表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
626/917

カカの天下626「花屋っぽい店」

 こんにちは、サラです。


 いきなりですが、今日はちょっと私の仕事風景なんかを紹介してみたいと思います。


「おはようございます」


「お、サラちゃんおっは!」


 その紹介で欠かせない人物がこの人、カツコさん。


 私の友達トメさんのお姉さんであり、花屋さんの先輩でもあります。


「すいませーん」


「ヘイらっしゃい!!」


「これください」


「あいよ!!」


 花屋さんにしては威勢が良すぎるのが玉に傷です。でもこれはこれでお客さんにウケているみたいです。


「今日はバラが安いよ!」


「じゃあそれ一つ」


「並盛りでいいかい?」


「特盛りで」


「あいよ! 特盛り一丁入りまーす!!」


 とても花屋さんとは思えません。


「おーい、白バラさーん、お菊さーん」


 カツコさんが花束を作っています。本人曰く、お花に返事をしてもらっているそうですが、そんなことを知らない他人から見れば楽しく歌いながら仕事している様にしか見えず、笑みがこぼれてしまいます。


「……にゃろう」


「あれ? どうしたんですかカツコさん、せっかく作った花束をばらばらにして」


「こいつら嘘の返事をしてやがった。黒バラのくせに自分は白いとか……サエちゃんかっつーの」


 たまに花に遊ばれることもあるみたいです。


「さてさて、水でもやろっかね! サラちゃん、そっちお願いねん」


「はーい」


 花の様子を見ながら水やりをしていて……ふと見ると、カツコさんが外へフラフラ出て行きました。


「おまえも元気ないな、ほれほれ」


 そう言いながら店先に生えてる雑草にも水をあげている姿は、なんとも微笑ましいものがあります。普段の粗雑で邪悪な印象とは大違いです。


「こ、こんにちは!」


「おぅ、らっしゃい」


「いらっしゃいませー」


 お店にお客さんとして必ず毎日来るのがシューさんです。多分仕事中です。


「お姉様、これとこれ、花束にしてください!!」


「ほいほいほい、と。ほれ」


「ありがとうございます!」


 代金を受け取るカツコさん。


 そして。


「お姉様! これ受け取ってください!」


 たったいま買った花束をカツコさんに捧げるシューさん。


「ありがとさん」


 当然のようにそれを受け取り、バラして再び商品として戻すカツコさん。


 全くもって意味のない行動に見えるんですけど、店の売り上げは上がるし、シューさんは満足げなので、きっとこれでいいのでしょう。毎日見てるとさすがに哀れですけど。


「んしょ、っと」


「あら、カツコさん。それなんですか?」


「ミニ黒板。これに今日のおすすめを書いて店先に置こうかと思ってさ」


 ますます花屋さんっぽくなくなりますね。


「どれどれ……はて? 『黒のフリフリ』ってなんですか?」


 黒のフリージア? え、でもフリージアに黒色なんてなかったような……


「ふふん、わかんない? 今日のおすすめ」


「はい、全然。黒のフリフリ……?」


「サラちゃんの下着」


「えぅ!? なんで知ってるんですか!!」


「着替え覗いた!」


「嘘っ!?」


「うっそーん!」


 で、でも今日の私の下着は確かに……!


「あっはっは、黒ちゃんって可愛い下着好きなのねぇ」


「サラです!! な、なんで、どうやって!?」


「ん。サラちゃんさ、家に花を飾ってるっしょ」


 え、ええ……一応、花屋さんしてますから。


「そいつらから聞いたのよ、風の噂ならぬ花の噂で」


「わ、私の部屋には置いてないのに!」


「花に目なんかないでしょ? 見るんじゃない、感じるんだ」


 そんなどこかの映画みたいなことを!!


「とにかく勘弁してください!」


「わかったわかった。書き直すよ、ほれ」


 『今日のおすすめ。はいてない』


「わかってない!! 何もわかってないです!」


「よぅよぅボウズ、スカートめくりしたくないかい?」


「通りすがりの子供に変なこと吹き込まないでください!!」


「皆さーん、この娘はいてないですよー!!」


「変な宣伝しないでください!!」


「安いよー!!」


「何がですかぁぁぁぁ!!」


 とても頼りになる先輩は、とても厄介な先輩でもあるのでした。


「サラちゃんごめん、そんな怒んないでよ」


「もう知りません」


「あたし何でもするからさー」


「本当ですね」


「おう!」


「じゃあ店先に五分間立って、宣伝してください」


「……それだけでいいの?」


 素直に店先に立つカツコさん。


 私はその横に、今日のおすすめが書かれたミニ黒板を置いた。


 私が書き直した文字は――


『今日のおすすめ。あたし』


 石化するカツコさん。それに構わず仕事に戻る私。そしてそれを見た通行人の皆様は……


「ぷっ」


「くすくす……なにあれ」


「恥ずかしくないのかね、自分がおすすめだなんて」


「絶対に売れねぇな」


「え、売れ残りセールじゃないの?」


「なにさあんたら!! 揃いも揃って笑ってんじゃないわよ!!」


「はい、お金」


「見世物じゃないわ!! でもよこせ!! ……もうちょっと払え」


 この商店街は今日も平和です。 




 意外と繁盛しているらしい花屋さん。看板娘と看板バケモノは今日もちょっとだけ騒がしい。


 それにしても昔の話を読み返したら予想以上に拙く、修正したい場所が山ほど出てきて困りました。気がついたら朝まで修正してていつの間にか出勤時間でした。ま、一日くらい寝なくても死にはしませんよね!


 感想欄も楽しいことになってきたし、まだまだ頑張りまっす笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ