表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
574/917

カカの天下574「そしてあなたと歩きだす」

 どうも、サカイですー。


 愛しの娘を取り戻す手はずは整いました。


 後はサエを迎えにいくだけ……なんですけどー。


「どうしよー、どうしよー。ねぇカツコちゃん、どうやって迎えにいけばいいのー?」


「なんでもえーやん」


「よくないよ! 一生に一度のことだよ!」


「そりゃそーかもしれないけどさ。んー……私と一緒に住もう、でいいんじゃないの?」


「そそそ、そんな結婚を前提として同棲を申し込むようなことをー!」


「サエちゃんと結婚したくないの?」


「したい!!」


「じゃーそれでいいじゃん」


「でもさー!!」


 とかなんとか揉めているうちに……いつの間にかサエを預かってもらっている親戚の家に着いてしまった。


「ごくり」


「何緊張してんのさ。さっきみたいに、サエをよこせー! って言えばいいんだよ」


「そ、そっか、そうだよね……おぇぇぇぇ!!」


「なんで緊張で吐いてんの!! さっきの勢いどうしたの!?」


「だってさー、だってさー、さっきの相手は厳ついクソジジィじゃん、こっちは宇宙一の美少女じゃん、どっちが緊張するかっていったらこっちに決まってるよー!」


「あんた本当に心底親バカだな!!」


 あたりまえじゃんー。あんな可愛い子を娘に持ったら誰だってこうなるよー。おぇぇぇ!


「ふぅ……ふぅ……」


「落ち着いた?」


「うん、ありがとー」


 カツコちゃんに背中をさすってもらって、少し落ち着いた。


 さぁ行こう!


 私は深く深呼吸して……その親戚の家の前に立った。


 玄関の前で……叫ぶ!


「サエをよこせー!!」


「断る!!」


「断られたぁぁぁあ! うぇぇぇぇえん!!」


「簡単に泣くな!!」


 そんなこと言われたってぇぇ、こんなハッキリ……ハッキリ? 誰に言われたんだろー。


「事情は聞いた!!」


 バーン! とドアが思いっきり開いて、


「ふげらぁあ!?」


 私の鼻にクリーンヒット!! いだぁぁぁい!


「あ、ごめんサカイさん」


「お母さん、へいきー?」


「だから言ったでしょ、カカすけっ! ちゃんとトメさんに見張ってもらってタイミング計ったほうがいいって!」


「ていうかさ、別に芝居がかった登場せんでも。あとテン笑いすぎ」


「ぶはははははは!! サカイさんかっこわる!! あんな意気込んで勝負に行ったのに! ぶはははは!」


 鼻いたぃ……って、サエはともかくカカちゃんにサユカちゃんにトメさんにテンカちゃん……


「なんで皆いるのー?」


「全部終わったって姐さんから聞いたからな、こういうとこくらいは見物しようかと思ったわけよ。そしたらなんかおもしれぇことになってたからよ」


「僕は久々に定時に帰れたかと思ったらカカに引っ張られてきたんだよ……おもしろいっていや、おもしろいけど」


 おもしろいことって……カカちゃんが?


「えっとー、カカちゃん? 私はサエを迎えに来たんだけどー」


「私の嫁はやらん!!」


 絶句した。


 まさかそうくるとは思わなかった。


「そ、そんな……どうか、どうかお嫁さんを娘にください!!」


「断る!!」


「そこをなんとか! 私は娘を愛しているんです!」


「だからといってそう簡単に私の可愛い嫁をやれるかぁ!!」


 そ、そんなぁ……クソジジィの後にこんな裏ボスがいるなんて!


 サエ! 助けてー!


「いろいろ逆だねー。あははー」


 楽しそうねーくそー可愛い。


 こうなったら!


「だ、だったらー……私はトメさんをお嫁にもらうもん!」


「なんですってぇぇぇぇぇぇっ!?」


「サユカちゃん、誰よりも驚きすぎー」


「ほらほらカカちゃん! トメさんをもらっちゃってもいいのー!?」


「いいよ別に」


「カカすけてんめぇっ! くらぁっ!?」


「サユカちゃん、おちつきー」


 ううん、どうしよう。勢いで言ったはいいものの、こんなにあっさりこんなのもらってもなー。


「サカイちゃん!」


「カツコちゃん?」


「お姉様とお呼び!」


「あぁん、おねぇさまぁー!!」


 まー楽しいからいいや。


「あんさ、僕をネタにするんはどうでもいいけどさ、せめて婿にしてくんないかな?」


「お、乗り気じゃねぇかトメ。いっそのことパパって呼んでもらったらどうだ」


「トメパパー」


「サエすけこんにゃろおらぁっ!?」


「サユカン、キャラ変わりすぎ」


 そんな大騒ぎ。 


 いつの間にかカカちゃんとトメさんが言い争ってて。


 サユカちゃんもそれに混ざって。


 カツコちゃんとテンカちゃんはそれを見て笑ってて。


 そして、私の隣には――


「お母さん」


「え?」


「ただいま」


 私は息を飲んだ。


 その言葉を聞いて……なんだか胸がいっぱいになってしまって。


 でも、しっかりと答える。


「おかえりなさい」


 娘は母に。


「私も、ただいま」


 母は娘に。


「うん。おかえり、お母さん」


 私たちは互いの場所に帰ってきた。


 手を繋ぐ。


 心を繋ぐ。


 手が離れても、二度と心は離れないように。


 強く、強く。


 うん。


 私たちは――これから一緒に生きていく。





 サエちゃんサカイさん編完結です!


 いろいろいろいろありましたし書きましたが、いかがだったでしょうか? 

 連載中もたくさんの感想ありがとうございます。全部欠かさず読ませていただき、励みになっています。ちょっと余裕がないので返信できていませんが、明日にはお返事したいと思いますので少々お待ちを^^

 

 え、最終回っぽい?

 えーと、昨日は手違いで最終回設定なんかにしてしまったのでツッコミをたくさんいただきましたが笑 当分やめる気はないのでご安心を笑

 ではでは、また明日。カカラジでお会いしましょう!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ