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カカの天下  作者: ルシカ
62/917

カカの天下62「二股禁止!!」

「トメ兄、二股ってダメだよね」


「は?」


 いきなり部屋にきたかと思えば、カカは突然そんなことを言いました。


「二股……うん、最低だよね。なんでこんなことになったんだろ」


「二股かけてるのか。誰が?」


 まさかカカが? そんな素振りはまったく……それどころか小学校じゃケンカ最凶の名をとどろかせ、男子から恐れられているというカカが、まさか!?


「んとね、フランソワーズがね」


 誰だそれ。


「八兵衛とビシュソワースの二人と付き合ってるの」


 なにその古めの日本人とおとぎ話な外国人の素敵なコラボレーション。


「ドラマか何かの話か」


「ううん、すぐ近所の公園でもめてたのを聞いたの」


「近所で……?」


 こんな都会でもない街でそんなドラマが繰り広げられていたなんて……ちょっと見たいぞ。


「もめてたってどういう風に。『俺とそいつ、どっちを取るんだ!?』みたいな感じか?」


「うん、多分」


「多分って、盗み聞きしたんじゃないのか?」


「うん、したよ。じゃあ、そのときの回想シーン、いってみよ」


「シーンって、なんだ?」


「そういう質問はしたらだめなんだよ」


「そういうこと言うのもダメなんじゃないのか?」


 はいはい、気にしないで回想いってみよう。




「わん! わんわわわんわんわんっ」


「ギャワワン! ワワンッワッワッワッワン!!」


「グルグルグルルルルッルルルルル!!」


「ガオーン! ズガオーン!!」


「ビビデバビデブー!!」


「シュワルツネッガァァァァァァァァァ!!」




「おお、これはまた中々の修羅場!! って犬やんっ」


「人の名前なわけないじゃない」


「言われてみるともっともだがなんかムカつくな」


「でもまぁ、そんなわけで。ひどい話だよね?」


「犬の言葉なんかさっぱりわからんが、とりあえず鳴き声にひどいのが混じっていたのはわかる」


「だよねっ。やっぱ恋人は一人じゃないと」


「そういうカカは恋人にしたいやつとかいるのか?」


「いるよ」


「誰だ!?」


「田中さん」


 なんかショックだカカも大人になってきたんだなぁなんて成長を噛み締めたり寂しかったり――とかいろんな感情がわきあがったが、


「それで、その田中さんというのはどこの誰なんだ?」


「さぁ?」


「さぁ、って好きな人なんだろ」


「うん。好きな人」


「じゃあさぁってことはないだろう」


「――がいないから作った」


 がく。


「人を勝手に作るな! 神様かおまえは」


「えっへん」


「偉くねーよ偉そうにも見えねーよ。田中さんっていうのはどっから出てきた?」


「よくある苗字じゃん。あと私お米好きだし」


 ……お父さん、お母さん。


 あなた達の娘は、やっぱりなんか変です。





「ま、それは冗談で本当はいたりするけど」


「……ん? なんか言ったか」


「なんにも」




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