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カカの天下  作者: ルシカ
589/917

カカの天下589「実行委員? がんばれタケダ」

 やぁやぁ、タケダだ。


 実は今回、運動会の実行委員をやることになったのだ。伝統ある行事を滞りなく進めるための重要な仕事、頑張らねばなるまい!


 そう気合を入れていたのだが……なにやら雲行きが怪しいのだ。少し話を聞いてくれ。


 まず俺のクラスメイト。概ね応援してくれているのだが、一部に厄介なやつがいてな。最近そいつがやたらと突っかかってくるのだよ。


「ようタケダ。運動会の実行委員になったんだって? よかったじゃねぇか、運動ダメダメなやつでも役に立てて」


「おや、ヤナツ君。君こそよかったではないか、大して目立たないながらもささやかな見せ場ができて」


「んだとぉっ! このグラタン野郎!」


 果たしてそれは悪口なのだろうか? グラタン好きな俺としては理解しかねる。


 この頭の悪い男子はヤナツ。同じクラスなのだが、周囲の者からは『ヤ』が足りない男子として有名だ。


 どういうことか?


 ほら、ヤナツに『ヤ』の文字を足してみろ。ヤなヤツになるだろう。


「……いい気になってると痛い目みるぜ」


「ふむ、それは何度か俺の靴や机に画鋲を入れたことを言っているのか?」


「なっ!」


 小学生のような悪戯だ。


 あ、俺たち小学生だった。


「偶然に目撃した人間が教えてくれたよ。そんなことを続けていると、またカカ君にボコボコにされるぞ?」


「うう……お、覚えてろ!」


 はてさて何を覚えていればいいのやら。かつての悪業を理由にカカ君に八回ボコられたことか。


 ともかくヤナツがヤナヤツなのはわかってくれたかな? 問題を起こしてくれなければいいのだが……何が一番ヤなヤツかというと、全然面白くないのだ。お目汚しすまない。


「なな、そこの実行委員」


 呼ばれて振り返ってみると、見知らぬ上級生の男子さんが。


「おまえさ、撮影も担当するんだよな?」


「ええ、一部だけですが」


「じゃあサエ様を撮れ!!」


 ……またか。これで八人目だ。


「えー、俺は先生方から任されているため、そのような贔屓はできませぬ」


 カカ君はいっぱい撮るが。


「ちぇ……やっぱ自分で撮るしかないかぁ」


「それならそれでお気をつけて。同じサエ君ファンクラブに見つかったらボコられますよ」


「うぐ……」


 聞くところによると運動会で『サエ競走』なるイベントがあるやも? という噂が流れているとか。実行委員としてはそんな馬鹿なと言いたいが、あのカカ君ならなんとかやりかねん。


「タケダ?」


「おう!?」


 噂を思えばなんとやら! そこには愛しのカカ君が!


「か、カカ君ではないか!」


「タケダが実行委員なんだってね」


「おお、全力を注ぐつもりだ!」


「ハ」


 ……あれ?


 なんだか鼻で笑われましたよ俺。


「じゃ」


 な、なんだその「タケダが? じゃ好き放題できるや」みたいな態度は!


 いくらカカ君の頼みとはいえ、好き放題させると思っているのか!?


 させますね。


「た、タケダ、君」


「おお? ノゾミ君ではないか」


 今日の昼休みは客が多いな。


「自然な会話……自然な会話から……」


 なんだ? 声が小さくてよく聞こえんが。


「あ、あの……わたし、ね? パン食い競走に、出るんだけど」


「心配するな。ちゃんとカレーパンも混ぜておくぞ」


「あ……! ありがとう!」


 そんなに喜ばれるとは思わなかった。そこまでカレーパンの有無を心配していたのか。


「本題……本題……」


 またもや小さくて聞こえない。本代? まさかまたもや本Die、訳すると『本格的に死ね』とか言われるのではあるまいな。


「あの! あ、危ないところを助けてくれてありがとう!」


 きょとん、としてしまった。


「い、言った、言っちゃった」


「ノゾミ君、カレーパンが無かったらそんなに危なかったのかね」


「……え?」


「もしや他のパンを食べると倒れるとかあるのか? もしくはあんパンが嫌いだとか」


 うちの兄貴の知り合いが聞いたら激怒しそうだが。


「……伝わって……にゃい……くすん」


「あ、おい! ノゾミ君、どこへ行く!?」


 ああ、なんだかわからないが泣きながら去っていく……俺の何が悪かったのだろう。さっぱりわからん。


「タケダさん」


「お? これはこれはイチョウ君ではないか!」


 やっとまともな会話ができそうだ! いやはや、常に冷静かつ穏やかなイチョウ君はとても頼りになるのでね、運動会の進行について相談したかったのだよ!


「タケダさんのクラスには死んでも負けませんから」


 相談、したかったの、だけ、ど?


 いつもどおり穏やかな顔、しかしそれだけを言ってツカツカと去っていくイチョウ君の姿は……なんというか、怖い。


 ……俺の何が悪かったのだろう。さっぱりわからん。


 せっかくの運動会、俺が楽しくしてやろうと思っていたのだが。


 まさか俺、地味な便利屋みたいになるのではなかろうか?




 タケダの出番を増やしてほしい! その意見をくんで書いてみたのですが……


 タケダ、頻繁に出るとあんまおもろくないですね。まぁコメディ的にもヤナヤツがいたのもありますが笑

 しかも登場=出番少なくなるフラグが立つからやりにくく……

 ま、しょせんタケダです。出番もどそ(ぇ

 出番を増やしたければ革命を起こすしか……

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