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カカの天下  作者: ルシカ
642/917

カカの天下642「カカVS姉娘 うぃんたぁ」

 んにゃ……おはようございまふ、ふぁ……カカです。


 今日は学校がお休みの日です。そして今起きたとこです。


「さぶ」


 布団に包まります……でも眠くないです。寒さで起きちゃいました。でも布団から出たくないです。


「でも……でもあそこには、アレが」


 よし!


 意を決して布団をふっとばし、ダッシュ!


「んあ? カカおは――」


 廊下で出くわしたトメ兄を無視して居間へと走る!


 そして居間に入った瞬間にスライディング!


 座布団をふっとばしながらズザザッとコタツにIN!


「ふぃー……ぬくぬく」


 私の朝の戦いは終わった。


「おいカカ」


「あ、おはようコタツ。おはようトメ兄」


「おはよう。ところで僕はコタツの次かい?」


 だってこんな幸せを与えてくれるコタツ様にまず挨拶しないとバチが当たるよ。コタツの電源が入らなくなるとか。そんなの拷問だし。


「ま、いいや。そんなことより……カカ、コタツの中覗いてみ」


「ん、また総理大臣とかでもいるの?」


 そういえばコタツにINしたときに、中のものを何か蹴飛ばしたような。コタツ布団をめくって中を覗いてみる。


 赤くて狭い、その世界で。


 まんまるい四つの目と視線があった。


「……タマちゃん?」


「おう、あたしもいるぞ! おはようカカちゃん」


 二人がコタツの中で丸まってる。


「タマちゃんはともかく、お姉は年甲斐もなく何してるの」


「む、なんだよう。コタツっていうのはこうやって楽しむもんなんだって、タマに教えてたところなのに」


 のそのそとコタツから脱出しながら言うお姉。確かにコタツの中に潜り込むのはよくやった。でも大人がやるとみっともないね。


「私、タマちゃんとか蹴っちゃったかな」


「や、あたしが反射的にガードしたから大丈夫」


 さすが。


「それで、なんで二人がいるの」


「コタツがあるから」


「……それだけの理由で?」


「シューんちのコタツは新しく買うんだとよぅ。だから出すのはもう少し後になんのよぅ。その間、タマにコタツを味あわせてやれないのは可哀想っしょ?」


 むう、そういうコタツ的理由なら仕方ないか。


「それでさ、タマちゃん。そこから出ないの?」


「あたかー」


「あー。あったかいねーうんうん」


 出ないらしい。


「おーい姉、朝飯作るの手伝え」


「えー。あたし何もできないよ?」


「しないだけで何でもできるくせに戯けたこと抜かすな」


「えー!」


 文句を言いながらもトメ兄と一緒に台所へと消えていくお姉。さて、それじゃあタマちゃんと二人きりになったわけだ。


「……でもつまんない」


 タマちゃんコタツから出てこないし。


 しばらくしたら出てくるかと思ったんだけど……


 うーん、待てない。


 ちょっと覗いてみよ――


「……ん、なんだこの、美味しそうな匂い」


 朝ご飯の? や、でもすごく近くから匂ってくるような。


「まさかタマちゃん、コタツに焼かれてタマゴ焼きに!?」


 なんだか近くからジュー……! とフライパンでタマゴ焼いてるような音も聞こえてるし! しかもこの匂いは!


「タマちゃん焦げてる!?」


 怖くて覗けな……い?


 ふと隣を見る。


 ジュー……! と音を立てて焼ける玉子を乗っけたフライパンを持ってるお姉がそこにいた。


「えへ」


「消えろ、紛らわしい!」


 何しにきたんだまったく……焦げた匂いしたけど、あの玉子大丈夫かな?


 玉子は心配しつつ、タマちゃんのほうは安心しつつコタツ布団をめくってみた。


 するとそこには黒い物体が!


「やっぱり焦げた!?」


「う?」


 あ、お尻だった。服の色だった。よかった。


「あれ、どしたのタマちゃん。出るの?」


 私が布団をめくった場所からニュッと顔を出すタマちゃん。


「あつい」


「ずっと中にいたら、さすがにそうだろね」


「さむい」


 あ、戻った。


 そしてしばらくして、今度は私の座る反対側からニュッと顔を出すタマちゃん。


 そしてまた引っ込む。


 今度は右からニュッ。


 またまた引っ込む。


 どうやら中は暑く、外は寒いために行ったりきたりして調節しているらしい。


 そこかしこからニョキニョキと出たり引っ込んだり……おもしろい。


「よーし」


 ちょっと名残惜しいけど、一旦コタツから出る。


 そして待ち構え……


 うまく私の前にニョキッと生えてきたタマちゃんに、まだひんやり冷たい左手を首筋にピタッと攻撃! 


「ひゃふ!」


 びっくりしてブルッと震えたタマちゃんは慌てて引っ込む。


 やがて、私の反対側にニョキッと生える。慌ててそっちに回りこむけど、


「きゃっ」


 辿りつく前に引っ込む!


「よーし、勝負!」


 私とタマちゃんの戦いが幕を開けた。




「……もぐら叩きだ」


「……もぐら叩きだね」


「はぁ、はぁ。あ、トメ兄にお姉、ご飯できた?」


「ふにゃあー」


 コタツもぐらとの戦いを終えた私は息を切らし、暑い中で運動していたタマちゃんはふやけてしまっていた。


「できたよ、でも聞いてくれ。姉がふざけたせいで焦げたから一品追加したんだよ。そのせいで時間かかったんだ」


「なにさ! ちゃんと食べれる部分もあったでしょ!」


「焦げた部分を取り除いたら半分もなくなったわ! ともかく皿を並べるぞ」


「はいはい、皿ちゃんぷりーず! サラちゃんはこなくていいよー!」


 サラさんいないからね、言っとくけど。


「私疲れたから手伝わないね、よろしく」


「カカ。おまえもさ、もう少しおとなしい遊びしろよ。コタツが壊れても知らないぞ」


 それは困る!


 というわけで、朝ご飯を食べた後はタマちゃんとおとなしく遊ぼうと、ビーズを出してきたのですが。


「ほら、タマちゃんこれ」


「ぱっくんちょ」


「ぎゃー!!」


 細かいビースをぱっくんちょしちゃったタマちゃんで大騒ぎになるんだけど、それはまた別の話。




 タマちゃんリクエストぽいのがあったので書いてみました。キャッキャとはしゃぐコタツ虫で和んでいただけたら幸いです。

 コタツうらやましい(まだ言ってる

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