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カカの天下  作者: ルシカ
528/917

カカの天下528「夏の詰め合わせ、うえ」

 とある夏休みの風景、そのいち。


 私、サエですー。


 今日はカカちゃんとサユカちゃんで、学校のプールへ遊びにきています。夏休みは監視の先生がいる時間なら出入り自由なのです。四方八方スクール水着。マニアにはたまらんねー。


「っぷはぁ!!」


「おー、サユカちゃんも泳げるようになってきたねー」


「私たちのおかげだね。感謝するがよいサユカン」


「泳げるようにって……プールサイドから二人してわたしをぶん投げただけじゃないのっ!!」


「すごい跳ねたね。水切りみたいに」


「なんかカカちゃんのお姉さんになった気分だよー」


「こっちはシューさんにでもなった気分よっ!!」


 言い合いながらプールサイドからざっぱんとプールに降りて、不貞腐れるサユカちゃんに近づいていく。そういえばシューさん、最近見てないなー。


「仕方ないじゃん。サユカン全然泳げるようにならないもん」


「なんだか面倒になってさじを投げたくなるのもわかってよー」


「さじじゃなくてわたしを投げたでしょうがっ!!」


「槍投げみたいで格好よかったからいいじゃん」


「投げやりに言うなっ!!」


 お、うまい。サユカちゃんもツッコミできるようになってきたねー。


「よし、んじゃサユカンのためにもちゃんと特訓しますか」


「そうだねー。じゃあ息を止める練習と、水中で目を開ける練習やろうかー」


「どうやるのよっ」


 私はこういうときにもっとも適した訓練法を知っている。それは――


「水中でにらめっこするのー」


 これなら特訓にもなるし遊びにもなる。一石二鳥だ。


「いいねそれ。サユカンもそれくらいならできるようになってきたし」


「いいわよ、受けて立つわっ」


 私たちは「せーの」と声を合わせて、いっせいに潜った。


 そして三人で顔を見合わせる。息を止めることに必死なサユカちゃん。カカちゃんはベタに鼻の先を指で押上げて豚の鼻を作っている。 


 しかし甘い。


 必殺顔。


『ブリリアントストームのっぺらぼう!!』


 二人とも水中で大爆笑。大量の空気を吐き出して水上に顔を出した。遅れて私も顔を出す。


「――ぷは。私の勝ちー」


「けほっ……さ、サエちゃんやるね。次は私の必殺技を見せてあげるよ!」


「げほげほっ……え、まだやるのっ!?」


 再び「せーの」と潜る私たち。


 私の必殺顔『焼き鳥フェニックス』とカカちゃんの『六連風神悪鬼』が衝突する!


 勝負は互角。同時に吹き出して水上へと上がる!


「ぷはっ!! はぁ、はぁ……やるね!」


「そっちこそー!」


「げほっ……ぇ、また?」


 サユカちゃんは死にそうだけどもいっちょ「せーの!!」


『トワイライトテンペスト!!』


『硝子の幻想卿!!』


 互角!! サユカちゃんはすごく死にそうだけどまだまだー!


 数多の必殺顔が荒れ狂う。


『天よ、地よ、この世にありし全てのものよ』


『天ぷら』


『そして誰もいなくなるか?』


『マシンガンババァ!!』


『でかい鼻!!』


『シュー君の死』


『カカちゃん』


『サエちゃん』


『今日はお弁当?』


『うん。一緒に食べよう』


『もうちょっと遊んでからねー』


『ほーい』 


 ――そんな、水の気持ちのいい晴れた午後でした。


 あ、サユカちゃん死んだ。


 


 とある夏休みの風景、そのに。


 私、アヤなんだけど……


「ネタが浮かばない!!」


 これである。今日も夏祭りの五人で喫茶店に集まって考えてるんだけど……一向に漫才の方針が決まらないの!!


「何かないの、ニッシー!!」


「相撲でさ。ひが〜し〜、誰か〜。に〜し〜、かわ〜、って略すなよ! みたいなのは?」


「おもしろくない。タケダは?」


「もうすぐ算数終わるぞ」


「普通に宿題してんじゃないわよ!! ……あとで見せなさい。インドちゃんは?」


「……え、えっと……なんでやねん」


「誰もボケてない!! あ、ツッコミの練習か。あ、うん、いいよいいよ。続けて……イチョウさんは?」


「はい?」


「普通に本読んでるんじゃないわよ!!」


 これである。かろうじてニッシーが考えようとしているけど西ネタばっかでつまんないし。


「はぁ……棄権したほうがいいのかしら……イチョウさんは何読んでるの?」


「わたくしが考えてきた漫才のネタ帖です」


「早く言いなさいよそれを!!」


 ――そんな無駄な時間を過ごしてしまった午後でした。


 これで大丈夫……かな?




 とある夏休みの風景、そのさん。


 僕、トメです。


「休みじゃねーよ!!」


 ――そんなことを誰へともなく呟いてしまった午後でした。


 短いし。




 とある夏休みの風景、そのよん。


 オレ、テンカだけどよ。


「なぁ教頭さんや」


「なにかね」


「オレが何やってると思う?」


「プールの監視だな」


「あんたは何してる」


「背泳ぎだ」


「……なんでオレだけ仕事してんだ」


「下っ端とはそういうものだ」


 ――そんな、理不尽な午後でした。


 てめぇも働けよ。




 とある夏休みの風景、そのご。


 ぷるるる、と携帯が鳴って取りました、サカイです。


『もしもし、サカイさん? 今日はいったいどうしたの。会社に来てないし連絡もつかないし……何かあったの? 休みの届けも出てないわよね?』


『夏休みですー』


『ねーよ!!』


 ――そんな、ダメな午後でした。


 あら、もう午後? 寝すぎたわー。




 とある夏休みの風景、そのろく。


 動物語訳。


「暑いにゃー……ラスカル」


「だるいわぅん……総理」


「焼き豚になってしまうぶぅ……」


「「ごくり」」


「ぶー!?」


 ――そんな動物たちの美味しそうな午後でした。


 いつぞやの豚です。覚えてますか? ぶぅ。




 前回好評だった詰め合わせです。詰めた基準は適当です笑

 

 さてさて、夏祭りまであと2日。


 どうしまっしょかね(ぉぃ

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