表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
58/917

カカの天下58「カカVS姉娘」

「カカー」


「ん」


 部屋でマジメに宿題をしていた、しがない小学生な私……カカは、トメ兄に呼ばれて居間へと移動しました。


 するとそこには、不可思議な物体がいました。


 ナンダコレ。


「トメ兄……なんか変な生物が見えるんだけど」


「だぁー」


「そう言うなって……なんか姉の友達のとこが都合悪くなったらしくてな、しばらくここに置いとけってさ」


 そこに居座っていたのはいつぞやの姉の隠し子。いや、隠してはいないかもしれないけど……


 本当にあの姉が産んだ子なのか、どっかで拾ってきた子なのか、友人に預かった子なのか、怪しい封印が解けて開放された悪魔の子なのか、さっぱりわからないのである。つまり理由が隠れているのだ。


「でさ。僕はちょっと用事あって出かけるから、しばらく留守番よろしくな」


「留守番? これと? 二人っきりで!?」


「うん。そうそ」


「むう……そういやこの子、なんて名前だっけ」


「あ、聞いてないな」


「じゃ、とりあえずタマと名付けよう」


「拾ってきたネコみたいなノリだな。でもまぁ、似たようなもんだからそれでいいか」


 んじゃなーと軽く手を振って、トメ兄は出て行った。


 さて……戦闘開始である。


 ソファーに座ってふんぞり返っているこの物体をどう扱うべきか。放ったらかしにするという手もあるけど、ヘタなことをしたら姉に何をされるかわかったもんじゃないし……


「にゃー、にゃー、カカー」


「お、喋れるんだ。でも呼び捨て、って子供にそんなこと言っても仕方ないか」


 姉娘はこちらをビシッと指差してこう言った。


「まるい」


 ビキリ、とこめかみ辺りで音がした。


「ねぇねぇ、タマちゃん。それってどこが? なにが? どういう意味かなぁ。もっと詳しく教えてくれないかぁ」


「かいぞくせんー」


「聞いてないし!」


「つぶれたー」


「つぶれた? 海賊船が?」


 ビシッとこちらを指さして、


「つぶしたー」


「私がか!」


「いい子いい子」


「いいの!? あ、いいのか、海賊退治だから」


 ビシッとこちらを指さし、


「ぬりかべー」


「誰がだ!!?」


 お、落ち着け私……なんかいつものペースと違う。


 私はこんなツッコミばっかのキャラじゃない。違う違う……オーケー、頭が冷えたぜベイビー。おれっちの心は外は冷たく内は熱くだ。ちょいと熱が外へ漏れちまったが、そんなことじゃ姉には一生勝てないぜ……


 しゃがみこんで深呼吸した私は顔を上げた。


 するとタマは持参してきたらしい絵本を読んでいた。


「お、何読んでるのかなー?」


「しらゆきひめはー、おおかみになめられてしまいましたー」


 舐められた? 


 しかも白雪姫に狼でないし!


 しかもしかも読んでる絵本のタイトル金太郎だし!!


「めでたし、めでたしー」


「めでたくないわ!!」


 もう、何よこの子……頭を抱えていると、タマがちょこちょこと歩いてきた。


「カカおねーちゃん」


 ……おねー、ちゃん?


 あ、ちょっと、いいかも――


 そう思った途端にビシっと指さされ、


「まるい」


 ……プッツン。




 (ちょっとお見苦しいので自主規制)




 数時間後。


 帰ってきたトメ兄に、疲れきった声で私は言った。


「トメ兄……私、育児向いてない」


「は? や、小学三年生のうちからそんなん気にせんでも……」


 まがりなりにも相手は子供……キレても手荒な真似はしてないよ? すごくしたいけど。


 姉娘タマは、もうしばらくうちにいる……はぁ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ