表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
502/917

カカの天下502「騒がしい大人たち」

 ちっす! テンカだぜ!


 いきなりですまねぇな。せーの!


「「「乾杯!!」」」


 三つの声とグラスの音が心地よく重なり、オレら飲み会がスタートだ!!


 メンバーはこの三人! オレ、姐さん、サカイさんだ!


「んぐんぐ……っぷはぁー!! あっついときに飲むビールは最高だねぃ!!」


「うんうんー。ささ、料理は何を頼もうかー」


「サカイさんの好きなのでいいぜ。オレはなんでもいいから」


「あたしも! メインはビールだぜぃ!」


「じゃあじゃあ……明太子食べたいな。このメンタイ出し巻き玉子、頼んでいいですかー?」


 ピクリ、と姐さんの耳が動く!


「ヘンタイだし巻きとな!?」


「おし、頼め! めっちゃ食ってやるぜー!」


「ち、違いますよー。メンタイコです」


「ヘンタイの子とな!?」


「おしおし頼め! めちゃくちゃにしてやるぜ!!」


「だから違うんですってー!」


 初っ端から飛ばしまくるオレたちにサカイさんはたじたじだ。ま、酔いが回ればすぐにテンションが追いついてくるだろうがな!


「さてさて、適当に頼んだところでー……いきなりですが、本題にいきましょうかー」


 あん? なんだそのキラキラした目は。


「そうそ、今日の飲み会の肴の目玉はもちろん! テンちゃんの見合い話だよねー」


 そうなるだろうとは思ってたがな。


「あんま話すことなんかねぇぞ? 大体のことは姐さん知ってるだろが」


「私もサユカちゃんから色々聞いてますから、一応知ってるんですけどねー」


「あ、サカイさんだろ、カカたちを乱入させたの! 結果的には助かったからいいけどよ」


「えーえー、感謝してください。そしたらまたちょっかいかけてあげますからー」


 いや、少しは自重してください。


「それで、それで? どうなのよ」


「何がだよ、姐さん」


「うちの弟、どうよ? イカスでしょ?」


「別にトメと見合いしたわけじゃねーだろ」


「でもでもー、似たようなものだったんじゃないですかー?」


 そりゃまぁ、彼氏役やってもらったわけだし、似てなくもねーけどよ。


「あの子、きっとテンちゃんみたいなタイプ好きだよ? なにせあの子の初恋相手ってのがさ、自分のことを『オレ』なんて呼ぶ男勝りな女の子だったっていうんだよ!? ほら、テンちゃんにぴったり」


 それアンタのことでしょが、どう考えても。


「ちなみにカツコちゃんの初恋は誰だったんですかー?」


 お、それはオレも興味あるぞ。


「あっはっは! これが笑っちゃう話でさー。トメなんだよ」


 ……は?


「一時期、トメが弟だなんて知らなくてさー、それでもずっと一緒だったからつい好きになっちまってねー。ま、昔の話だがね」


 ……驚いた。小さい頃は相思相愛だったんだな二人とも。


「ま、あたしの話はいいさね。テンちゃんどうよ、うちの弟をもらうつもりはないかい?」


「テンカちゃんもついに結婚ですかー」


「子供は六人!? いやー子沢山」


「がんばりすぎですねー。というか好きですねーふふふ」


「勝手に話を進めんな!!」


 ったく、この人らは酒が入るとどこまでも行くんだから……オレも人のこた言えねぇが。


「オレは今は教職に精一杯でな、んなこと考える余裕はねーよ。それはトメも同じだろ?」


「あー……弟君、カカちゃんに精一杯だからねー」


「親代わりみたいなものですからねー。育児できるのは羨ましいですけど、やっぱり大変なんでしょうねー。カカちゃん可愛いし」


「そうそう、カカちゃんが可愛いのが問題なのよ。おかげでトメは骨抜きさ」


「だろ? ま、オレがトメとどうにかなるとすりゃ、まずカカが心配ないくらい成長しないと無理だな」


「カカちゃんが成長ねぇ。彼氏でも作らすか?」


「いいですねー。誰かそれっぽい子はいないんですかー、先生」


 カカに似合う男ねぇ……


「んー……タケダくらいかなぁ、一番可能性ありそうなのは。少したきつけてやるか」


「お、カカちゃんに彼氏が! こりゃめでたい!」


「カカちゃんもついに結婚ですかー」


「子供は上に女の子、下に男の子が一人ずつ!?」


「よくある理想図ですねー」


 酒にまかせて暴走する二人の戯言を聞き流しながら、オレはふと考えてみた。


 トメと……そういう可能性はあるのかどうか。


 んー……


 正直、あるかもしれねぇな。


 でも、ま。オレはそういうの慣れてないしな。あいつも絶対に慣れてねぇし。


 この後どうなるか、時間が経てばわかるだろ。カカが成長して、オレもトメも成長して……話はそれからってことで。とりあえず目先のことで精一杯だからな、オレたちは。


 ゆっくり行こう。焦るよりそっちのほうが楽しいさ。


「……っと、ボーっとしちまってた。おい、何して遊んでんだ。オレも混ぜろよ」


 気を取り直して姐さんとサカイさんに声をかけると、二人はそろってこう答えた。


「「いまね、テンカちゃんごっこしてるの」」


 ……オレごっこ?


「おらおら、宿題やれ! あん? 答えあわせ? おれはしねーよ、てめぇでやれ!!」


 姐さん……どこで見てたんだその場面。


「おらおらー、泣け! わめけ!」


 サカイさんや。あなたの中のオレはどうなってんだ?


「ふははは! ここはおれの天下だ!! 有り金を置いてさっさと帰れ!!」


 オレ、いつそんなこと言った?


「文句があるのかね? 貴様はテンカ王の前にいるのだぞ! ひざまづけ! 命ごいをしろ! 小僧から石を取り戻せ!!」


「サカイちゃん、それ違う人の真似になってるから」


「目がぁー、目がぁー!!」


 メガ楽しいこの人たち。


「四十秒で飲み干しな!!」


「そーれ一気! 一気!!」


 何がどうなろうと、この人らと一緒にいれば楽しいんだオレたちは。絶対。


 でも一気飲み連続は勘弁な。

 



 書いてから思いました。


 飲み干すのに40秒って……


 長いしっ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ