カカの天下656「クリスマスのその日、あなたは!」
どうも、トメです。
牛丼的な夕飯も終え、一月からスタートする母さん主演のドラマCMをぼーっと眺めながらコタツにINして座っている今日このごろです。
「トメ兄」
「はいよー」
「これやってみて」
差し出されたのはカカの携帯。寝転がって何をちまちまやってるかと思えば……なになに? 画面を見ると、『クリスマス版KY占い』との文字が。
「これってあれか? いつぞや占いと言いつつ全く占わず、妙に恐怖心を残したまま高らかに笑って去っていったあの嫌味なやつか?」
「プログラムをそこまで擬人化できるのもすごいね」
むしろ単純にそのプログラム自体がすごい。だって僕らで遊んでたし。楽しんでたし。
「まま、私は過去は気にしない女だから」
「僕、男なんだけど」
「そんなことは聞いてない。いいからやれ」
……なんだよぅ。冷たくすんなよぅ。寒い上に冷たいなんて嫌な季節だよぅ冬はよぅ。
「えっと? 生年月日と本名を入力……これだけでいいんだよな?」
『うん』
「携帯に『うん』って返事が出た!? 相変わらず怖いなこのシリーズ!」
「いい加減に慣れなよトメ兄」
慣れてはいけない気がする……
「それで、なんて出たの? ちなみにタケダとシューを占ってみたらね」
「なんでその二人を真っ先に占う?」
「いけにえ」
だろうと思った。
「そしたらね、タケダは『あーあ』って出て、シューは『いろいろあったけど小さな幸せよかったな』って出た」
びみょー……
「で。そんな厄介そうな占いで、トメ兄はなんて出たの?」
「くそー、カカもやれよなぁ! えっと。『七年前のクリスマスと似たようなプレゼントをもらうでしょう』って具体的すぎるなオイ」
「七年前? どんなんだっけ。トメ兄覚えてる?」
「七年前っていったら、僕が高校生のころ……う」
それだけでちょっと嫌な思い出があるんだけど、とりあえずそれは置いておこう。クリスマスでのプレゼントで覚えてるのといったら――
『トメにーちゃん!』
『お、どうしたカカ』
『きょーね、くりすます!』
『ん、そうだな。クリスマスだ』
『けーきたべるひ!』
『おー、そうだな。嬉しい日だ』
『にゃー!』
『にゃー』
『だからね、かかね、けーきつくったの!』
『おお、そりゃすご……い……?』
『はい! たべて、とめにーちゃん!』
『これ……たしかに白くてケーキっぽく積み上げられてるけど、石鹸じゃないか!?』
『うん!!』
『そんな嬉しそうに返事されても』
『がんばっておりょうりしたよ!』
『そ、それは料理じゃなくて工作』
『たべて!』
『ぐ、ぐぐ……そんな笑顔で』
『たべて、くれないの?』
『そんな泣き顔で!! く、くそぅ、石鹸を包んでた袋は!? 説明書きはどこだ! 口に入れてはいけないと書いてないなら覚悟を決める!!』
「――で、書いてなかったんだよなぁ」
目に入ったときはすぐに水で洗い流してください、とか、子供の手の届かないところに保管してください、とは書いてあったが。口に入れてはいけない、とは書いてなかった。
書いとけよ。
「そして僕は逃げられず、覚悟を決めて石鹸をバクバクと」
奥さん知ってます? 石鹸って食べても死なないんですのよ? 多分モノによりますけどね、冗談抜きで口から泡吹きますけどねオホホホ。
……子供の手の届かないところに保管してなかった僕が悪いんです、ごめんなさい。
「な、なぁカカ? クリスマスは」
「秘密」
「危なくないかとか、それだけでも教えてくれ!」
「秘密だってば」
「……せめて石鹸ケーキはやめてくれよ?」
「なにそれ」
覚えてないか。なら安心――できん。こいつのことだから忘れてるからこそ「あ、このアイデアいいかも」とか言ってまた作る可能性がある。
「とにかくクリスマスはお楽しみにね」
「不安だ……」
僕は携帯に浮かんでいる『ざまぁ』の文字を見ないようにしながら、深々とため息をつくのだった。
トメ、シュー、タケダと。数少ないカカ天の男性陣の運命が決まりました。
当日、どのような感じでそんな感じになるのか。
乞うご期待!
にゃー!
あと、純正の固形石鹸とかだったら本当に食べても大丈夫らしいですね。
だからって食べるなよミーたち。