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カカの天下  作者: ルシカ
560/917

カカの天下560「人生の答え合わせたいむ」

「よぅ、久々だなてめぇら!!」


 とうとう新学期だぜ……だりぃ。おっと本音が出ちまったな。テンカだ。


 適当にガキどもと挨拶をすませ、始業式を終えて。


 まず最初にやる授業は、これだ!


「知ってるやつもいると思うが、夏休みの宿題の答え合わせのやり方は学年によって違う。理由は知らんがな。今年はこの一時間で各自、ドリルの答え合わせをやってもらうことになっている」


 教室内にそわそわする生徒がいるのをオレは見逃さなかった。


「今から答えを配る。各自でドリルの答え合わせをやるように……ただし! もしその場で答え合わせ以外のことをしているやつを見つけた場合」


 こういうやり方にすると必ずいるのだ。白紙のドリルを当日に答えを見ながら解答し、即丸付けをして宿題を終わらそうとするやつが。一時間以内にやるとなると大仕事だが、普通にやるよりはずっと楽……そんなことはさせん。ムカつくから。


「いいか? まだやってないドリルをこの一時間で終わらそうなんてヤツがいた場合……そいつには自分の好きなやつをこの場で発表してもらう」


 教室に緊張が走る。さすがオレだ、本来なら教師が口を出すべきではない領域を利用した見事な脅迫法。マネしてもいいんだぜ?


「さぁ、宿題をやってこなかったやつは正直に前へ出ろ」


 案の定ぞろぞろと前に出てくるやつら。四人か、意外と少ねぇな。しかしかなしいかな、全員男子である。 


「正直で結構。さぁ順番に好きな人を発表だ」


『ええええぇぇぇぇ!?』


「んだよ。宿題やってこなかったんだろ? 罰だ」


 その程度で済むんだからありがたく思ってほしいもんだ。


「ほれほれ、てめぇからだ。名前も忘れた男子」


「どんだけこの教室の先生やってるんですか!? いい加減覚えてくださいよ!!」


「おーおー威勢がいいねぇあんちゃん。その勢いで告白言ってみようか」


 途端に押し黙る男子A。ちっちぇなぁ。そりゃ名前覚える気もなくなるってもんだ。


「……です」


「聞こえねぇなぁ」


「だから、その……です」


「さっきの勢いはどこいった? 下っ腹の底のに力を入れろ……」


「で、出そう」


「尻じゃねぇ! 腹に力入れろっつうに」


「は、はい! 言っちゃいます!」


「よし、言え! 当たって砕けろだ!」


「俺はサエちゃんが好きです!!」


 おおー!! 言った! 男らしい!


「サエ、どうよ」


「きゃっかー」


 あっさり撃沈。残念だったな若造。


「あ……当たって……砕けた……」


「大丈夫だ、男らしかったぞおまえ。きっとこの先、その傷が役に立つさ」


 慰めはこんくらいでいっか。


「さ、次いくぞてめーら」


「いやだぁぁぁ!! こんな風になるのいやぁぁぁぁ!!」


「ええぃ、騒ぐな。それにこんな風とは失礼だぞ、この上なく清々しい顔じゃねぇか」


「あれは失うものがなくなった可哀想な人の顔です!」


「ガキがおおげさなこと言ってんじゃねぇよ! どーせてめぇらくらいの年齢は恋の駆け引きだのなんだのするより、ぶつかってったほうがうまくいったりするんだよ。ほれ次てめーだ、言え!」


「うぅ、こうなりゃヤケだ! 僕はカカちゃんが好きです!!」


「身の程を知れ」


 はい撃沈。


「み、身の程って……」


「虎がだんご虫を好きになると思う?」


 だんご虫、おお、だんご虫! 言われてみればだんご虫みたいな坊主頭だこの男子。


「よかったな。てめぇはこれから“だんご虫”だ」


「いいことなんて何一つないですよぅ!」


「そのうちになんかあるさ。だからそうだんご虫みたいに丸まるな……そうだカカ。ちなみに聞くが、おまえが虎ならサエは?」


「ブラックホール」


「あのー、カカちゃん? せめて動物で言ってほしかったなー」


 そりゃブラックホールとだんご虫じゃ勝ち目ねぇわな。


「カカすけ、わ、わたしは?」


「猿」


「ウキー!!」


 うむ、いいモノマネだ。サユカも日に日に芸達者になっているようで結構なことだ。


「はい次」


「ぼ、ボクは……サユカちゃんが好きです」

 あれま、こりゃ綺麗に仲良しトリオが挙がったもんだな。でもサユカはなぁ。


「えっと、ごめんなさいっ! わたし、好きな人がいるから」


 だよなぁ。


「だ、誰ですか……! こ、ここ、殺してやる」


 オイオイ。あんた流行のアブナイ子か? やべぇ、矯正しとかねぇとオレの給料が危ねぇ。


「なんですって――あんたが死になさいよっ!!」


「好きな子に死ねって言われたぁぁぁっ!?」


 あ、泣き出した。勝手に矯正してくれたみたいだな。でもちょっとコイツ危なそうだからあとで慰めといてやろ。


「ほれ、最後。てめぇだぞ」


「俺は……テンカ先生が好きです!!」


 あれま。オレかいな。


「おとといきやがれ」


「え、えっと……二日後にくればいいんですね!! そうしたら返事を……!」


「待て待て、そりゃ明後日だろが。オレは一昨日って言ってんだよ」


「あ、そっか……え、じゃあ、どうやってくれば」


「もうくんなってことだよ」


「うあああああああん!!」


 あー、丁寧に説明してトドメ刺しちまったか。ま、いいだろ。ガキの頃の大人に対するそういう想いは早めに諦めたほうが今後のためってもんだ。サユカみたいに実るかもしれない場合は別かもしれねぇがな。


「……屈辱だわ、なんでアイドルである私の名前が挙がらないのかしら」


 アヤ、こういうときに彼氏付きの女に告るガキはそうそういねぇぞ。てめぇ本人は認めねぇかもしれんがな。


「さて、盛り上がったところで答え合わせ始めるぞ。そこの撃沈男子四人は答えやらねぇからな、普通にドリルやること」


「先生……恋って、なんなんでしょう」


「そんな答えは知らん」


 自分で答えを見つける類の問題だ、それは。


 オレも見つけちゃいないがな。




 答えのない問題、ありますよね?

 恋とはなんなのか……まー答え方はそらもー科学的なそっけないものから情熱的な恥ずかしいモノまで腐るほどあると思いますが、明確な正解はないですよねー。

 

 ……だからどうした?

 いや、特に言いたいことはないんですけどね(ぉぃ


 そうそう。なんか九月一日よりも先に――二十五日あたりから学業始めている方々もいるそうで……その方々に一言。


 ご苦労様!!

 

 スイマセン、そんくらいしか言えません^^;

 学生ガンバ!

 大人もガンバ!

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