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カカの天下  作者: ルシカ
588/917

カカの天下588「委員長ご乱心?」

「申し訳ありませんが、皆さんお静かにお願いいたします」


 どうも、カカです。


 今の丁寧な言葉遣い何!? って驚いた人、安心してください。今のは私じゃありません。いくら最近の日本が異常気象でやたら寒かったりするからって、私まで異常になったりはしないのです。


 え、いつも変なことするじゃないかって?


 それ正常じゃん。私的には。


「えー、今から運動会に参加する種目を決めていただきます」


 ともあれ現在、授業を一つ潰しての作戦会議だったりするのです。内容は今イチョウさんが言ったとおり……誰がどの種目に出るかで結果は大きく左右します。腕がなるぜ。みょんみょんと鳴るぜ。これは異常だね。


「なお、わたくし達のチームが勝てばテンカ先生が焼肉へ連れていってくれるので頑張りましょう」


『おおおおおおお!!』


 盛り上がる私たち!


「……ねぇ、今ここにテンカ先生いないけど、それ本当なのっ?」


「いないほうが悪いよねー」


「サエすけ? サエすけっ!? それどういう意味!?」


 言葉通りの意味だよ。クスクスクス。


「お、恐ろしいクラスだわっ」


「トメ兄も焼肉連れてくよ」


「絶対勝つわよっ!」


 恐ろしく扱い安い子だわサユカン。


「さてさて、皆様。知っての通り先生がいませんので――」


「いやはやサエちゃん、お主も悪よのう」


 最近見た殿様の夢と似たような感じでサエちゃんに話しかけると、サエちゃんもすぐにニヤーと笑ってノッてきてくれた。


「いえいえー、お殿様ほどではー」


 お代官様じゃなくてお殿様ってわかるところが通じ合ってる証拠だよね!


 や、さっき夢の話したからなんだけど。


「わたくしが進行させていただきます。それで、あの――」


「ところでこういう会話をする場合、サエちゃんって何て役だっけ」


「えちごや、じゃなかったかなー」


「えっちGo屋?」


「えっち後屋かもしないよー」


「なんでわたしを見るのよっ!」


 だって、サユカンならわかるかと。


「まずは徒競走の方から順に――」


「ねーねーサユカちゃん。どっちが本当なのー? えっちGo? えっち後?」


「わかった、えっち小屋だ!」


「知らないわよっ! ていうか君ら、えっちえっちって恥ずかしくないのっ?」


「だってそういうの気になる年頃だもの」


「なら少しは恥らいなさいよっ!」


 だってえっちなのは私じゃなくてサユカンだし。


「徒競走、女子。五十メートル、百メートル、あと持久走とリレーと全部カカさん、と」


「待てぇぇぇぇぇぇぇぇい!」


 聞き捨てなら無い言葉が聞こえて再び時代劇モード!


「イチョウ殿! 何ゆえ!?」


「お話を聞かない人にはお罰を。これは学校のルールであります」


「お罰って!」


「可愛い言い方でしょう?」


「そうじゃなくて! そんなに出るのはいくらなんでも」


 走ってばかりじゃつまらないから他にも色々出ようと思ってるのに!


「大丈夫ですよカカさん。この間、体育で持久走をやったでしょう?」


「へ、うん」


 なんか私一人だけやたら早く終わっちゃったから、ついでに余計に走ってたんだけど。


「そのときのカカさんは男子よりも長い距離を走り、なおかつこの学校で男子を合わせても最速のタイムを出しました。これくらい平気だとわたくしは思います」


 なんじゃとー。


「カカちゃんすごーい!」


「カカすけ……君ってそこまですごかったのねっ」


 仲良しな二人だけでなくクラスの皆に賞賛され、なぜか拍手をもらってしまった私。


「や、どもども。なんか恥ずかしいなぁ」


「カカさんは全種目出場、っと」


「だから待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!」


 そりゃ色々出たいとは思ってたけど全部って!?


「カカさんなら大丈夫ですわよ」


「そ、そんなぁ」


 や、まぁ、やれと言われれば根性でやってみせるけどさぁ。


「そうそう、この小学校に残っている伝説によりますと、カカさんのお姉さんは在学時、六年間全ての運動会で全ての種目に出たそうですよ?」


 あんなバケモノと一緒にすんな!


「カカさん? これに懲りたら人の話はきちんと聞きましょうね」


 イチョウさん……もしかしてそれだけを理由に怒ってた? なんか顔も喋り方もとことん普通なんだけど言ってることが容赦ないよ?


「さて、次に決める種目ですが、どれどれ……『サエちゃん競走。サエちゃんを誰が一番好きなのかを決める競走』だそうで参加者、は……」


 読み上げてから次第に言葉がなくなっていくイチョウさん……


 すいません……それ入れたの私です……


 ちょっとしたジョークになるかと思ってやりました……


 でもなんか怒ってるっぽいイチョウさんにやるべきではなかった……


 ど、どうするのかなイチョウさん。


「…………」


 ポイ。


「さて、次は――」


 って捨てた!? そして何ごとも無かったかのような進行! や、やっぱ怒ってるよこの人!? 相変わらず顔は普通だけど!


「カカさんは男子の種目も全部出場、と」


「おやめくだされい! なにとぞ! なにとぞー!」


 なんだかイチョウさんはとても不機嫌なようだった……話を聞いてなかったのがそんなに癪に障ったのかな。それとも何かあったのかな。うーん……


 とにかく各メンバーの出場種目を簡単に説明すると……


 私、全部。


 サエちゃん、親子二人三脚障害物競走。


 サユカン、五十メートル走と借り物競走。


 アヤちゃん&ニシカワ君。ペアで玉転がし。ニシカワ君はうちのクラスの男子では一番スポーツ万能なため、他にも色々出るっぽい。


 インドちゃん、パン食い競走。吊るすパンをカレーパンにしたら速くなるのでは? という実験をするため。


 そしてイチョウさんは……親子二人三脚障害物競走。サエちゃんと同じだ。


 その後は普通に喋ってたけど、怒ってたわけじゃないのかな?


 うーん?




 いつもなら誰かを振り回す方のカカが振り回されてます。イチョウさんのいつにない強気なペースに戸惑ったようで……

 まぁ、マイペースとはいえまだまだ子供。予想外の事態には弱いのです。予想外なことばっかするタマちゃんなんか天敵ですね。だからといって嫌いになるわけでもないんでしょうが。


 運動会の種目が決まりました。

 さて、どうしてくれようか……

 ちなみに姉は小学一年生の時点で今のカカより速いです。どんだけー。


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