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カカの天下  作者: ルシカ
567/917

カカの天下567「自由すぎ研究」

 こんにちは、引き続きサユカよっ!


 いまはお昼休み。みんなが提出した夏休みの自由研究が公開されたとのことなので、カカすけとサエすけと一緒に展示場所へ見物にきているわ。


「みんなやっぱり工作とか多いね」


「一番手堅いからねー」


「あら? なんだかあそこ、騒がしいわねっ」


 妙に人だかりができている一角があった。そこに行ってみると……一つのテレビを前にして、生徒がたくさん集まってる。そして爆笑しているわ。


「……ねぇ、カカすけサエすけ? あれってまさか」


「私たちの展示物っぽいねー」


「あれま。テレビで流してくれるとは粋な計らいを」


 わたしたちが提出した自由研究……それは夏祭りの漫才を収録したDVDと台本だ。ちょっと恥ずかしかったけど楽しかった思い出だし、笑いの研究も立派な自由研究よねっ。


「あん? なんだよてめぇら、こんなに集まって」


 あらテンカ先生? 展示室に入ってきた瞬間に固まって……どうしたのかしら。


 あ、ちょうどトメテン夫婦の漫才場面だわ。


「てめぇら全員、目を潰せ!!」


 無茶いわないでよっ!


「うぁ、くそ、なんであのときの忌まわしき映像がこんなところで!」


「私たちの自由研究ですよー。提出したときに確認しなかったんですかー?」


「んな面倒なことするか!!」


 オイ教師。


「だあぁ! くそ、なんだこりゃ。カカサエサユカアヤイチョウインドニシカワ……てめぇら全員グルか!?」


 だって全員で研究したもの。それにしても提出物にまでインドって書いたのねインドちゃん。あとなにげに一人抜かしたわよねテンカ先生。どうでもいいけど。


「俺もグルだ!」


 あら、いたの。自己主張ご苦労様だわ。


「タケダ、てめぇあんなもん公開されて恥ずかしくないのか?」


「もちろん恥ずかしいとも!」


「だったらなぜ反対しなかった!?」


「俺にそんな権利があるわけなかろう!」


「それもそだな」


 主張弱っ! そりゃ名前からハズされるわ。


「お、インド!! てめぇ内気のくせにこんな大胆なマネしていいのか!?」


「……もじもじ」


「ダメだ内気すぎて埒が明かねぇ」


 いたのねインドちゃん。


「とにかく消せ! 今すぐ消せ!」


 あーあ、電源切られちゃった。


「ふぅ……これでこの映像は誰にも見られな――」


「でも僕お祭りで直に見たけど、おもしろかったよテンカ先生! だからもう一回見たいな」


 くじけない生徒Aがあらわれた!


「なっ! 貴様、その記憶を消せ! なんならバット持ってこい! オレがてめぇの記憶を――」


「あ。あたしも直で見たー」「おもしろかったよね」「笑った笑った」「テンカ先生が夫婦……ウケた」「お見合いって聞いたときもウケたけどな!」「しかも漫才だぜ?」「ちょっと緊張してたの、可愛かったよセーンセ!」


 なんかいっぱい目撃証言者があらわれた!


「なんでてめぇらどいつもこいつも見てるんだ!?」


『だってお祭り行ったもの』


「そんなもん行くんじゃねぇ!!」


『いや、そんなこと言われても』


 なんて息のあったクラスメイトたちだろう。いや、同じ反応したくなるくらいにテンカ先生が無茶を言ってるだけなんだけど。


「くっそ……おいカカども。今すぐこの自由研究を下げろ、別の研究を持って来い!」


 また無茶をっ! わたしは反論しようとした。


 でもそのとき。それを遮ってカカすけが前に出た。


「テンカ先生。この自由研究を変更してほしくなかったら、私たちの言うことを聞いてもらうからね」


「は? オレは変更してほしいんだが」


「いいの?」


「いいが」


「じゃーこの『お見合いを台無しにする一例』っていう論文をDVD付きで――」


「待てやコラァ!! なんでそんなDVDがあるんだ!?」


「サラさんが撮ってたらしいよ。なんかお笑い好きだからって」


「オレの見合いはコントかよ……」


 似たようなもんだったじゃないの。


「どする? せんせ」


「あー、わぁーったよ。何すりゃいいんだよ。できることとできねぇことと金ねぇことがあるぞ」


 初めて聞く言い回しだわ。


「んとね、テンカ先生もうすぐ誕生日じゃん?」


「あん? それがどした」


「祝わせろ!」


「……は?」


「テンカ先生そういうの嫌いらしいじゃん」


「そうだが」


「私たちは大好きなのさ! だから誕生会させなさい!!」


 おお、それは素晴らしい提案ねっ!


「……いや、いいけどさ。別に」


 テンカ先生がしぶしぶ頷いた瞬間、カカすけとサエすけは大きくガッツポーズをとった。


「よし! 騒いで騒いで騒ぎまくるよサエちゃん!」


「うん! それで最後に『全部この先生のせいですー』って言うのー!」


「それ最高! 先生のせい!」


「略してせんせいせいー!」


「せんせいせいせいせい!」


「せいせいせやー!」


 おやまー、はしゃいじゃって。わたしも楽しみだからいいけどねっ!


 と、そこへ。


「おい、サユカ」


「なんですか?」


 真剣な顔をしたテンカ先生がこっそり話しかけてきた。はしゃいでるカカたちに聞こえないように。


 なにかしら。こっそりあの二人殺せとか言うのかしら。


「あの二人、最近変わったことなかったか?」


 違ったわ……って、はて?


「え、えっと、どうしてですかっ?」


「いや、あの二人。テンションがいつもと微妙に違うような気がする。表情も少し固いような……教師としてのカンだが」


「なんだか信憑性の薄いカンですね」


「野生のカンだ」


「それは信頼できますねっ」


「言うようになったじゃねぇか」


「いひゃい、いひゃい」


 頬をひっはらはいひぇ。


「とりあえず気をつけてみな。これでも毎日ガキどもを見てんだ。あれは無理してる。何かをな」


 うー、頬がひりひりする。でも、無理? 何のことかしら。


 わからないわ、だってあの二人いつも変だものっ!


 ……でも。


 言われて、みれば? 




 最近、メッセージでいくつか「これってもしかして?」的な質問がありますが……全員に答えます。

 読んでればもうすぐわかります。

 そう、その答えは明日から始まる……


 かも(ぉぃ

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