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カカの天下  作者: ルシカ
529/917

カカの天下529「一滴の不安」

 こんにちは、クララです!!


 ただいまクララはすごくうきうきしてるです。なぜかといいますと……明日お祭りがあるからです!!


 クララはいつも遠くから見てるだけでした。それだけでもすごく楽しかったのに、今年は普通に参加することができるのです!! こんなに嬉しいことはありません……なのでいろんな人を片っ端から誘っていたりします。


 そんな中、偶然にもサエおねーちゃんと会ったので一緒に歩いてます。


「サエおねーちゃんの漫才、楽しみです!」


「ふふふー、これからカカちゃんちで打ち合わせなんだよー」


 なんと! ならばクララは退散せねばなりません! やっぱりこういうのは当日のお楽しみでないと――


「……あ、そうだ。ちょっと気になることあるから、クララちゃんもついてきてくれる?」


「はい? いいですけど」


 クララ的にはどこでもついてくですよ。木工業者のとこ以外なら。


「おやや?」


 ――と、サエおねーちゃんと雑談しながら歩いているうちにカカの家にたどり着いたのですが。


「変な感じがします」


「でしょー? 私が打ち合わせしてる間に、見てきてくれないかな」


「わかりました」


 なんでしょう。なんだか良くないモノの気配がします。


 カカの目があると面倒なので、適当に消えて勝手にお邪魔します。えっと、変な感じは……こっちからですね。


 カカの家で初めて入る部屋です。なんだか物が少ない部屋ですね……壁も床もまっさらですし。でも所々テープをはがしたアトがあるような?


「ぴく」


 カタン、と。音がしました。


 押入れのほうです。


 ちょっと失礼して……開けさせてもらいました。


 するとそこには!


 なんだか薄気味悪い人形がありました……


「か、可愛くないです」


「悪かったねぇ!!」


「ひぇ!?」


 しゃ、喋った!? なんだか喋りましたよこの人形!!


「な、なんなのですかあなたは!」


 御札が貼られた着物姿の人形は……返事をしませんでした。


「き、気のせいだったのでしょうか」


 おそるおそる人形の顔を覗き込みます。可愛くないと言ったのは雰囲気のことであって、実際の顔の造りは結構、綺麗な……でも、やっぱり怖い感じがします。


 あれ? よく見ればこの御札、なんだかはがれかけて――ぴくり。


「ひっ!?」


 や、やっぱり動きました!! えっと、いま胸が動きました! ……胸? おお、中々に立派なおっぱいです。


 はらり。


 ……はらり?


 足元を見ます。


 落ちてたそれを拾います。


 御札でした。


 ……ほわっつ?


「に、人形が……動き出してます!!」


 なんか封印が解けたっぽいです!! 額に『呪』とか書いてあります!! 親切です! わかりやすくて涙がでます!!


「よっせって! あっげっる! よっせって! あっげっる!!」


「なんか言ってます!? 何言ってるかわかんないですけどめっちゃ怖いです!!」


「なにおぅ!? 桜の精ごときがあたいのおっぱいにケチつける気かい!?」


 は、ハッキリ喋りました! この人形、やっぱり額の文字通り、呪いの……?


「桜の精って……なんで知ってるですか!?」


「はん、人じゃないモノになってから長いんでね。そんくらい見ればわかる。あんたにも似たような力くらいあんだろ?」


「そ、そうですけど……そ、それと。さっきのなんですか。よせてあげる! とか」


「あんたも気合入れるとき『えいえいおー』とかやるっしょ? あんな感じ」


 なんて奇抜なえいえいおーなんでしょうか! 初めて見ました。クララも今度やってみるです。


「くあぁ……しっかし久々に動けたわ。起き抜けにひと仕事すっかな」


「し、仕事ですか? 何するですか?」


「誰か呪うのよ」


「ダメです!!」


「あん?」


 ビクリ、と身体が震えました。人形さんに睨まれただけで、動けなく……


「あたいのおっぱいに何が詰まってると思う? 人の怨念や無念、呪いの類だよ。あたいはこれを誰かにバラまくために作られたのさ。それが仕事なんだよ」


「そ、そんな……おっぱいには夢と希望が詰まってるって誰かが言ってました!」


「そいつぁ単なるスケベだ」


「とにかくそんなもの詰めたらダメです! ばら撒いたらダメです!」


 また睨まれます。怖いです。でも引いてはいけません!


「明日は楽しいお祭りなんです……それなのに、こんな」


「祭りがあるのかい!! こいつぁ良いことを聞いたよ、ありがと」


「しまったぁです!!」


 口が滑ってしまいました! クララしょっくです!!


「それじゃお楽しみは明日にとっとくかね……めちゃくちゃにしてやる。くくく」


「さ、させません!」


「ハッ、妖精風情に何ができる。あんたらの類はお祭り騒ぎが大好きなんだろ? だったら人の不幸でも大騒ぎすりゃいいじゃないか――バケモノ同士、仲良くしようや」


「嫌です。クララは楽しいのがいいんです!」


「そうかい。残念だ――じゃあね」


「待っ!!」


 消えて、しまいました……


 どうしましょう! 明日のお祭りが……


「クララちゃーん? あ、ここにいた」


「サエおねーちゃん!」


「こんな部屋があったんだねー……あれ、どうしたのクララちゃん。何かあった?」


「こ――」


 ここで呪いの人形が、そう言おうとして口つぐみました。


「……いいえ、何もありませんでした。変な感じは気のせいでした」


「そっかー。そういえば変なのなくなってるね」


 もう、ここには居ませんから。


「よかったー。じゃおやつ食べよー」


「はい」


 お祭りは、めちゃくちゃになんかさせません。


 みんな、楽しみにしてるんです。


 だから、みんなは何も知らないまま楽しんでください。アレは、クララが一人でやっつけます!!


 あの――あ、名前知らないです。


 だから適当につけます。


 あの、おっぱい星人め!! クララの街を好きにできると思ったら大間違いです!!

   



 呪いの人形も参戦? が決まり、夏祭りは大変な混雑が予想されます。

 混戦が予想されます。

 混乱はしないように頑張ります。


 さーて。

 お祭りが終わるまで何話かかるでしょっかねー笑

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