カカの天下671「若くて自由で無敵なおかた」
おはようございます、トメです。ふわぁ。
クリスマスも終わり、すっかり年末モード。仕事が忙しい中でも土曜日は休日出勤したくなかったので、頑張りました。なのできちんと休みをゲット、そしてきちんと寝坊しまくりです。
「おはよ」
「おはようトメ君」
「…………」
おー、起きたら母さんが居るってのもいいもんだなぁ。ここ最近、毎朝思うけど。
「眠そうだね、ママご飯作ろっか?」
「んや、いいよ。そんなに腹減ってないからみかんでも食う」
「そっか」
「…………」
さてさて、みかんの積まれたカゴを持ってコタツへ入ろう。
「で、そこの小娘は返事してくれないのな。寝てんのか?」
母さんの膝に目を向ける。そこにはふやけた顔をした妹の頭が乗っていた。コタツに身体が入ってるから生首にも見える。
「ふふふ、我が妙技に声も出ないのだよ」
「…………んぅ」
なるほど、母さん最強の必殺耳掃除か。あれ、ほんと声出なくなるんだよなぁ。姉の技もすごいが、本家には敵わん。
「あとでトメ君もしてあげるね」
「む……」
「あ、恥ずかしい? 恥ずかしいんだ。あは、かーわい」
「うっさい。こんな歳になってまで母親に耳掃除なんか――」
拒否の言葉を口にしかけて、カカの顔に視線を落とす。
とてつもなく幸せそうな顔。母さんの耳掃除、尋常じゃないほど気持ちいいんだよな……僕の意地とあの幸福、どっちを取るか。
「お願いします」
「はいな♪」
幸せになって何が悪い、うん。とりあえずみかん食べよ。
「あむあむ」
「ねーねートメ君」
「なにさ」
「トメ君って誰が好きなの?」
「ぶっ!!」
みかん吹いた。
「な、なんだよ急に」
「ほらぁ。クリスマスで見てたら、良い感じな子がたくさんいたじゃない」
「そうか?」
「うんうん」
「例えば誰だよ」
「サラ君は?」
「サラさんは、まぁ、いい友達だし。最近話しやすくて面白いけど」
「胸とお尻どっちが好き?」
「胸――じゃなくて何をいきなりそんな質問に!?」
「ふふ、どっちもすごいじゃないのサラ君」
いや、まぁ、確かにスタイルいいけどさ! ってなんで素で答えてるんだ僕は!?
「ふむふむ、テンカ君とかは?」
「テンは完全に男友達扱いだなぁ。巫女服でジョッキが似合うやつの、どこに女を見ろってんだ」
「えー。色々バレて慌てまくるテンカ君、可愛かったのに」
「なにそれ」
「見てなかったのかぁ。よし、今度またやっちゃおう」
何をやるのか気になるけど、聞いても教えてくれないんだろうな。この人、楽しみを見つけると密かに土壇場まで取っておくタイプだし。
「おっきい胸とちいさな胸、どっちが好き?」
「別にどっちも――だからなんでそんな質問になるのさ!?」
「あはは、気になるじゃーん」
そしてなんでまたもや素で答えてるんだ僕は!?
「どっちも? 胸の大きさは興味ないのかな」
「どちらかというと、くびれ――じゃーなーくーてー!」
「きゃー、予想外な答えにビックリ! ゆいにゃんまだまだ修行が足りない♪」
恐るべし母さん節……特に何かしているわけでもないのに正直に答えてしまう。
「じゃあ話を戻すけど、サユカ君は?」
「サユカちゃんか」
告白されたこともあるけど……
「年齢がなぁ」
「トメ君、死刑ね♪」
「別に母さんのこと言ってないでしょが!?」
「あはは、冗談よん」
母さん見た目すんごい若いけど、やっぱりそういうの気になるのかな……こればっかりは本気かどうかわからない。
「それでそれで?」
「や、さすがに小学生はヤバイでしょ」
「えー、くっついたら一番面白いのに」
「カカみたいなこと言うな」
「歳老いたサユカちゃんと現在のサユカちゃん、どっちがいい?」
だからさ、だからさ、だからさ! なぜいきなり究極の選択になる!?
「ねーねー、どっちー?」
「みかん無くなったな」
「誤魔化さないで、マジメに考えてよぉ」
じゃ、マジメに考えて……
「養育費と福祉費って、どっちが多くかかる?」
「トメ君、せこい」
「トメ兄せこいよ」
「弟ちゃん。せこ!」
「息子よ、せこいぞ」
「おまえらどっから湧いて出た!?」
うちの家族は今日もダラダラ平和です。
え、質問の答え?
そりゃ……今だろ。
や、ロリコンとかそういうことじゃなくて。歳老いてたらすぐ死んじゃうじゃん。寂しいじゃん。
「つまんない答えにママがっかり」
「悪かったな!!」
クリスマス頑張ったので、今回はゆるゆるーっとした一日を書いてみました。
でも会話内容は……
ツッコみたい人、ご自由に^^