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カカの天下  作者: ルシカ
545/917

カカの天下545「ワタシニホンゴワカリマセーン」

 どうもー、暇してるカカです。


 サエちゃんもサユカちゃんもおうちのお墓参りを手伝わされているみたいで遊べないそうです。こっちのお墓掃除もトメ兄と姉でやってしまうそうなので、私だけ暇なのです。別に墓掃除くらい手伝ってもいいのになぁ。暇なほうがよっぽど……


 あれ、そういえばトメ兄がなんかやれって言ってたような。


「宿だ――」


 聞かなかったことにしよう。


 というわけで散歩なんかしてるんだけど、なんか無いかな……お、向こうから歩いてくるのは見知った二人!


「最近声すら聞いてないシュー君だ」


「あ、あはは……わかりやすい説明的な挨拶をありがとうカカちゃん」


「それにタマちゃん! こんにちは」


「オゥ、カカー、コンニチーワ」


 …………?


「ゲンキデースカー?」


「シュー君、この子」


「はい」


「言語障害?」


「難しい言葉知ってますねカカちゃん。えっとね、なんだかタマ様、いま外人みたいなんですよ」


「……外人」


「ドゥシタノー?」


「日本語しか喋ってないよ?」


「えっと、タマ様的には英語みたいです。なんかさっき、通りすがりの外人とぶつかったら、外人がうつったとか言い出しまして……」


「あー、あるある」


「あるんですか!?」


「子供のころはあるんだよ」


 知らないのか。私も昔はよくトメ兄相手に「アレ、カッテクダサーイ」とかやってたもんだ。そして「ダメ」と言われたら「ワタシ日本語ワカラナイネー」と返してごねるのだ。まー大抵の場合ダメなもんはダメだったけど。


「じゃあ……カカちゃんが僕にぶつかったら、僕がうつることも?」


「それはごめんなさい」


「謝られた!?」


「それはいくらなんでも恥ずかしいから」


「僕って……僕の扱いって……」


「まーまー、いつものことじゃん」


「それもそうですね」


 意外とタフだよねこの人。


「さてと……ねね、タマちゃん。知ってる英語言ってみな」


「オバタリアーン」


 沈黙。


「……シュー、これって英語なの?」


「わかりません。なんとなく英語くさい響きですが」


 シュー君は大人のくせに英語もわかんないのか。ダメだなぁ。


「よし、タマちゃん! 私が英語を教えてあげよう」


「ワタシ、エイゴダーヨ」


「あんたが英語でどうすんの。えっとね、まず数字! 1が、ワン! 2が、ツー! 3がスリーでね、4が……んー……」


「うーと、えーと」


「あ、ごめんね。一気に言っても覚えられないだろうし、これくらいにしとこうか」


「カカちゃん。もしかして4の英語がわからな――」


「黙れ喋るな」


 わかるよ! ほんとはわかるんだからね!


 4でしょ?


 えっと……


 ヒョーでしょ! ヒョーだったよね、うん。ワン、ツー、スリー、ヒョー!! なんとなく嫌な予感がするから口には出さないけどね。


「さぁタマちゃん! いま習った英語を使って、あそこの店でどら焼きを注文するのだ!」


「ハイヨー!」


 ……これは英語? うーん、わかんないからいいや。突進するように店へと入っていくタマちゃん。そしてそれを追う私たち。


「あの……この支払いは」


「シューだよ。ごちそうさま」


「なんとなくわかってました、はい」


 こんな男は放っておいて、さぁ初めてのおつかいだよタマちゃん!


「スイマセーン」


「はい、いらっしゃいませー」


 シューと二人でこっそり見守る。まずは一個かな。ワンだよ、ワン!


「クダサーイ!」


「いくつですか?」


「ワンコ!」


「ペットショップはあっちよ」


 ……あ、一個だからワン個か。


「ムムムー! デワ、ツーコ!!」


「わたしがほしいの!?」


 あなたのお名前ツウコさんですか!?


「スリーッツ!」


「スリッツ? スリット? ふふ、わたしの脚線美にみとれましたか?」


 どら焼き屋の制服がそんなんでいいのか。


 そんな疑問は置いといて。まったく言葉が通じないことに腹を立てたタマちゃんは……


 すぐ近くのどら焼きを掴んでダッシュ、って万引き!?


「タマちゃん!」


「タマ様!」


 外へ出て逃げ回るタマちゃんをなんとか捕まえる。なんだかんだとドタバタしてるうちに店員のツウコさんが外へ出てきた……これはまずい。万引きで通報されでもしたら!


「あの――」


「大丈夫です! この人、こう見えても警官なので、罪はちゃんと償わせますから!」


 万引きってどのくらいの刑になるんだろう。わかんないけど、これでタマちゃんを連れ帰って誤魔化せれば! そう思ってたんだけど……


「いいんです! この子は……この子は、わんわんに餌をあげるために必死だったんです」


 ……いつからそんなストーリーになったん?


「わたしがやりました!」


 な、に、を!?


「だから、だからその子は離してあげてください……」


「わかりました。あなたを逮捕します」


 するの!?


「これでいいの、これで……わたしはあの子を守ったの」


 なんか浸ってるし。


「ばいばい……その優しさを大切にね」


 泣きそうな顔で手を振るツウコさん。そんな切ない場面で、タマちゃんは戦果のどら焼きをもしゃもしゃと頬張りながら言った。


「オバタリアーン!」


「やっぱりあいつがやりました!!」


 もう何がなんだかわかりません。


 結局万引きだのワンコだのの話はうやむやのまま私たちは逃げました。


 いい暇つぶしにはなった。それにしても4ってなんだったっけなぁ。思い出せない。ヒョーじゃなくて……ピョー?


 ワン、ツー、スリー、ピョー!!


 何が飛ぶのん。




 てなわけでタマちゃん話でした。

 エセ外国人っておもしろいですよねー。

 子供がやるとワケワカリマセンが^^;


 さて……お盆連休最終日!

 飲食業が夏で最も忙しい日々が終わる!! 皆さんの感想を元気に代えていってきます!!

 ……返信は今日を乗り切ってからでご勘弁を^^;

 ピョー!

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