カカの天下６０５「二人のお望みは？」
こんにちは、トメです。
今日は仕事も終わり、そそくさと家に帰ってきたのですが……カカとサエちゃんはデート中ということで、ちょうどいいとばかりにサユカちゃんと二人で会ってます。
居間で二人きりで、お見合いするかのように向き合っています。
「トメさん……本当にいいの？」
「ああ。もう、僕たちはここまで……来るところまで来てしまったんだ」
「でも、でも……カカすけたちには内緒で」
「仕方ないんだ。もう限界だ！」
「ああ、トメさんっ！」
「サユカちゃんっ！」
ひしっ！ と抱き合う僕ら二人！！
――なんつって。んなことしないよん。
「というわけで、そこの覗いてる二人」
「きなさいっ！」
デートに行ったはずの二人は廊下の向こうからひょっこり現われた。
「ちぇ、バレてたか」
「ドキドキしてたのにー」
「君らがわたしの行動を読んでいたのは、こっちもお見通しだったってわけ！」
うむ、最近僕は隠れてサユカちゃんに会っていた。それを二人が勘付いているのも承知で……しかし、そろそろ潮時なのだ。
「教えてあげるわ、わたしとトメさんが何をしていたかを！」
「子作りしてたんでしょ？」
「なにせ六人だもんねー」
マテや。
「ちょ、なに言ってるのよっ！」
そうそう、言ったれサユカちゃん。
「一度にできるのはせいぜい双子よっ！ 六人もすぐできるわけないでしょっ」
「待ちんしゃい。否定する場所違うがな」
仕方ない、僕が説明するか。
「あのな、二人とも。これはテンとか姉とも話してたんだが」
「その二人も一緒に！？」
「わかった、双子×三人で六人にする気だー」
「と、トメさんってばっ！」
「どんだけ色々旺盛なんだ僕は。そこから離れろ」
このガキどもはどこまでわかって言ってるんだか……大体なんで姉が出てくる。あれはそもそも人間じゃないから完全無欠に対象外だぞ。
「僕らが話し合ってたのは、カカとサエちゃんの誕生日のことだよ」
あれ。なんで絶句してるんだ二人とも。
『誕生日？』
なんだ、声をそろえて。
「忘れてたのか？」
「や、サエちゃんのは覚えてたけど」
「私もカカちゃんのは覚えてたけどー」
『そっかぁ、そういえば私もか』
自分より相手かハハどんだけバカップルなんだこの二人。
「それで、だ。去年は色々と驚かせたりしたわけだが……」
「今年はどうしようって、わたしたちで考えてたのよ。そしたらなんとっ！」
『なんと？』
聞いて驚け。
「思いつかないんだ！」
あ、仲良くずっこけた。
「それでな、昨日テンと話したら『もう面倒くせぇから二人まとめて祝っちまおうぜ、二人のやりたいことやらせてよ』って結果になったわけだ」
「わたしとしてはカカすけたちに内緒でやりたかったんだけど……」
去年もカカのやつは自分の誕生日覚えてたしな。また驚かせようとしても期待通りの反応をしてくれるとは限らないし。
「ほうほう」
「なるほどー」
ともあれ、自分たちの誕生日をここまで考えてくれているという事実が嬉しいらしく、二人は満足そうに頷いていた。
「それで二人とも、何がしたい？」
「去年はハロウィンとか合唱だったわね。なんでもいいわよっ！ カカすけとサエすけがしたいことをっ」
カカとサエちゃんは目を合わせる。
「私はサエちゃんと世界征服がしたい」
レベルたけぇよ。
「カカちゃん、それはいくらなんでも難しいよー」
うんうん、さすがサエちゃん。わかってる。
「トメお兄さんを征服しよー？」
何もわかってねぇ！！
「お、そっちの方が簡単だね。サユカンは征服済みだし」
「待ちなさいよっ！ わたしを征服できるのはトメさんだけよっ！ むしろもう征服済みよっ」
あーもー、なんで今日はこう誤解を招きそうなことばっかり……始めに悪ノリしたせいか？
「ねーねーサユカちゃん。自分の身体を征服されるって、具体的にはどういうことー？」
「具体的にはねっ！ まず胸を」
「待て待て待て待て！！ 余計なことを説明するな考えるな！」
「そう、考えるな！ 感じるんだ！」
「あぁーん、かんじるぅー」
「そんな感じよっ！」
「どんな感じだ！！ ていうかおまえらガキのくせにナニをドコまでわかってやってる！？」
「ほぁちゃー！ って感じでわかってる」
「胸をドキドキさせる感じでわかってますっ！」
「年頃ですからー」
……カカやサユカちゃんはただ単にノリで言ってるだけっぽいけど、サエちゃんはなぜかそういうのをきちんと理解してそうで怖い……保護者としてどうするべきか。
ほっとこ。
「はい、お話リセット」
ポンと手を叩くとおとなしくなり、ちょこんと座る三人娘。
「それで結局、何がしたい？ 二人とも」
サエちゃんはカカを見る。カカに任せたという感じだ。
カカは「んー」と虚空を見やり……
「お祝いの日にちは、カカとサエちゃんの誕生日の中間辺りにしようと思うんだけど」
「決めた」
「ほほう。なんだ？」
「結婚式」
……え。
カカと、サエちゃんの？
「決定」
問答無用！？
はい、カカ宛て、サエ宛て、二人宛てと分けたのはこういうことだったりします。
二人の結婚式（仮）は２５日辺りにしようかと。詳細はまた後日。
まずはカカ宛ての〆切り、２０日の正午くらいですかね。お待ちしてまーす＾＾
