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カカの天下  作者: ルシカ
663/917

カカの天下663「年末のお買い物風景」

 こんにちは、トメです。


 ただいま正午の時間帯、土曜日ということでカカと一緒にデパートまで遠出して買い物に来たのですが……人すげぇ。


「人がゴミのようだ。商品もゴミのようだ」


「店員さんに怒られるから、そゆこと言わないの」


 カカをたしなめつつ、飛ぶようにモノが売れていく様を見ているとお金のほうがゴミのようだなーなんて思ったりする。さすがは年末だ。


「はくしゅっ」


 おや、カカ。くしゃみとは……風邪? いや違うか。人が多くて空気悪いからかな。


「はくしゅっ」「くしゅっ」「ぶぇっくしょい!!」「ちくしょー!」


 おーおー。人が多いせいかくしゃみが周りの人にまで伝染してく。科学的根拠はないけどこういうのってあるよな。でもくしゃみしてないのにちくしょーって何があったんだろう。


「ち、ち、ちくしょん!!」


 それがくしゃみか。なるほど。個性あるね。


「ふわぁ……」「あふ……」「ふあーあ」「くあぁ……ねみゅ……」「でゅみゅ……」


 おや、欠伸も伝染したか。これも根拠ないけど、移っていくように見えることってあるよな。最後のなんか違うけど。


「これおもしろいね」


「こらイタズラ娘。なにする気だ」


「もっちゃらげ! とか言ったらどんな風に伝染するかな?」


「冷たい目線が伝染するな」


 もしくは生暖かい目線か。なんか哀れむような。


「む、そんなことないもん。この街の人は基本的にノリがいいからね」


「ノリがいいにも限度があるだろう。そんな意味不明な言葉を連呼するようなやつ、カカ以外にいないだろうし」


「確かにもっちゃらげだったらそうだけど……これならどうだ! でゅみゅみゅみゅう!!」


 あーあ、叫んじゃった。だからそんなこと言っても冷たい目で見られ――


「でゅみゅみゅみゅう!!」「でゅみゅ!?」「でゅみゅーでゅみゅー」「でゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅう!!」「でゅみゅみゅみゅう三歳」


 伝染率高っ!! 


「でゅみゅみゅうマキシマム!!」「でゅみゅみゅみゅうエキサイティング!」「でゅみゅみゅみゅうバイオレット!」「でゅみゅみゅみゅうコーヒー」


 どこの星の生物の飼育場だここは。そしていちいち最後が変なのはなんでだ。


「どうだ! すごいでしょう」


「うん」


 すごい変。


 さて、この程度でいちいち大騒ぎしてたらキリないよな。買い物買い物。


『迷子のお知らせをいたします』


 お、出ましたお決まりのアナウンス。この前は随分アレな放送だったけど、今回はどうかな?


『心当たりのあるお客様はご連絡ください。では』


 子供の特徴言えよオイ。


『あ、申し訳ありません』


 お、言いなおすか。そうだよな、迷子といえば一大事、ちゃんと詳しく特徴を言わないと。


『上司に怒られたのできちんと説明します』


 それは言わなくていい。


『その子は人間です』


 ったりめーだ。


『たぶん』


 たぶんってなに!?


『なお、お名前はプライバシーの侵害になるため公表できないと判断しました』


 そんなにヤバイお子様なのか。人間だ、ってわざわざ言い直すくらいだし。


「ねぇねぇトメ兄。この迷子ってお姉みたいな人なのかな」


 たぶん人間。


 名前を出したらヤバイやつ。


「かもな」


 世の中広いなぁ。


『続きまして、落し物のお知らせをいたします』


 あらら、やっぱりお客さんが多いとそういうのあるよねぇ。


『飲みかけの缶ビール』


 捨てろよ!!


『銘柄は空読ビール、その中でも最も高い、超一番搾りマックスです。一缶なんと1050円、飲みかけとはいえこれを捨てておくのは惜しいです』


 おお、缶のくせに予約しないと買えないという、あのビールか!


『西口付近に設置してある赤いベンチの隅に置いてありました。缶の底面に小さな傷があります。心当たりのある方はすぐにご連絡ください』


 それにしても明らかに迷子より詳しい説明なのはなんでだ。


『あと五分でこなければ私が飲みます』 


 タチ悪いなこいつ。


「ねぇねぇトメ兄。この人ってもしかしてお姉じゃない?」


 迷子よりもビールに注目。


 ぬるくなろうが人のだろうが、飲みたければ飲む。


「ありうる!」


 声違うけどね。つくづく世の中広いなぁ。


 さて、買い物買い物っと……


 数分後。


『迷子のお知らせをいたします』


 あれ、ビールどうしたのかな。


『好き勝手やりすぎてクビになり、私が路頭に迷いました』


 知らんて。


 さ、買い物買い物……


『誰か拾って』


 この落し者だけは誰も拾わないだろうな。




 ま、こんな風景どこにもないと思いますが笑

 先ほどスーパー行ったらすんごい混み様で、年末すげーと思ってこんな話を書くことにしてみました。


 アナウンスの人は皆さん覚えているいでしょうか? そう、ケンタ君の話の人です。その後ひったくりにあう話です。


 買い物の帰り道、この人を入れたバッグがひったくり犯に盗まれるとかどうだろう? とか考えましたが、さすがに無理があると思ってやめました。

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