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カカの天下  作者: ルシカ
652/917

カカの天下652「お母さんぱわー」

「こほ」


 こほにちは、サこほですー。


 じゃなくて、こほ。サエです。朝になって今起きたところです。


「んむー、これはやっぱり、こほ」


 最近流行りのあれかな。


「サーエー♪」


 上機嫌な声と共に現れたお母さん。


「おっはよー。今日の朝ご飯はねー」


 手にはお盆とその朝食。


「おはようお母さん。風邪ひいちゃった」


 それが落ちた。


 けたたましい音と共に割れる朝食グッズ。


「…………!」


「あの、お母さん?」


「きゅぅぅぅぅぅー!!」


 え、壊れた? と思ったらものすごい速度で私に駆け寄るお母さん。


「きゅぅぅぅぅぅぅー!」


 そして目にも留まらぬ速さで私の額と喉を触って熱とか確認した後、


「しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!」


 即行で電話しに行こうとしたお母さんの服の裾をつまむ。


「ぶげら!」


 あ、そのせいですっ転んだ。でも止まってよかった。


「きゅーきゅーしゃー! なんてオーバーだよ、お母さん」


「い、一刻も早く110番に」


「私なにしたの」


 それ警察だし。まだバレるようなことはしてないはずだよ?


「救急車でも消防車でも警察でも国会でも呼ぶのー! サエをたすけてー!!」


「きゃー、お母さんをある意味たすけてー」


 ちょっと面白くなって笑いながらノッてみる。すると、


「にゃ」


「にゃ」


「おまえらじゃないのよー!!」


 そりゃないよお母さん。国会とか言うからわざわざ来てくれたんだよ? 総理大臣と官房長官。


「とにかく落ち着いて。ただの風邪だから」


「根拠は?」


「え」


 えーっと……


「こほ」


「きゅぅぅぅぅきゅぅぅぅぅぅしゃぁぁぁぁぁ!!」


「だから待ってって」


「ぶべらっ!?」


 あ、また転んだ。


「そんなにひどくないってばー」


「わ、私の鼻は床と激しくキスしすぎて、ひどい痛みがあるんだけどー……本当に大丈夫?」


「うん」


「むー、それなら呼ぶのはやめるけど……風邪かー、カカちゃんのが移ったかしらー?」


「かも。お見舞いに行ったりしたからねー。そのとき一緒にプリン食べたんだけど、カカちゃんが『サエちゃんの美味しそう、一口ちょうだい』って交換したりしたから、そのせいかも」


「それよ!」


「こほ。やっぱそれかー」


「今からしましょー!」


「なんでさー」


「羨ましいから!」


 ……お母さん、お母さん、私を愛してくれるのは嬉しいけど、風邪まで一緒にひくことないと思うよ?


「とにかくサエ、今日の学校はお休みねー。お母さんも会社休むから」


「え、いいよーそこまでしなくても」


「大丈夫大丈夫、私は三日分くらい前倒しで仕事してるから。一日くらい休んだってへっちゃらぽんですよー」


 さすが私の自慢のマジメお母さん。


「とりあえず、消化のいい朝ご飯を食べた後にお薬ねー。あとは部屋を衛生的に……」


 お母さんの目が部屋の入り口に止まった。


 そこには私を心配そうに見つめてくれる、猫、犬、豚、牛。


「不衛生な獣は出てけー!!」


 お母さんの剣幕に、にゃわんでゅみゅぶもー! とそれぞれの鳴き声をユニゾンさせながら逃げ去っていくアニマルズ。なんか変な鳴き声混じったの気のせい? 


「もしかしてあの子たちがいるせいでサエが体調を……だとしたら今日の夕飯はとってもお肉なパーティーね」


「こほ。そんなこと言わないでよー。せっかく心配して見にきてくれたのに。それにあの子たち、不衛生なんかじゃないよー。ちゃんと一日三回は身体洗ってるし、外から帰ってくるときもちゃんと足を洗ってるし」 


「そ、それもそうねー。だからこそ家の中まで出入り自由にしてるんだし……こないだ日本経済がドアノブを回して開けてるのを見て、思わずビデオに撮りそうになったわよー。投稿したらテレビに出そうなくらい異様に賢くない? あの子たち」


 なにせクララちゃんに翻訳してもらって躾けたからねー。


「どうせ個室がいくつか余ってるし、あげようかしらー」


「あ、それはちょっと」


「あはは、さすがにそれはやりすぎよねー。でも動物小屋は必要だし、この際いろいろと改装しようかしらー。お養父さんのお金で」


 改装かー、それいいねー。人のお金ってところが特にいいねー。


「おっと、そんな計画は後で練るとして、まずは学校に電話ね……えーと――あ、もしもしテンカちゃん? 今日うちの子を休ませるね、ばいばい――っと、これでよし」


 わー軽い。先生から見てすっごい嫌な親みたいだー。


「待っててね、サエ。いまおじや作るから! トメさんが」


「お母さんのじゃないのー?」


「私、作り方わかんない」


「お母さんのがいいなー」


「よしきた」


 えへへ、こういうときくらい素直に甘えないとねー。


 お母さんの看病。久しぶりだもんねー。


「できたわよー」


 お母さんの、手作りのご飯。


 いただきます。


「適当に作ってみたんだけど」


 美味しかった。


 温かかった。


 風邪が悪化した。




 強すぎるお母さんぱわーは毒になります。服用の際は充分に注意しましょう。


 さて、私の風邪を移すためにサエちゃんにひいてもらいました。最近かわゆいのが続いてたので、今回はコメディちっくに。

 カカ天アニマルズに関しては色々コメディ補正がかかってるのでノーコメントで。

 それにしても便利だコメディ補正。

 

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