カカの天下633「こういう仕返し」
いったあああああああああああ!!
こ、こんにちは、カカです……いきなりすいません。
「大丈夫か、カカ!」
「足見せてー」
「うわ、もう腫れてるじゃないのっ!」
そうなのです。
今日も仲良く四人で遊んでいたのですが、私が調子に乗って公園の滑り台からジャンプして着地失敗、見事に足を捻ってしまったのです。
「こりゃ捻挫だな。カカ、痛むか?」
「うぬぅ」
「肯定なのか否定なのかわからん返事すんな」
「ばりばり痛い」
「ばりばりかー……」
「ばりばり掻いていいっ!?」
「死ぬからやめて!!」
ほんとに痛いんだよぅ。
「仕方ない、僕が背負って帰るか」
「ぬぉぉぉ」
「カカすけったら、なんて可愛くない声」
「顔も可愛くないー」
「少しは心配してよ!」
足が痛くて痛くて、トメ兄の背中に乗るのも一苦労……
お?
「ん、どうしたカカ」
なんか、思い出した。
「お、おい――」
――小さい頃。
「とめにーちゃん、おんぶ」
「うぐ、また来たか」
私はことあるごとにトメ兄におんぶをせがんでいた。
「あのな、カカ。僕さ、今ちょっと捻挫してて」
「おんぶー」
「や、あのな? 足が痛くて」
「おんぶぅ……」
「痛いから、その……」
「とめにーちゃん! おーんーぶぅぅぅぅー」
「……うう」
「とめにーちゃん、かかのこときらい?」
「……はぁ」
「わ、とめにーちゃん」
「よいしょっ……と……ぐ」
「んあ? 何やってんのさトメ!!」
「姉……や……おん、ぶ」
「わーい!」
「カカちゃん大喜びだけど、あんた顔白いよ」
「うん……いだい」
「ほらカカちゃん。あたしがおんぶしたげるから」
「ぎゃー!!」
「ぎゃーってカカちゃんアンタ……」
「あっはっは、僕じゃなきゃ嫌なんだよなーカカは」
「死にそうな顔して何言ってんだか! ふーんだ!」
「なーに、カカの泣きそうな顔のほうが痛いよ……いだだだ!!」
「わーい、とめにーちゃん大好き」
――うあ。
「か、カカ? なにやってんだおまえ!?」
「カカすけがトメさんを背負ってどうするのよ!」
「ぬぅぅぅぅ」
痛い痛い痛い痛い痛い!!
「お、おいカカ」
「うっさい黙れ!!」
あーもー痛いなー! 死ぬほど痛いなー! これより私が泣く方が痛かったなんて! どんだけ私のこと好きだったんだトメ兄は!?
「カカちゃん、どーしたのー?」
「ななな……なんでもないぃ」
「そっかー」
あっさりと引き下がるサエちゃん。何かわかってくれたのかな。
「おいカカ、バカなことしてないで下ろせ。捻挫がもっとひどくなるぞ」
それをあの頃のトメ兄に言いたい!
「いいから! 家に帰るまでこれで行くの!!」
「んー……?」
特に意味はないけど、自分への罰というかなんというか! 今思い出すと悔しくなったというか! トメ兄あのときごめんっていうか!
「んー……あ」
ん?
「痛っ!」
さらに激痛を感じた足元へ目を向けると、そこには私の弱点を突いたと思われる棒が! その棒を持っているのは――トメ兄!
「何するのトメ兄!?」
「やー。そういや昔、背中からこんなことするヤツがいたなーと」
思い出しやがった!
「な、なんのことかね」
「あの頃は可愛かったのになー」
「はいはい帰るよ!」
「かか、とめにーちゃんのこときらい?」
「あー嫌いだよ、だいっ嫌いだよ!!」
「わーい」
「うっさい! 帰るよ!!」
うぉぉぉぉぉぉ! 根性!
「私たち、置いてけぼりだねー」
「そうね……って! 止めないとっ!」
「いいからいいからー。カカちゃんの気の済むようにしてあげよー」
後ろの声も気にならないくらい、私は痛みに耐えている!! でもへっちゃらだもんね!
「わーい。カカ大好――」
「それだけは言うな!!」
その後、なんとかトメ兄を家まで運ぶことができた。
腫れあがった自分の足を見て、あのころのトメ兄の足はどうだったかと思い出そうとしても――浮かぶのは楽しかった思い出ばかり。子供の私が鈍かっただけかもしれないけど、そういう部分を見せないで私を楽しませてくれてたんだよね。
ごめんね。
そしてありがとう、とめにーちゃん。
……言わないけどね。
さりげに要望が多いチビカカ、ちょこっと登場。
もっと出せという方は言ったほうがいいと思うよ!
あと、カカラジの通りに旅行者さんが一週間頑張ってくれたから、感想欄の感想も書いてもいいと思うよ!