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カカの天下  作者: ルシカ
621/917

カカの天下621「幸せな悩み」

 こんにちは、サエですー。


 今日は私の誕生日です。そんなわけでー……


「サエちゃん、おめでとう!」


「サエすけ、おめでとっ!」


 お祝いをしてくれるために、二人の親友がうちに駆けつけてくれました。


「しっかしさすがねサエすけ、カカすけに負けじとプレゼントたくさんっ」


「さすが私の嫁!」


「もしもしカカすけ? その嫁のファンが大勢いるわけなんだけど」


「ファンならばよし! 手を出そうというなら私がすべて倒してやる! どすこい!」


「なんで相撲なのよ?」


「昨日のおもしろかったんだよ」


「え。どんなのよっ」


「まわしが取れたの。しかもダブルで」


 二人はいつも賑やかだなー。


「……まったくもう、サユカンたら今日は何をしに来たの? サエちゃんを祝いにきたんでしょ。それなのにモロだしがどうだの立派だっただのソレばっかり」


「言ってるのは君でしょがっ!」


「さて、このプレゼントはなんだろなっと。開けていい?」


「うん。三人で開けて楽しもうと思って取って置いたんだもんねー」


「こらっ! 聞きなさいよっ! もぅ知らないっ……何入ってるのよっ」


 拗ねきれないサユカちゃん萌えー。


「お、懐かしや。カボチャの仮面……じゃないや。ランタン?」

 

 ほんとだ。よくハロウィンで見るような、悪戯っぽい顔に掘られたカボチャが箱の中から飛び出した。


「光ってるじゃないのっ! もう電池入れてあるの?」


 んー、これはー。


「電池じゃないねー。何か入ってるねー」


「はえ? それが光ってるのか」


 なになに? ふむふむ。


「わかったよー、何が中で光ってるのか」


「なになに?」


「タナカとその兄貴の怨念だー」


「誰の何だか全っ然わかんないわよっ!!」


 あ、カカちゃんが無言でカボチャに箱をかぶせた。


「次のプレゼントいこうか!」


 なんて爽やかな笑顔だろう。今見たことを忘れろと言わんばかりだー。これはもー、いつかカカちゃんが寝てるうちにこのランタンを枕元に置いて驚かせるしかないね。


「メッセージもいっぱいきてるね! えーと?」


『プレゼントに僕を上げます♪』


「……こんなのばっかね、全部ファンクラブからみたいよ?」


「サエちゃん」


「なに? カカちゃん」


「これ燃やしていい?」


「ダメ。焼き芋用に取っておこー」


「焼き芋なら仕方あるまい。命拾いしたな小僧ども」


 せっかく送ってきてくれたものは有効に使わないとねー。


「じゃ次いくわよっ! えっと、差出人は『関西地区在住の魔導師という名の手品師』って書いてあるけど」


 関西かー、知り合いなんていたっけー?


「ね、サエちゃん。箱の中からなんかガサゴソ音がするんだけど」


「大丈夫だよー。さっきのカボチャよりは安全なはずだからー」


 何も感じないしねー。どれどれー?


 箱を開ける。


 その中には――


 全体は白っぽいのに、お腹だけ真っ黒な子猫が入っていた。


「飼おう!! サエちゃんはこの子を飼うべきだよ!!」


「ちょとまてーぃ」


「サエすけの生き写しだわっ!」


「私は猫耳でもなければ尻尾も生えてないんですけどーぃ」


「だってお腹が黒いわよっ!」


「それが全てさ!」


 そこまで断言されると何も言えないよーぃ。


「ねね、サエすけっ! その子猫抱いてみてっ!」


 こう、かなー? おそるおそる……わ、柔らかい。しかもすごくおとなしー。


「魔女と黒猫の組み合わせくらい似合う!!」


「嬉しくないよー」


「目元がそっくりねっ」


「私の子供みたいな言い方よしてー」


「ほんと、そっくり!」


「なんで子猫のお腹に向かって言うのー?」


 うーん……飼えるかどうかはわかんないけど、お母さんに聞いてみようかなー。しかしこの人どういうつもりで送ってきたんだろー? 


「や、こんなのくるとオラわくわくしてきたぞ!」


「わたしもよっ! ほらほら次のプレゼントいきなさいよっ!」


「もうどうにでもしてー」


 正座して膝の上に乗せるとにゃあにゃあ転がり始める腹黒子猫。うん、おまえやっぱり腹黒だねー。そうやって可愛さをアピールしてうちに住みつくつもりなんだねー。


「……そこの二人ー? なに『私にぴったり』とでも言うかのようにニヤニヤしてるのー?」


「んふふ、べっつにー」


「さ、次はこれよ! 差出人はケイさんだってっ! 中身は……」


 白い腹巻き。


「……そこの二人ー。なんで口元押さえて蹲ってるのー」


「ぷくく……さ、寒い日は安心ねっ!」


「黒い日も安心だね」


 あ、二人して爆笑したー! むー!!


「いいもんいいもん、私の味方はこの子猫ちゃんだけだもん」


「サエちゃーん! 仲間とばっかり仲良くしないでさ、ほら次のプレゼント見よう!」


「今度はミンチさんて人からよ」


 なにさー。おにくー?


「漂白剤」


「……なーにおーぅ?」


「どんな黒さも驚きの白さに」


 二人が再び爆笑したのは言うまでも無い。


「ぷくー!」


「まぁまぁサエちゃん。そんなに頬を膨らませて拗ねないでよ。でも可愛いからハイチーズ! パシャリとな」


「お、いい感じで写メ撮れたわねカカすけっ! あはは! 頬がまんまるでかーわいー!」


「ぷくー!!」


 可愛いとか言われても機嫌は直らないもんねー!


「まぁまぁまぁまぁサエちゃん! 機嫌直してよ! すごいプレゼントがあったからさ!」


 今までのも充分ネタとしてすごいよー! 悪い意味でー!


「ほんとすごいわよ! ケマリしたい、って人からなんだけどっ」


 したいなら勝手にやってればー? それともケマリの死体なのー?


「ほらほら、機嫌なおして」


「ぷくー」


「……ねぇねぇ、サエちゃん。せめてこっち向いて」


 ……仕方ないなー。


 くるりと振り返る。


 まん丸に膨らませていたほっぺがカカちゃんの指で押されてぷしゅーと潰れた。


「あぁ、柔らかすぎる可愛いすぎる!」


「膨らませたほっぺと言えば指ぷしゅーよねっ! サエすけ、わたしにもやらせてっ!」


「知らにゃい」


「あ、やりすぎたかもっ! カカすけ、こういうときこそあのプレゼントよ!」


「うん! サエちゃん、これを見て!!」


「……なにさー」


「万札」


「誰さこんなの送ってきたのー!?」


 それからもうちは大騒ぎで。


 どこの誰から送られてきたのかよくわからないプレゼントに一喜一憂して。


 なぜだか私と腹黒を結びつけようとするものが多かった気がするけど、楽しかったから許してあげよー。ありがたく思えー。それにしてもパコちゃんの説明書をわざわざ送ってくれた人は何者だろー。名前まで知ってるなんて……私と同じでナニか見える人なのかなー?


 ――ともかく。今日はカカちゃんとサユカちゃんと楽しく過ごした。


 この上がないくらい、楽しかった。


 でも。


 カカちゃんやサユカちゃんには悪いけど。


 その夜。


「ただいまー!」


「おかえり、お母さん」


 この時。


「うー、疲れた! でもサエのために頑張ったわよー」


「うん、ありがとー」


 この瞬間。


「去年とか祝ってあげられなくてごめんねー! その代わり、はい! あの店のチーズケーキのおっきいやつ買ってきたよー」


「うん、待ってた」


 いつか待ち焦がれて夢見た――言ってほしかった言葉と、求めた温もり。


「あれから……何年目、かしらねー。こほん、改めましてー! 誕生日おめでとう、サエ! これからもよろしくねー」


「ありがとう、お母さん。私のほうこそよろしくー!」


 これに勝るものは無いんじゃないかと思う。


 ううん……違う。


 全部、一番だ。


 一番な思い出ばっかりで、大変だ。


 嬉しすぎて困る。


 なんて、幸せな悩み。




 わかる人にはわかりますね、この話がどこにリンクしているのか。

 あのときのサエちゃんの願いをいつか叶えてあげようと思いつづけ……ついに! 長かった……


 サエちゃん、おめでとう。


 そしてサエちゃんにステキなプレゼントを贈ってくださった方々にも感謝を! 紹介しきれなかった方はごめんなさい! また懲りずに企画とか参加していただけたら嬉しいです><

 しかしサエちゃんのプレゼントは過激すぎるものとか「僕をあげます」発言とかいっぱいでした。その辺りはカカラジででも。あと、衣装案がやたらいっぱいあったので、いつかする予定のファッションショーをまたお楽しみに^^


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