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カカの天下  作者: ルシカ
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カカの天下59「カカVS姉娘2」

 こんにちは、カカです。


 今日は日曜日。普通なら昼までごろごろしていたいところですが――え、小学生っぽくない? ほっといて――期間限定で我が家に居座っている不可思議物体のダイブ&ジャンプ攻撃をお腹に受けて、起きてしまいました。


 なんて横暴でしょう。日頃の疲れが癒えるかどうかは日曜日にどれだけごろごろできるかにかかっているのに……え、マジで小学生っぽくない? マジでほっといて。


 そして、私の天敵であるその物体、姉娘タマはというと……


「とめとめー」


「おー、トメだぞー」


 トメ兄と遊んでます。彼はじゃれついてくる姉娘を雑誌を読みながら適当にあしらっているのですが……


「じじー」


「そだなー、じじーみたいな名前だなー」


「くさいー」


「じじくさいかー、よく言われるー」


 なんと、私が言ったら間違いなく怒るようなことも、姉娘が言うと「どうせ子供の言うこと」と軽くあしらっているのです。


 そうか……わかった。子供だもんね。気にしなければすむことだよね。


 昨日の私は自分らしくなかった……そうだよね、ツッコミなんて私のキャラじゃないもの。


「おしりー」


「おしりがどうしたー」


「ばななー」


「おしりにバナナはきつくないかー」


「きゅうりー」


「それなら入るかもなー」


 なんか異次元な会話しててよくわかんない。けどなんとなく教育上にも作品的にもよくないこと言ってる気がする。


「さて……そろそろ出かけるかな。カカ、留守番よろしく」


 きた。


 昨日の雪辱戦だ。


「ふぁいと!」


「……なに言ってるんだ、おまえ」


「いいからさっさとどっか行って」


「なんだよ……冷たくすんなよぅ」


 みっともなくいじける兄を追い出して、私は改めてタマと対峙した。


 相手は子供、相手は子供。平常心平常心。あわてないあわてない。一休み一休み。


「さ、タマちゃん、なにで遊ぼうか?」


「カカおにーちゃん」


「誰がおにーちゃんだ!? あと私で遊ぶってあんた何様!?」


 …………ぁ。


 がっくし。


 ダメだ……ダメだよカカ。こいつはなんか手強くてさすがお姉の子供(仮)って感じだけど負けるな……そうよ、子供子供。キニシナイキニシナイ。


「あ、あのねタマちゃん。私はおねーちゃんなの、おねーちゃん。おねーちゃんって言ってみて?」


「ばばー」


「人の話をき……い、いや、あのね」


 思わず眉がぴくぴく動いてしまうのはしょうがないことだと私は思う。


「ま、まったくもー、しつけがなってないんだから……」


「しつけー?」


「そう、しつけ」


 姉娘はビシッと私を指差した。


「しつけーっちゅーの!」


「し、し、しつこいとか言った?」


 しかもダジャレ? なんて高度な……


「ちゅーの、ちゅーの」


 ん、ああ。「しつけ」って私が言ったのを繰り返して、「ちゅーの」って適当につけただけか……そだよね、まさかこんなお子様がそんなことを……


「カカおじーちゃん、しつこい」


 ああああああもう!! 何にツッコめばいいんだああああああ!!





「ただいま。カカ、タマ、いい子にしてたかー?」


「真っ白に燃え尽きたぜ……」


「か、カカ? なんだどうした。お前、留守番する度にやつれてないか!?」


「これが敗者の風格だよトメ兄……」


 ソファーでぐだーっとなりながら、近づいてくるタマをあしらうトメ兄を見る。


「かにみそー」


「おお、かにみそはうまいな。でも買ってないぞ。日本酒に合うんだよねーあれ」


「ほんしゅ? しゅ、しゅーまい」


「ん、しりとりか? じゃあ、い、い……」


「いちばん!」


「いちばんかぁ、でも僕は八番のほうが好きだな。八番ラーメン好きだから」


 ……なんだろう、あのかみ合ってないくせに進んで行く会話……


「トメ兄」


「なんだ、カカ」


「トメ兄って大人なんだね……ちょっと見直したよ」


「は?」


「子供と会話もできないなんて……私、いつも偉そうなことを言ってるわりに、まだ子供だったんだよね……」


「そりゃそうだろ、小学生」


「はぁ……」


 何か悟ってため息ついてもまだ姉娘はうちにいます。




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