カカの天下641「コタツ記念日2」
毎度こんにちは、トメです。
今年は寒くなるのが早いですね。このままじゃ凍死しちまうぜーということで、こいつの出番です!!
「祝、コタツ記念日!!」
おおはしゃぎなカカの言うとおり、おコタツ様のご登場です!
「はぁー、温かいですー」
「ちょっとサエすけ、そっち詰めなさいよ」
「姐さん、ほれ」
「ありがとテンちゃん……おとと。んぐ……くはぁ! コタツに熱燗、染みるねぇ!」
「おほほ、みかんはまだかしら?」
「おぉ……生き返るようじゃあ……」
なんで集まってんだあんたら。
「どしたのトメ兄。コタツ入りなよ」
「入る隙間ないだろが」
「そこは詰めるんだよ」
「そもそも、なんなんだこの集まりは?」
僕の至極まっとうな疑問に、カカは胸を張って答えた。
「コタツ記念日だよ!」
「説明なってない」
「コタツだよ!」
「短くしただけ」
「タツよ!」
「勝手に立てよ」
あー、よくよく思い出してみれば去年もコタツ出したときにこのメンバーがいたような。
「カカ、またコタツ出すって喋り回ったのか?」
「んーん、なんか勝手に集まった」
コタツすげぇ。
「まーまーいいじゃないですかトメお兄さん」
「大勢のほうが楽しいですよ、コタツ!」
狭いだけだと思うんだが。
「トメ、つまみ」
「早くしなよ弟君」
こっちはこっちで宴会モードで僕への気遣いなんかまったくありゃしねぇ。
「おほほ、みかんみかん」
校長はなんか子供みたいで可愛いし。
「ふぃー……」
この近所のおじいさんは――近所のおじいさん!?
「あ、あの。おじいさん? ここは僕らの家ですので、その……お帰りになっては?」
「わしはもう、帰る家がないんじゃ……」
「どうぞ心ゆくまで温まってください!!」
寒いよう。心が寒いよう。どうか心にもコタツをおくれ!
「さて、ここで!」
ん、なんだカカ。唐突に。
「コタツ選手権を行います]
なんぞやそれ。
「コタツのいいところを一番うまく言えた人の勝ち。私から時計周りに言ってくからね」
ふむ。全員元気よく手を上げて賛成みたいだ。その手がことごとく黄色いのはみかんのせいだろう。
「じゃ私、いきます!」
何を言う気だ。
「ぬくい」
……それだけ?
「次!」
「ぬくー」「ぬくいわっ!」「ぬくいぜ」「よってらっしゃい、ぬくいよぬくいよ!」「ぬくいですわ」「ぬくいのぅ……」
「全員優勝!!」
なんだそら。
とは言いつつ気持ちはわからなくもないがね。そんな意味不明なやりとりで盛り上がられるほど緩い気分にさせてくれるのがコタツだし。
「で、トメ兄はいつ入るの」
「む」
そうなのだ、僕だけまだコタツに入っていないのだ。
「だからさ、入る余裕がないだろうっての」
「だからさ、それでも入るならどこを選ぶのって聞いてるの」
「買い物いってきます」
「逃げるな!!」
そんなこと言ってもな……よし。
「アイス買ってくる」
「行ってよし!」
コタツにアイス。これはやっとかないとね。コタツっていろんな食べ物が美味しくなるから不思議だよなー。コタツは食べ物じゃないのにねー。コタツすげー。
そして、アイスを買って帰宅して。
なんだかんだでコタツに入ることになり。
ややこしいからもう全部入ればいいだろう、と――
「お、トメきた」
「おっし弟君、飲め!」
「はいはい」
姉、テンコンビの場所にいき、
「トメお兄さん、ようこそー」
「とと、トメさんっ! はい、あーん!」
「サユカちゃん、みかんはいいんだけど皮は剥いてくれ」
サエちゃん、サユカちゃんコンビの場所にいき、
「おほほ、トメさんがきましたよ。はい、みかん」
「や、移動するたびに何か口に入れるのもどうかと」
「いえいえ、こちらですよ」
「こちらって、じーさん?」
「あーん……」
「じいさんに食わせろと!?」
「わしは、ここ数日何も食べておらんのじゃ……」
「みかんでよければ!!」
ご高齢コンビの場所にいき、
「カカ」
「ぐー」
最後に、いつの間にか気持ち良さそうに寝てるカカの横に落ち着いた。ったく、ちゃんとコタツ布団かけろよ。ほいっと。
そしてしばらく雑談して、カカが起きたころにアイスを食べて、皆が帰った後。
コタツの中を覗いてみると。
「あ、いたんすか。総理大臣、官房長官」
ここで何を話しあっていたんだろう。きっとぬくいことなんだろうなぁ。
ぬくい日本になればいいなぁ。
さて、またコタツ入ろ。
今年は寒すぎるので去年より早くコタツ登場!
書いといてなんだけどコタツ……いいなぁ。ほしい……けど置く場所がない!
ちっさいの買ってベッドの上にでも置くかなぁ。