを嫁にもらう」


 似合いすぎて困る。


「あ、でも親父とおそろいヤダ」


 気持ちはわかる。しかし嫁をもらう=うちの父さんとおそろいだったら世界中の旦那さんが可哀想だ。謝れ。


「すいませんでした!!」


 おお、どこからともなく父さんの声が。意外と律儀だな。


「では! たったいま新年を迎えた子供君たちに聞きまーす」


 夫のフォローもなしに話を進めるかーさんサイコー。


「今年の抱負は? カカ君から!」


「人を笑わせる」


 ……むう?


「その心は?」


「去年ってさ、私が笑ってばっかだったんだよね。だから今年は、皆に笑って欲しいなって」


 へー、おもしろい。何がおもしろいって、カカは今まで『周りを笑わせる』ために変なことしてたんじゃなくて、『自分が笑う』ためにやってたんだなってとこだ。お楽しみ会だの漫才大会だのあったけど、それも全て自分のためだったんだろう。その結果で周りも笑ってたんだが……それを自分からやろうってのはなかなか良い心がけだ。


 しかしなぜだろう。僕の苦労がさらに増すような気がするんだけど。


「いいね! それじゃ、カッ君は?」


「剣を極める」


 なぜ。


「あ、お姉。もらった木刀返す?」


 そういえばいつぞやもらってたな木刀。


「んや、三代目があるから大丈夫。二代目を大事にしてやってくれ」


「わかった」


 一代目どこいった。


「じゃ、トメ君は?」


「僕、か」


 どうしよ、まったく考えてなかった。


「んー……んー……」


「弟君よ、悩むならばあたしとカカちゃんのを合わせてみるのはいかがかな?」


「合わせる……」


 今年の抱負――笑わせる剣を極める。


「ハードル高すぎだろ、それ」


「そだね。カカちゃんが再来年あたりに挑戦するレベルだわ」


 再来年にもう挑戦すんのか、すげぇなカカ。神童か。


「うーん。去年のトメ君の失敗を思い出して、それをしないようにすればいいんじゃないかな?」


「なるほど。去年の僕の失敗といえば……」


「サユカンをフッた」


「じゃあ今年の抱負はサユカちゃんをフラないってことで」


「待てぃ!!」


 それって逆に考えるとつまり!! サユカちゃんの告白を受け入れるってことで――


「え、なに。嫌なの?」


「じゃあ弟君の今年の抱負は、サユカちゃんをもう一回フるってことで」


「この人でなし!! 人じゃないなんてお姉と同じか!?」


「わーい!! おそろい仲間が来たー!! わーい……わーい?」


 なぜか怒るカカ。喜んだ自分に疑問を持って首を捻る姉。 


「こらこらカカ君、人を笑わせるんでしょ? そんな怒っちゃダメ」


「あ、そか」


 おお! ナイス母さん! いいなそれ、そう言えばカカを制御できるんだな。


「じゃおもしろく怒る。この人でなしチャッチャッチャ!!」


 制御できねぇ。


「なんだよそのチャッチャッチャッて」


「知らないよチョッチョッチョ。人を笑わせるって大変だねちぇっちぇっちぇ」


 や、笑えるかどうかは置いといて今のおまえはおもしろいぞ。


「それでトメ君? 今年の抱負はどうしよっか」


「んー……カカの制御ができるようになる、とか」


「それは人生の目標でしょ?」


 いつの間に僕の人生は妹中心になってたんスか?


「よし、あたしが決めたげよう! 今年の弟君の抱負は――はっちゃける!!」


「……は?」


「あんたね、落ち着きすぎ。まだ二十五歳でしょ? まだまだ若いのよ! 四次会まで飲み明かしたり、綺麗なおねーちゃんのいる高い店でヒャッホウとかする歳なのよ! なのになんでそんな家庭を大事にしてそうなパパみたいに落ち着いてるわけ!?」


 そんなこと言われても……飲みすぎたらお金かかるし疲れるし。見ず知らずの女の人と喋るだけでお金使うのも嫌だし、もったいないし。


「うーん、そうだねぇ。カカちゃんをずーっと育ててきたせいか、確かにトメ君は落ち着いちゃってるね」


「だからこそ! 今年はもう少しはっちゃけなさい。せっかく子供が回りにいるんだから、子供の元気をもらうのよ!」


 元気すぎる子供を抑制するのが大人の仕事と思うんだが――って、こんなこと考えてるところが落ち着いてるって言われるのか? もしかして。


「よし、一緒に世界を笑わそうぜトメ兄すっぽんぽーん!」


「それ僕が素っ裸みたいに聞こえるからやめてくれる?」


「ほら、みみっちいこと言ってないでマネしなさい弟君!」


 え、マジで?


「いくよトメ兄。ほら大きな声で! すっぽんぽーん!」


「す、すっぽんぽーん!」


「声が小さい! すっぽんぽーん!!」


 ええい、もうヤケだ!


「すっぽんぽーん!!」


「今年の抱負はすっぽんぽーん!!」


「明日からはすっぽんぽーん!!」


「新学期早々すっぽんぽーん!!」


「出勤中にすっぽんぽーん!!」


「死ぬ間際にはすっぽんぽーん!!」


「別れの言葉はすっぽんぽーん!!」


「あの世にいってもすっぽんぽーん!!」


「閻魔様もすっぽんぽーん!!」


 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……


「じゃ、初詣はすっぽんぽんで行くということで♪」


『それはナイ』


 仲良くツッコむ笠原家の子供たち。


 我が家は今年も、こんな感じ。




 忙しい日々が終わり、気が抜けて風邪をひいてしまったルシカさんです。だるくて寝てたらこんな時間に……いかんいかん、明日から仕事忙しいってのに。


 さて、そんなわけで新年早々ぎりぎり投稿となりましたー。でも大晦日は濃厚に書いたので初っ端は軽くいきます。

 このサブタイトルの『ほうふ』っていう字には抱負と豊富の漢字が二つ入ります。

 抱負は言うまでも無く、今年も豊富でありますようにって感じで。

 何が豊富か?

 想像にお任せします^^


 ではでは皆様、あけましておめでとうございます。

 今年もカカたち共々、よろしくお願いします!!


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