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カカの天下  作者: ルシカ
624/917

カカの天下624「秋、焚き火、そしてヤツら」

 こんにちは、カカです。


 今日はいい天気だけど少し寒い、そんな秋らしい日。


 こんなときこそ、やっぱり――焚き火に焼き芋!!


 事の発端は、お姉がどこからかさつまいもを調達してきたことから。ちょうどいいことに私の家の庭には落ち葉がたくさん、サエちゃんちには燃やすものがいっぱい。これはやらない手はないだろう、ということで……集まることができたメンバーで焼き芋会です。


 集まったのは、


「ねーねー、お母さんねー、サエのおならが嗅ぎたいなー」


「ねーねー、お母さんさー、マジやめて」


 燃やすものを持ってきてくれたサカイさんサエちゃん親子と、


「わたしのお尻は大丈夫……わたしのお尻は大丈夫……今日はキュッとしてるからっ!」


 トメ兄の前でアレをかまさないか心配しまくってるサユカンと、


「あとで仕事終わったあたりのサラちゃんに持ってってやるかな。あたしってばやーさし」


 さつまいもを持ってきたのはあたしだから一番たくさん食べなければ、と意気込んでいるお姉と、


「姉、あんたそんなこと言いつつ連れてこなかったのは自分の取り分が減るからだろ? だからサラさんに悪いと思って一個だけ持ってく気だな」


 えっと……何もないトメ兄、そして主人公の私、以上!!


「なんだよカカ。そのつまらないものを見るかのような目をなぜ僕に向けている?」


「この役立たずめ」


「なんだよ! そりゃ僕は何もしてないけど、それはおまえだって同じだろ?」


「ふ、甘いね。私はちゃーんと燃やすものを持ってきたよ」


「……む」


 すでに皆で協力して落ち葉を集めていたので、あとは燃えるものを添えて火をつけるだけ。


「あたし組み立てるよん」


 さすが野生のお姉。落ち葉と枯れ木を使ってちょちょいと焚き火の枠組みを整えてしまった。


「そんじゃ燃やすものちょうだい」


「はいー。おねーさん、この手紙全部燃やしちゃってー」


「中見たの?」


「うん、勉強になったー」


「勉強に? なに、具体的な子供の作り方でも書いてあったの?」


 そんなラブレター嫌すぎる。


「んーん、いくらラブレターに気持ちがこもっていても、誤字脱字が多かったら萎えるんだなーって」


 なるほどね。やっぱり気持ちを伝えるなら直接がいいのかなぁ。


「じゃ私も。これ燃やしてよお姉」


「なにそのでっかい布」


「運動会のときのふんどし」


 あれ、どうしたトメ兄。ずっこけて。


「な、なんでそれがここにあるんだ!? 確かに燃やしたはずなのに!!」


「バカだなぁトメ兄。忌まわしいものは捨てても燃やしても持ち主のところに戻ってくるって常識を知らないの?」


「そんな恐怖映画の常識知らんわ!!」


 なんで一枚しかないと思うかね。私たちがあの言葉にたどり着くまでには色々とサンプルがあったのだよ。


「まずはどれ燃やす?」


「んじゃこれ」


「ぶはは! カカちゃんなにこれなにこれ! なに書いてあんの!?」


「ん、『もっこり』だよ」


 お姉は爆笑。サカイさんも口元を押さえて笑ってる。トメ兄は嫌そうな顔をしながらも笑ってて……結構ウケたな。案としては『我々こそはもっこり』っていうのがあったんだけど、それでもよかったかなぁ。


「ほら、焼き芋。ホイルに包んだぞ」


「さんきゅー弟君」


「どうだカカ! これで僕も役にたっただろう」


「でも笑いはとれてないよ?」


「……なんでとる必要がある」


 そんなやりとりをしているうちにお姉はさっさと焚き火の中にさつまいもを放り込み、着火。パチパチパチ、と心地いい音が聞こえてくる。


「まだかなーまだかなー」


 にこにこ待ってるサエちゃんかぁいいなぁ。


「……ちょうちょっ!」


 サユカンはなぜかサエちゃんの髪で遊んでいた。私もやろっかな。


「暇だね。サカイちゃん、何かおもしろい話ないの?」


 そう、暇なんだよね私ら。


「ふっふっふー」


 そんな私たちを救済しようと、ついにサカイさんが立ち上がった!


「焼き芋といえば私たち! サエ、いくよー」


「うん、お母さん。アレだねー」


 なんだなんだ?


「ミエサエの小粋なジョーク!」


 こほん、と息を整えた親子は――


「Hey! ちょっと聞いてくれよマイケル!」


「Oh! どうしたんだいジョーイ?」


 うわ出たジョーイ&マイケル!! そういえば……元はサカイさんの小話から生まれたんだっけ。


「最近うちのワイフが焼き芋を食べないんだYO!」


 ノリノリなジョーイサカイさん。


「おっとぅ、それは一大事だ! 一体どうしたというんだい?」


 こっちもノリノリなマイケルサエちゃん。


「しかもそれだけじゃないんだ! 相変わらずおならでブーブー呼吸してるし歯には薄らと黄色いものが付いてるんだ。おかしいYO!」


「はっはぁん? 間違いないね、そいつは浮気さ!」


「アゥチ! なぜそう思うんだい!?」


「きっと隠れて愛人とさつまいもを食ってるのさ!」


「なるほど! 君の頭は冴えてるNE!」


「サエだからNE!」


 ……え、終わり?


「数日後」


 まだあった。


「Hey! ヘイ! 屁を射ると書いて屁射! 聞いてくれよマイケル!」


「Oh! やたらとテンションが高いね、どうしたんだいジョーイ?」


「あの後ワイフを問い詰めたんだよ! そうしたら知らない知らないとシラを切り通すから、勢い余って別れちゃったYO!」


「ワォ、思い切った決断をしたもんだ! ところでジョーイ」


「なんだい?」


「考えてみたんだけど、浮気はやっぱり勘違いだったんじゃないかい?」


「ホワッツ!? どうしてそう思うんだい!? 途端にさつまいもを食べなくなったのはどう説明するんだい!?」


「飽きたんじゃないかい?」


「おならが続いていたのはどう説明するんだい!?」


「お腹を壊してたんじゃないかい?」


「歯が黄色かったのは!?」


「歯を磨いてなかったんじゃないかい!?」


「HAHAHA! こいつぁまいった!」


 いつも思う。この人らの笑うタイミングがさっぱわからん。


「でもいいさ! そんな下品な女とは別れて正解だったよ!」


「それじゃあ君のワイフはこのマイケルがもらった! 計! 画! 通! り!」


「結局は浮気してたんじゃないかYO!」


 ぺこり、と二人して頭を下げる親子。


 なんとなく拍手する私たち。


 ナンダコレ。


「な、内容はともかく息ぴったりねっ」


「私の子守唄代わりだったからねー、この二人のお話」


「……こんなの寝る前に聞いてたらカカみたいになりそうだな」


 なにおう。


「あたしこれ好きだわぁ……ねぇねぇジョーイサカイちゃん」


「Hey! なんだい!?」


「あたしもたまにそのジョーク聞いてたけどさ、なんでさつまいもとおならの話ばっかなの?」


「HAHAHA! それはね、このお話の対象年齢が小学生以下だからさ!」


 なるほど。小学生以下は好きだよね、おならのネタとか。


「お、姉。そろそろ焼けたんじゃないか?」


「ん、いい感じ!」


 サカイ親子のおいもジョークのおかげで暇を持て余すことなく焼き芋にありつけた私たち。


 ほっこり焼けた芋はとっても美味しくて、そのときの様子も細かく教えてあげたいとこだけど……だめ。


 だって、おならの音とか聞いてほしくないもんね。


 ほくほく、んまんま。




 なんか要望多いのでジョーイマイケルまたもや登場です。いつぞや焼き芋といえば――というリクエストいただいたので書いてみました。


 ちょっと下品風味が多くなってます、そうゆうの嫌いな方はゴメンナサイ^^;


 明日はカカラジですねー。何かネタがあったら遠慮なくどぞ^^

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