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カカの天下  作者: ルシカ
541/917

カカの天下541「音頭だってさ、がんばれタケダ」

 やぁやぁ、タケダだ!!


 夏祭りが終わって丸一日経ち、我ら五人はなじみの喫茶店へ再び集まった! それというのも夏祭りのイベントステージにて披露した漫才の打ち上げをやろうというのだ! 


「タケダ、乾杯の音頭を頼む」


「そんな踊りは知らん」


「乾杯する前になんか言いなさいってことよ! 頭いいくせにバカね!」


「まぁまぁアヤさん。小学生が乾杯する機会など普通はそうそうあるものではないと思いますし」


「……こくこく」


 不覚だった。そういえばドラマとかで見たことあるかもしれないな! ええと、確か……グラスを持って……


「ゆったりした椅子に座って、猫をなでるんだっけ」


「豹柄ローブと葉巻はいるか?」


「おおニシカワ、ありがとう」


 バカには見えて普通の人は見えないそれらをニシカワから受け取る。


「ねぇイチョウさん。なにかしらあのミニコント」


「多分、漫才大会のときの失敗を少しでも笑いで取り戻そうとしているのではないかと。この場合はおそらく、グラスしか共通点ないじゃん! とかツッコむのが正解ではないかと」


「ふーん。おもしろくないしツッコまないけど。インドちゃんやる?」


 ノゾミ君は首を横にふるふるふる。くぅ、心優しい彼女ですらこの仕打ち。やはりあのときの失敗は大きかったか……


「いいからタケダ、乾杯の音頭やってよ」


 アヤ君はあからさまに厳しいし……こうなったら小粋なジョークでも!


「モテたい音頭でいいか?」


「それでいいわ」


「……え」


「やれ」


「え、でも」


「やるっていったのはあんたでしょ?」


「……その」


「やれ」


 まぢ?


 この静かな喫茶店の中で?


 ぐぐ……ええい! 適当に腕をちゃっちゃっちゃっ!!


「モテたいモテたいモッテモテ!」


「そりゃモテんわ。かんぱーい!!」『乾杯!!』


 ええええええええええ!!


「えっと、その、俺、誰とも乾杯してな――」


『んぐんぐ! ぷはぁー! コーラうめー!』


「みんな飲んでるし……」


 いじめか……いじめなのか……いじめ格好悪い……いま格好悪いの俺だけど……


「む? ノゾミ君?」


「……んと」


「ノゾミ君は乾杯してくれるのか」


「……ん」


「なんと! 君は優しいな!」


「…………!!」


 コンコンコンコンコンコンコン……っていや、そこまで小刻みに乾杯しなくても。嬉しいが。


 しかし先ほどのアヤ君……攻撃の仕方がカカ君そっくりだったな。カカ君ほど変な性質はもってなくとも似ている部分があるということか。かと言って好きにはならんが。ほんとだぞ? 先ほどのモテたいというのはカカ君限定であってだな。


「さて! みんなお疲れ様だったわけだけど」


 おっと、アヤ君が仕切りだした。


「みんな頑張った漫才大会! その中で! タケダがネタを途中で放棄したこと、どう思いますか」


 ぐぐぐぅ! やはりその話題がきたか!


 実はあのとき、俺の面接パートにはちゃんとネタがあった。しかしそれが俺的にはあまりに下品で、カカ君の前ではとてもできなかったのだ。


「ニッシーが無理やりオチを作ってくれたからいいものの――」


「ま、待って」


 む、インド君?


「わ、わたしも、その……変なこと、言っちゃって」


 俺を庇ってくれているのか! しかし確かにネタ合わせにないことを言っていたな。ちょっと傷ついたぞアレは。


「じゃあインドちゃんにも何かしてもらおっかなーふっふっふ」


「あ、アヤさん。インドさんにはあまり手荒なマネは!」


 さりげに「タケダなら手荒にしてもいい」みたいな意味込めてないかイチョウさん。


「大丈夫よー、軽く……」


 アヤ君がノゾミ君を楽しそうに睨みつける。


「びくびく……」


 ノゾミ君は怯えている。


「びくびく……」


 アヤ君はそれをじーっと眺め……


「びくびく……」


 やがて言った。


「ごちそうさま」


「いや何もしてないだろう!?」


「ん、なんか、可愛いからもういいやーと思って」


 なんと!! 確かに怯える小動物的なインド君は可愛かったとは思うが、それで全てオッケーとは……この娘、よもや天然の魔性の女の器を持つ者か!? 多分死ぬまで本人が自覚しない類の!


「それじゃ次はタケダの番だな。アヤ坊、何させるんだ?」


 おお楽しそうな我が友よ。後でブットバス。


「それじゃね、インドちゃんから一言あるから聞きなさい!」


 む? ノゾミ君から?


「あの……」


「ほら、インドさん。ファイトです! がんばるのです」


「うん……」


「ノゾミ君?」


 なんだ、一体何を言ってくるのだ? 


「……だ」


 だ?」


「だい……」


 だい?


 だい……


 die!?(和訳すると“死”)


「俺に死ねと!?」


「うん」


 そして迷わず頷くアヤ君! やっぱこういうとこはカカ君そっくりだ!


「え、えと、そうじゃ、なくて」


 そしてなぜか再びコンコンコンコンと小刻みに乾杯してくるノゾミ君! いったい何がどうなって!?


「……ダメだな、こりゃ」


「いったいいつになったら言えるのかしら。“大好き”って」


「言えないならばそれはそれでインドさんが可愛らしいので良いのですが。ほら、なんだかキツツキのようです」


「ふと思ったけど、インドにキツツキっているのかしら」


「いるよ。アジアヒメキツツキとか」


「……なんでそんなこと知ってんのニッシー」


「西のことだから」


 なにやら周囲が騒がしかったが、ひたすら乾杯し続けるノゾミ君に困惑していた俺には全く聞こえなかった。


 とりあえず思う。


 いい加減に飲まないと炭酸抜けるぞ、コーラ。まずいぞコラーって感じになるぞ。


 ……やっぱ俺にはボケのセンスないな。




 夏祭りのその後、みたいな感じなお話です。まぁタケダがアレなだけですが笑

 明日は他メンバーの打ち上げです。あと姉と人形のその後を少々……

 え? 祭り終わってすぐ書けばよかったんじゃないかって? 


 のんびり話を挟んだりしないと焦ってる感じがしてヤなのです(よくわからん

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