カカの天下506「カカと漫才 レベル1」
「ツッコミがしたい!!」
元気にハキハキ大宣言!! どうも、カカです。
「いきなりなによ、カカすけ」
「無理でしょー」
呆れているのはおなじみの友達、サエちゃんとサユカン……むー、そんなに変かなぁ、私がツッコミすると。前にも言われた気がするけど。
「大丈夫だよ、やればできるよ! だって私、アイスピックってやつらしいから」
「氷砕くやつ? ぴったりだねー」
「それを言うならハイスペックでしょっ! なんでもできるって意味ね」
おお、ツッコミだー!
「サユカン! ツッコミ教えて」
「な、なによ。トメさんに教えてもらえばいいじゃない」
「トメ兄はレベル高いもん。だからまずはサユカンレベルで慣らそうかと」
「そんなこと言われても教えることなんてできないわよっ……でも、そうね。じゃあわたしと二人でツッコミやってみよっか。サエすけ、ボケてっ」
「飯ゃーまだかいのー?」
「そういうボケじゃなくてっ!! あと最近見た悪夢を思い出すからやめてくれるっ?」
「はーい」
よし、始まるぞ。頑張ってツッコもー!
わくわく、わくわく。
「じゃあサエすけ始めて。カカすけ、ちゃんとツッコむのよ?」
「おうさ!」
「いくよー。んとー……隣の家の囲いができたんだってね。へー」
「へー」
「ツッコみなさいよっ!!」
え? なに、どこを!?
「今のはねー。『囲い』と『へー』をかけてるの。囲いって塀のことでしょー?」
「へー」
「まだボケるかっ」
う、そんなつもりは……
「じゃあサユカン見本を見せてよ」
「わたし? いいわよっ」
「んじゃいくよー。隣の家の囲いができたんだってね。へー」
「つまんないわよっ!!」
「……サユカちゃん、ボケろって言っておいてそれはあんまりなお言葉だよー」
「だってそう思ったんだもん。もっと面白いこと言ってほしかったわ。まぁ練習だからいいけどっ」
ふむふむ、なるほど。つまんないわよ! これだね。
「じゃあカカすけ。やってみて」
「不安だからサユカンも一緒にやって」
「いいわよ」
「それでは、こほん。隣の家の囲いができたんだってね。へー」
「つまんないわよっ!」
あ、乗り遅れた。えっと。
「そうだわよ!!」
「何よそれ!?」
「や、遅れたからつい。ちなみにこれはソーダだわよ」
「つまんないだわよっ!」
「あげる」
「もらうわ」
アドリブ利かせたつもりだったんだけど、ダメだったかな。
「こく、こく……今度はちゃんと素早くツッコむのよっ?」
「うん! サエちゃんお願い」
いざ!!
「隣の家の囲いが」
「つまんないわよ!!」
「早いわよっ!! なによ、隣の囲いがつまんないって。面白い囲いってどんなのよっ」
「えっと。囲いだけに、カッコイイ男の人のゾウが並んでる塀とか?」
「……そんな囲いあったら確かに面白いでしょうけど」
「でしょ? ぱおーん」
「ゾウってそっちのゾウ!? 銅像とかじゃなくてっ!?」
「ゾウっていうのはね、男の人の下半身についてる――」
「説明せんでいいわよっ!! って話が逸れてるし。カカすけ、君ツッコミしたいんじゃなかったの?」
「え、男の人の下半身のゾウを何に突っ込めと」
「そんなことは誰も言っとらんわっ!! あぁもー、なんとかしてよサエすけ……」
サユカンと一緒にさっきから黙ってたサエちゃんの方を見てみると。
「むぐむぐ……」
ポップコーン食べながら観戦してた。
「……サエすけ?」
「ん? あー、大丈夫だよサユカちゃん。結構おもしろいよー」
「そんなことは誰も聞いとらんわっ!」
え、でも重要なことじゃないかな。
「ねーね、サエちゃん。なんだかツッコミが二人みたいな感じだったけど、他に感想はないのかな?」
「いやいやいや誰がどう見てもわたししかツッコミいないからっ」
サユカンの言葉は無視。サエちゃんはニコニコと「んー」と首をひねり、
「ツッコミが二人というよりー、ボケが二人、というよりー」
やがてポン、と手を打った。
「バカが二人みたいだったー」
「……わたし、頑張ったのに……頑張ってツッコんだのに……誰か評価してよっ」
「つまんないわよ」
「うっさいわカカすけ!!」
おあとがよろしいようで。
「「「どうも、ありがとうございましたー」」」
「うーん。まだまだ練習が必要だね」
「漫才って難しいねー」
「もうちょっとテレビとか見て勉強しましょっ」
「……なぁ、てめぇら。何してんだ?」
「「「手芸部」」」
「どこがだっ!?」
おー、テンカ先生もツッコミだぁ。勉強勉強。
カカと〜シリーズの新作です。まーまだレベル1ですのでね、軽く書きました。レベル上がるにつれて面白くなっていけばいいなーと。