カカの天下562「カカ天クエスト Ep7」
注意:このお話はカカ達がゲームのキャラになりきりながらRPGを進める話です。話の内容はゲームの中ですが、『もしもカカ達が異世界にいたら』みたいな感覚でお楽しみください。
ステータス
カカ ボケ勇者 レベル1 へん
サエ 悪の魔法使い レベル1 はらぐろ
サユカ 手の平の踊り子 レベル1 さびしんぼう エロレベル3
トメ ツッコミ レベル1 つっこみ 死体、なんでやねんの裏手チョップのまま死後硬直
ケロリン スライム レベル7 おっさんくさい 死体、もはや変な塊でしかない
魔物にさらわれていた村娘Aを(反則な手で)救いだし、村へと無事に連れ帰っ(てもらっ)た勇者一行を待っていたのは、村人たちの手厚い歓迎でした。
「勇者様じゃー!」
「勇者様のおかえりじゃー!!」
「皆の者、戸締りを充分に!! 貧しい者は出てくるな!」
真っ先にそんなことを言われるのは今までの勇者達の功績に他ならない。
「ああ……私、帰ってこれたのね!!」
いろいろあったが村娘Aは生きて帰れたことを感動した。
「おお、よくぞ帰った村娘Aよ!!」
「あの、名前で呼んでくれませんか?」
「いやぁ無事でよかった村娘A」「ほんに、怖かったろ村娘A」「村娘Aちゃん! 怪我ない?」
「聞いてよ!」
RPGではよくあることだ!
「勇者様、このたびは愚図で愚鈍で無能で顔と胸しか取り得のない村娘Aを助けていただき、誠にありがとうございます」
「そこまで言いますか村長!?」
村長は口が悪い!
「くるしゅうない。感謝のしるしとして有り金ありったけよこすがよい」
勇者は単純に悪い!
「うぅ……なんなのこの仕打ちは」
村娘Aは待遇が悪い!
「ささ、勇者様、こちらへ!」
「うむうむ」
「いやー、大変だったよねー。敵のボスを倒して、ここまで戻ってくるのー」
「サエすけ……わたしたち、大したことはしてな――」
「大変だったよねー」
サエは恩着せがましい。
「なによ、なによ……もう黙ってられないわ。ちょっと待った!!」
「なんじゃ村娘A。名前もないくせに無礼じゃぞ」
「村長のほうが無礼よ!!」
村娘Aは正論をはなった。
「村長が村で無礼をして何が悪い!!」
しかし村長には効かなかった。
村娘Aはめげない!
「大体ね、その人たちを連れて帰ってきたのは私なのよ!? その人らは死んだフリをして私に引きずられてきただけ!! 私は自力で帰ってきたの! ほら、見て私の服。汚れてるでしょ!?」
「おまえにぴったりじゃ」
「余計なお世話よ!! つまり私が必死で帰ってきたってこと!」
「何を言う。勇者様のほうが汚れておるぞ」
「ぴったりね!」
「間違いない。心もきっと――」
「もしもーしー? 調子に乗ってると村を滅ぼしますよー?」
サエは冗談とは思えない脅迫をはなった。
「え、えぇと。とととととにかくじゃ」
村長は怯えている。
「勇者様のほうが汚れているということは、勇者様のほうが頑張ったということじゃろう!」
「カンオケから土埃でも入ったんでしょ」
「勇者様になんたる言い草! いくら極悪非道の限りを尽くすどっからどうみても勇者に見えない小さな悪鬼とはいえ――」
「そーんちょーさーん」
「ひぐぅ!?」
村長どころか村が怯えている。
「とにかく! 勇者様が正義! 勇者様が全て正しいんじゃ!!」
『そーだ! そーだ!』
恐怖政治支配が完成した!
政治じゃないというツッコミは受け付けない。
「もういい! おまえは帰れ!」
「え……」
『かーえーれ! かーえーれ!!』
「そんな……私、村のためと思って生贄になったのに……それでもなんとか村に帰ってきたのに、その村の人たちに帰れって言われたら、私はどこにいけばいいの……う、うわぁぁぁぁん!!」
村娘Aは逃げ出した!
誰もまわりを囲まなかった!
「ちょ、ちょっとカカすけ、大変よっ!」
「うん。私たちの出番が少なすぎる」
「そうじゃなくてっ! そうだけどっ!」
「心配することはないと思うよー。ほら」
村人の様子を見ると……
「まったくもう、何をやっとるかのあの娘は」
「つべこべ言わずにさっさと家に帰ればいいのじゃ」
「病気で床に伏せている母親にはよぅ顔を見せてやらないと」
「まったく、急ぐあまりに言葉がきつぅなってしもうたわい」
村人たちは意外と良い人だった!
「ほらね。みんな不器用なんだよ」
「いや、でも、あれだと誤解されたんじゃっ」
「誤解なんてすぐ解けるよー。どうせこの村に住んでるんだからー」
サエはそう思っていた。
しかし……事態は急変する。
――行くアテもなく、ただ一人の肉親が気になった村娘Aは家に帰った。
「お母さん……」
布団で横になっている母親に声をかける。
「お母さん……私」
「成仏しな……」
「え」
村娘Aは絶句した。
そして思った。村の中では、自分はすでに死んだ存在なのだと。すでに帰る場所などないのだと――
「…………!」
たまらず村娘Aは再び逃げ出した。
「むにゃ……んー……なむなむ……」
その場には、寝言を呟いたりするぐっすり状態の母親だけが残された。
カンカンカン!
村の神社の裏で甲高い音が響き渡る。
村娘Aが……なんと藁人形に杭を打ちまくっていたのだ!
「許さない……許さない……」
打つ、打つ、打つ。これでもかと藁人形と杭に向かって木槌を打ち続ける。
「こんな村なんか……こんな村なんか……」
村娘Aは怨嗟を唱えた。
「全員、下痢になってしまえ!」
地味だった!
「その後、便秘になってしまえ!!」
地味に怖かった!!
「下痢、便秘、下痢、便秘、下痢、便秘、下痢、便秘!」
村娘Aは藁人形の下腹部に杭を打ち続ける!
村娘Aの人としてのレベルが下がった!
『罵詈雑言』を覚えた!
「死んじゃえ……みんな下痢と便秘で死んじゃえ!」
説明しよう! 村で平和に生きてきて、結局ボスに何もされなかった村娘Aが味わったことのある最も深い苦しみが、この下痢と便秘のエンドレスなのだ!
それはそうとまた村娘Aの人としてのレベルが下がった!
『怨嗟』を覚えた!
「村だけじゃない……世界中のみんな、死んじゃえ!」
『なんか異様に怖い顔』を覚えた!
「世界中の人間よ、下痢と便秘で死ね!!」
村娘Aは『かなり怖い人』へとクラスチェンジした!
ガスガスガス!! 杭を打ち続ける。
やがて、もうどうしようもないほどにレベルダウンを繰り返し、『とてつもなくヤヴァイ人』へとクラスチェンジしたころ……彼女の背後で一つの足音が。
「くくく、なんたる逸材がいたものよ」
そう呟いた、その者こそ!
「我は魔王カツコなり! やった登場できた。わーいわーい。それはともかくそこな村娘Aよ!」
「……なに?」
「うをを!? や、その、ね。うん、ちょっとあんたをスカウトに来ただけだからさ、そんなものすんごく病んだ目でこっち見ないでくれる? こあいから」
魔王は怯えている。
「スカート? スカートの下は下痢と便秘でふふふふ」
「いあ怖いから!! いろんな意味で恐ろしいしヤバイからさ、ちょっと落ち着け! うう、なんか魔王っぽくないよぅあたし……こっちのほうがよっぽど魔王くさいよぅ……」
「何か用なの?」
「いやね? そんなに人間が憎いなら一緒に滅ぼさないかなーと思って」
「……あなた、魔王なのよね」
「そだよん」
「魔王の下なら……世界を下痢と便秘にできる呪いが完成できるかもしれないわね」
「……あたしにだけはかけないでね、それ」
「行くわ」
「あ、そう? よかったよかった」
村娘Aがカツコの仲間になった!!
とうとう姿を現した魔王、そして生まれてしまった強大な敵!! いまだにレベルが上がってないばかりか出番すらほとんどなかった勇者一行は、一体どうなるのか!?
次回、『そんなに急いで生き返らせなくてもいんじゃね?』をお楽しみに!
はい、かんなり久々のカカ天クエストでしたー! まだかまだかという嬉しい意見がありましたので書きましたよん。
今回は敵の登場がメインなので、カカたちはあまり暴れることはできませんでしたが、果たしてどうなるのか!
まったく考えてません(いつものこと
でもまーそれっぽい次回のタイトルもつけましたし、彼女たちが大暴れするのではないでしょうか。
多分。




