カカの天下566「サユカの任務、分泌?」
こんにちは、サユカですっ!
学校ではいつもの給食が出て、わたしたち仲良し三人組は机をくっつけて一緒に食べているのですが……
栄養バランスに定評がある給食。しかし足りないものがあったのです。それは……
「トメ分がたりないわ」
それを聞いたカカすけとサエすけが顔をあげました。
「「ぐっちゃむっしゃくっちゃ」」
「口の中のもの飲み込んでから喋りなさいっ!!」
「ごっくんちょ。なにそのトメ分って」
「トメさんと会うと分泌される成分よ。それが切れたら死ぬのっ」
「サユカちゃん、なんかキモチワルイよー?」
「うっさいわっ!」
体内にそれがなくなったら死ぬのよっ!? 笑い事じゃないんだからっ!
「サユカン、あれ見て」
「あれって……窓ガラスしかないけど?」
「とーめー」
「ダジャレじゃないの!」
「サユカちゃーん、これ見てー」
「なによ、それ。ただのトマトじゃない」
「トメィトォ」
「無理があるわよっ!」
まったくもう、馬鹿にして!
「カカちゃ、カカちゃ」
「んー?」
「いかにゃいでぇー!」
いきなり何が始まった? カカすけもポカンとして……あれ、頷いた。
「行かねばならぬ、行かねばならぬのじゃー!」
「いやー! 私を置いてかにゃいで、そばにいてにゃー」
「とめてくれるな、おっかさん!」
とめて→トメて。
「わかりにくいわっ!!」
「抜群のチームワークだねサエちゃん」
「んーいぇーい。キモい成分出たかにゃー?」
「キモいって言うなって! あとなんでサエすけにゃんにゃん言ってるのっ!」
「可愛いっしょー」
「可愛いよサエちゃん!」
「にゃっはっはっはー」
むぅ……この二人は……!
「真剣に聞いてよっ」
「だって……ねぇ。トメブンってなに?」
「カナブンの仲間じゃないかなー」
「親分と子分の仲間かもよ。はは」
「あははー」
「鼻で笑うなっ! 要するに最近トメさんにずっと会ってなくて寂しいのよっ!」
「かといってトメ分を分泌とかはさすがに無いっしょ」
「なによカカすけっ! 君だっていつだったかサエチンがどうとか言ってたくせに!」
「は? 何言ってるのサユカン。そんなん知らないよ」
ぐぐ……この子はまた都合のいいことを……ってカカすけのことだから本当に忘れてる可能性高いけど……! あのとき頭が病気っぽかったし……!
「とにかくとにかくっ! トメさんに会えなくて寂しいのっ! 毎日枕を涙で濡らしてるのよっ!」
「なんでさ」
「売るんじゃないかなー。マニアに」
「売れるかぁっ!!」
「サエちゃん、何書いてるの?」
「んー……ほい、出来た」
なによそれ、張り紙? えぇと。
『サユカちゃんの涙入り枕、大特価三万円で販売!!』
「高っ!! 誰も買わないわよこんなのっ」
「そっかー、じゃちゃんと説明を」
『舐めると少ししょっぱいです』
「舐められてたまるかぁっ!!」
「涙の味だよー」
「サエちゃん、涙じゃなくて汗も染み込んでるんじゃ」
「ちょ、まだ何書き足してるのっ」
『ちょっと臭いです』
「大きなお世話よ失礼ねっ!!」
『そういうのが好きな人向け』
「一体どこにそんなの好きな変態がいるのよっ!?」
「はいクラスのみんな、注目! 特に男子ども!!」
「これ、ほしいー?」
『…………』
「なんでどいつもこいつも頬染めて顔を背けつつチラチラこっち見てるのよっ!?」
はぁ……はぁ……な、なんだかツッコミすぎて疲れたわ。
「あの、申し訳ありません、いいですか?」
あら、恐る恐る声をかけてきたのは……イチョウさん?
「なに、まさかほしいの!?」
「これは意外な買い手だねー」
「わたくし……ずっとずっと思ってましたの」
は!? な、なにを?
「でも恥ずかしくて、言い出せなくて」
なぜなになんで何が!?
「どしたのイチョウさん。まさか……」
「しっ、カカちゃん。今いいとこだよー」
「でも、思い切って言おうと思います。言いたいことをいつまでも胸に秘めてそのままにしておくのって、よろしくないですよね!」
う、うん。それはそうだけど……わたしの枕ほしいの? じゃつまり……えぇ!?
「では、言います」
ゴクリ、とわたしたちの喉がなった。
「給食、早く食べてください」
しばし無言の後。
コクリ、とわたしたちは頷いた。
そだよね。みんな食べ終わらないと片付けられないもんね。ごめんなさい。
うぅ、それにしてもトメさんに会いたいよぉ。仕事忙しいんだよねぇ。ううー。
はい、よくわからないタイトルと意味不明な任務でしたが(てか分泌することが任務ってなんや)細かいこと気にしてたら人生つまらないでっす。
久々にサユカちゃんをいじった気がします。これはこれで楽しいのですが、やっぱりサユカちゃんいじりは実際にトメを絡ませてこそだなーと思ったり。でも忙しいみたいなので……仕方ありませんな。




