カカの天下611「この日のあの時間」
こんにちは、カカです。
改めて誕生日を祝ってもらって元気たっぷり! ですが……遅刻してしまいました! そのときの話をちょっとします。
「カカ、サエ、サユカ。てめぇら、この時間に登校しやがって……言うことは?」
「おはようございます!!」
「よし、席につけ」
「いいのっ!?」
「んだよ、朝に必要なのは元気な挨拶だろが」
「遅刻はー?」
「うっせぇな。生徒が遅刻したらオレの評価が下がるんだよ。無視だ無視」
この人が先生でよかった。
……よかったのかな?
「おし、授業の続きをすっぞ。この問題は……遅刻してきたカカに答えてもらうかな」
「遅刻は無視じゃなかったんですか?」
「それはそれ、これはこれだ」
大人ってズルい。
「ほれ、答えは?」
「3です」
「今は国語の時間だ」
「三です」
「漢字にすりゃ国語ってわけじゃねぇ」
聞いただけでよくわかったね、先生。さすが私の担任だけはある。
「この例文の欠けてる部分を埋めるんだよ、四つの選択肢からな。問題は五つあって――」
「三! 三! 三! 三!」
「三つなんて一言もいってねぇぞ」
「や、その問題の答えを言ってみた」
「なんで適当に言うんだよ」
「それが私の生き様だから」
さっきまで私らしくなかったからね。リハビリしないと。
「……問題、見てみろ」
黒板を見る。
――私は『 』人間です。『 』が『 』だと、とっても『 』なのです。
「てめぇの答えで読んでみろ」
「私は三人間です。三が三だと、とっても三なのです」
三すげぇ。
「カカ……あのな。わけわからんだけでおもしろくないのは点数低いぞ?」
「がーん!」
ショックだ……私としたことが!
「精進しろよ」
「ご指導ありがとうございました、先生!」
勉強になった!
「あの、よろしいですか? カカさんと先生は一体何の授業をされているのでしょうか」
む、マジメなイチョウさんが立った。
「お楽しみのところ申し訳ありませんが、今は国語の時間で――」
「国語を勉強してるんだが。なぁカカ」
「うん、そだよ」
「……どの辺がですか?」
「日本語喋ってるだろ」
「……算数も日本語喋りますが」
「あれは数字が入るっしょ」
「今も入っているのでは?」
「漢字にしたじゃねぇか」
「……もうよろしいです」
イチョウさんの負け。ふ、理屈が屁理屈に勝てると思うなよ!
「さて、話を戻そう。この問題を遅刻組にやってもらう、まずは見本となる答えを教えよう――私は『規則正しい』人間です。『起きるの』が『早い時間』だと、とっても『気持ちいいもの』なのです。これが答えだ」
あれ、答え言っちゃった。
「どうだ、つまんねぇだろ。まず五年生の問題じゃねぇ」
確かに……ん?
「先生、よく見たら先生の持っている教科書、二年生の――」
「さぁ! というわけで五年生レベルの問題だ! 三人で順番におもしろい言葉を当てはめて、この文章をおもしろくしてみろ」
……さては教科書忘れたな、先生。
「まずはサユカ。最初のところを埋めてみろ」
「ええっ!?」
私は『 』人間です、ってとこか。
「せ、先生っ! わたしにはハードル高いですよっ」
む、ここだ!
「ハイ! サユカンの代わりに言います!」
「言ってみろ」
「私はラブラブ人間です。トメさんがキュンキュンだと、とってもモッキューンなのです、BYサユカン!」
「合格!!」
「勝手なこと言わないでよっ!!」
「間違ってねぇだろ」
「なんで断定!? もっきゅーんっ!」
「ほら似合ってる」
うんうん、クラスメイト皆で頷く。
ふ、運動会で思いついた言葉を使えてよかった。
「じゃあ次、サエ」
「私は心が白い人間ですー」
「嘘ついたから却下」
うんうん、クラスメイト皆で頷く。
「ぷー……」
頬を膨らまして拗ねるサエちゃん、クラスメイト皆でニヤニヤ。
「よし、最後にカカ」
「私は変な人間です……あれ?」
あれれ?
「どうしたカカ。そんな誰もが知ってること言っても仕方ねぇだろ」
あれれれ?
「先生……」
「んだよ」
「おもしろいことが思いつきません」
「……は?」
どうしよう。
リハビリどころか、スランプ!?
変化球を投げました。
さて、どうなるでしょうか?
……それにしても最近、家に帰ってくるのが本当ギリギリな時間で笑
明日は早めに更新できるように頑張ります!