カカの天下577「我悩む、故に我みゅー」
こんにちは、トメです。
先日かなり恥ずかしい失態をしてしまった僕ですが、なんとかカカと仲直りすることができ、無事に親子一緒になったサエちゃんとサカイさんを祝うことができました。
しかし……
「むみゅー」
カカが変です。
や、変なのはいつものことなのですが、今日は顔が変なのです。
「むっちぇらむー」
そう、簡単に言うとむっちぇらむーな顔です。
「でゅみゅみゅみゅう」
そう、さらに簡単に言うとでゅみゅみゅみゅうな顔です。
でゅみゅみゅみゅう!!
さぁ、早口に滑舌よく大きな声で言ってみよう。意外と難しいぞ?
「にっちぇらほっちぇらけっちぇらむっちぇら」
「そこの妹、さすがにその言語はないと思うぞ、地球人として」
「うっさいな。人が悩んでるときはこういう音出るんだよ」
初めて知ったぞ人間のそんな機能。
じゃああれか、悩みを抱えた人たちが集まるカウンセリングなんかでは皆して『むみゅー、むっちぇらむー、でゅみゅみゅみゅう、 にっちぇらほっちぇらけっちぇらむっちぇら』とか合唱すんのか。
……なんかねっとりとした悪魔とか呼べそうだな。
ま、冗談は置いといて。
「何を悩んでるんだよ。僕のことをまだ怒ってるとか?」
「んな昔のこたーどうでもいい」
なんだよぅ、僕としてはかなりの事件でめっちゃ反省してたんだぞぅ? 今だって……まぁケンカしたのが久々とはいえ、尾を引くことなんて今までなかったけどさぁ。
サエちゃんちの前で和解した、あの時。
我が家に帰ってからカカのとった行動は簡単だった。
ホワイトボードに書かれたまま放置されていた『ハラヘッタ』の文字をびしっと指差したのだ!
そして夜中だというのに冷蔵庫の中にあった適当な材料から『ナスとトマトのパスタ、バジル風味』を作るハメになり、わざわざ出張してくれた母さん含めて三人で夜食会となってしまった。よくわからない光景だ。
ちなみに頑張ってくれた父の分も適当に廊下に置いといた。部屋に引きこもってる子供に「ご飯、ここ置いておくわね」とかいう気分だった。
まぁ、長くなったが何を言いたいかというと。カカがそう言うからには僕の件は本当に関係ないということだ。
「サエちゃんがサカイさんちに……つまり近所に来たってことか」
「あ。そうじゃないけど、それも気になるね」
「ほほう。と、いいますと?」
「サカイさんが母親だよ?」
「ああ」
「ないよね」
「ないな」
即答してもうた。だって言われてみると、なぁ……
「教育するどころかされる側だよね。小学校あたりから」
「おまえもキツイなぁ」
「でも、未来の私のお養母さんになるかもしれないんだよね」
「おまえもイタイなぁ」
まだ諦めてなかったのか……ってそれは先日に嫁がどうとか騒いでたし、今さらか。
「あとさ、サカイさんってサエちゃんのお母さんにしてはめっちゃ若いよね、見た目。サユカンのお母さんとかは普通におばさんなのに」
「うちの母さんだって若いだろ」
「二人が並んだらお母さんズには見えないよね」
確かに……都会いけば普通にナンパとかされそうだ。なにせ二人とも十代だか二十歳だかで子供生んでるんだしな。そう考えるとすごいな僕の周り。なんとも早い――
「サユカンも早いのかね」
「知らんて」
僕に聞くな、頼むから。
それよりもそろそろ悩みの本題を――
「引越しそば」
「……は? その、今時あんまり見ない廃れた風習がどうした」
「引越ししたら、ずっとそばにいてくれるんだよね」
「そのダジャレはあんまりおもしろくないぞ」
「私はサエちゃんがそばにいればおもしろくなるんだよ」
「通じてねー」
「あ、おばさんにそばさんって呼びかけたらきっと大抵は振り向くよね」
「そして突拍子もねー」
ちなみに引越しそばは『細く長くお世話になります』という年越しそばと似たよな意味がある。
そばさんは今度試してみよう。
――などとくだらないことを延々と喋っていたのだが。
「結局何を悩んでいたんだ?」
「んー」
「むっちぇらみゅみゅみゅんとか言ってたろうが」
「うん、それなんだけどね」
「おう」
「なんで私はそんな不思議な音が出るんだろう?」
「……知らん」
オチも結局くだらなかった。
平和だ。
内容の薄っぺらいダラダラ話。
や、久々に書きました笑
明後日はテンカ先生の誕生会、息がつまらないように軽くしとかないと!
……まぁ、誕生会ですし重くするつもりもないんですがね^^;




