カカの天下523「みんな楽しみ夏祭り」
こんにちは、アヤよ!
今日も暑いわね。というわけで喫茶店で涼んでるの。お茶の相手はイチョウさんとインドちゃん。いつの間にか夏休みでも集まるくらいに仲良くなってしまったわ。
「そういえばさ、もうすぐ夏祭りなのよね」
ふともらした私の言葉に、二人とも「う……」と言葉に詰まる。うーん、一応頭には入れていたけど良いアイデアは浮かばなかったって顔ね。
「申し訳ありません……わたくしが全部100点など取ったせいで……」
「イチョウさん、それで謝られるとなんかムカつくよ?」
「す、すいません! お詫びにわたくし、次は一つも100点を取りません! 全部99点に抑えます!」
それもそれでムカつくと思うわよー先生は。
「インドちゃんは何すればいいと思う? 夏祭り」
期待しないで聞いてみたんだけど、インドちゃんは意外にも頷いた。え、アイデアあるの!?
「私ね……みんなに、笑ってほしい」
「ん? どゆこと。ステージの上でひたすら笑うの?」
それはそれで面白そうだ。変な目で見られるだろうけど。
「あのね……私ね、カカちゃんたちを見ていつも思ってたの。あんな風にみんなを楽しませることができたらいいな、って」
あー、あいつらね。たしかに何かしら周りの子らを笑わせてはいるけど。
「でもカカさんたちのようになるには大変ですよ? それこそ人間捨てるくらいの気持ちでいきませんと」
「イチョウさんって丁寧なんだか乱暴なんだかわかんない喋り方するよね……ま、いいけど。確かに一理あるわ。あそこまではっちゃけられないわよ私たち」
特にインドちゃんには厳しいだろうし。
でもインドちゃんはふるふると首を横に振った。
「私たちは……私たちなりのやり方で、みんなに笑ってもらえばいいと思うの」
「なるほどです。おとなしいならばおとなしいなりに、静かな笑いを求めればいいというわけですね」
静かな笑い? 陰でクスクスとか鼻でフンって笑うとかそんなの? なんてね。
「私ね……この間テレビで見たの。そういう人」
「そういう人って……静かに笑いをとる人ってこと?」
「うん……」
へぇ。私は結構テレビ見るけど、最近でそんな芸人いたかな?
「その人、すごいの。じっとしてるだけで笑われるんだよ」
ん?
「その人は何もしてないのにね、周りの人がすごく楽しそうなの」
んん?
「なんか、やーいやーいとか言いながら笑って」
「それいじめられてるだけだから!!」
さっきの笑いで合ってたのか!?
「あんな風になりたい」
「なっちゃだめ!!」
「……え。笑いをとったらだめ?」
「笑われたらダメよ!! 笑わせないと!」
「違いがよくわかんない」
「あー、もう、だから……ねぇ、イチョウさんも何か言ってよ」
いつの間にかのんびりとフルーツパフェを食べていたイチョウさんは、慌てて口を拭いて……にっこり微笑んだ。
「できると思いますよ」
「へ? なにが」
「みなさんに笑わっていただけると思います。お二人のやりとりを見ていただければ」
う、何よそれ。まるで私たちまでカカたちみたいな見世物になってたような言い方じゃない!
「んー、でも、まぁ。ニッシーとタケダもやるんだし、あの二人を適当にいじれば……やれるかな?」
「では、決まりですね」
「え? え? ……えと、結局、どうなったの?」
あらあら、インドちゃんたら。自分が何をしたいって言ったのかわかってなかったのかしら。仕方ないわね。
笑いをとる出し物と言ったら、コレでしょう?
ずるずるずるずる。
――突然すみません。トメです。
「うめーなチキンラーメン」
「テン、馬鹿にして悪かった。そんなもんスーパーで買って家で食えばいいと思ってたけど、店で食べるチキンラーメンがこんなに美味いとは」
「はっはっは、いきなり誘われたかと思えばこのような場所に連れてこられ、どうなるかと思いましたが……いやはや、麺と玉子の味がなんとも」
三人そろってずるずるずるずる……ああ、ほんとすいません。いまラーメン中なんです。
夏祭りの相談をしようとテンに連絡したら、お昼時だし珍しいところで飯食おう! と言われ……この、みんな知ってるチキンラーメンを出すラーメン屋さんに連れてこられたのです。果たして普通に市販のチキンラーメンを使っているのか、ここで独自に作っているのか……それは食べただけではわかりません。ただ一味違う気はします。それが味のせいなのか『外で食べる』という雰囲気のせいなのかはいまいち判断つきません。
「それでトメ君? 協力しろと言われたものの、私は詳細を知らないのですが」
ずるずるしながら聞いてくるキリヤ。僕だけテンの道楽に付き合うのも癪だったので巻き込んでみたのである。
「ああ、それな。実は――」
「待てトメ。今はチキンラーメンに集中しろ。じゃないとチキンラーメンに失礼だ」
「へ? いいじゃん、食べながら会話しても」
「ダメだ。これを食べている間は現実を忘れるんだ」
「なぜにそんな現実逃避を?」
「チキンだからだ」
……沈黙。
「テン」
「うるさい」
「おまえ今ちょっと恥ずかしいだろ」
「うるせぇ!! 黙って食え!!」
「チキン。一般的には鶏肉のことですが、臆病者や逃げる男に向かって『このチキン野郎』と呼ぶこともありますね。今のは現実逃避とかけて」
「いちいち説明すんな!!」
ずるずるずるずる!!
――そして、食べ終わり。
「というわけでさ、夏祭りのステージで何かしなきゃならないんだけど」
「私も参加してよろしいのですか?」
「や、参加しろ。命令だ。なぁテン?」
「オレは別になんでもいーぞ」
「ふむ。では夫婦漫才+アルファで決定ですね」
「「なんでそーなる!?」」
などとツッコんでみたものの……
ちわ、カカです。次の夏祭りにどんなのをやるか考えてます。
「ただいまー」
「おかえりトメ兄! どうなった?」
「夏祭りか? なんか漫才することになった」
え……?
そのとき、ぴろりろりん♪ と私の携帯が鳴った。
開いて見てみると、メールが一件。インドちゃんから?
『ねぇねぇ聞いて! わたしね、今度ね! 漫才することになっちゃった!!』
……皆、漫才?
『だからネタちょーだい』
や、こっちのセリフだし。
初めまして。今回の夏祭りの実行委員長です。誰だよって? 多分もう出ないから細かいことは気にしないでいただきたい。
「実行委員長。夏祭りイベントの詳細報告が一般参加者からいくつか届きました」
「ふむ、今日は四件か。どれ、ステージでやる内容は?」
『漫才』『漫才』『漫才』『漫才』
「……おい、チラシのどっかに漫才大会とか書いたか?」
「い、いいえ」
なんなんだコイツら。
そんなわけで、夏祭りはカカ天的には漫才大会となってしまいました。
果たしてカカたちはどんな漫才を披露するのか。そして私は面白く書けるのか!? ちょっと自信はありませんがいつものようにキャラ任せで頑張りたいと思います(それ頑張ってるのか?




