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カカの天下  作者: ルシカ
493/917

カカの天下493「お見合いミッションOMAKE」

「ノロノロ坊主取り終わったー!」


「こっち側の人形の撤収終わったわよっ」


「ちょっと待って! もう少し……よし、こっちも人形の積み込み終わり!」


 農業用の一輪車にせっせっせ! あ、どうも忙しくてすいません、カカです!


 お見合い作戦も見事に私たちの勝利で幕を下ろしたわけですが、主役のテンカ先生やトメ兄たちと違って私たちには後片付けがあるのです!


 負け犬親子がとぼとぼ帰った直後、私たちは一斉に庭の掃除を始めました。別にこのまま帰ってもいいかと思いましたが、通報されて調べられたりしたら危ないですからね!


「皆さん! どうですか、終わりそうですかー!?」


 おっと、料亭の方から私服姿のサラさんが。どうやらこのまま私たちと一緒に逃げるらしい。


「うん、もう終わり。さっきの裏口から出ればいいんだよね、サラさん!」


「はい。先導しま――」


「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇ!!」


 げ、この声は……料亭の方からだ。聞いたことない声だけどなんかヤバげ!


「まずいです、料理長が来ちゃいます! ここで私たちの顔を見られたら!」


「もしかして指名手配っ!?」


「そうですサユカちゃん! 懸賞金がついてハンターに狙われちゃいます!!」


「ハンター!! と、トメさんになら狩られたいかもっ」


「あ、私も追われてみたいです! ラブハンター! きゃー」


 暴走妄想系の二人が呑気に騒いでるうちに足音はすぐそこまで!


「カカちゃん、どするー?」


 ああもう仕方ない!


 ズボズボズボズボ!


「うちの店の信用を落とした不届き者はおまえらかああああああ!!」


 勢い込んで登場したおっさんが多分料理長なんだろう。その後ろには数人の料理人っぽい人がいて――みんなそろって目を丸くしていた。


「な……何者っ!?」


「ふっ、何者と聞かれちゃあ答えないわけにゃあいくめぇ」


 びしっと適当にポーズを決める! しかし他の三人はあわせてポーズしてくれるどころかよろめいた。


 それも仕方ないだろう。顔を見られちゃまずいっていうから、いきなり片っ端からでっかいお面をかぶせたんだもん。


 お面? ああ、さっきまで庭に並べてた『見てるとなんとなくムカつく失礼なモノ』軍団を無理やり頭上からぶっ込んでかぶせたの。急ぎで作った人形ばっかだから中身スカスカで、お面代わりにはちょうどよかったんだよね。でも覗き穴あけないと前見えないし、結構大きいのもあるからよろめいちゃうの。でも我慢! 


「おれたちゃあ泣く子もムカつく失礼仮面! 人様の家に勝手にあがりこんでお茶目なことするのが取り得さ!」


「な、なんて失礼なヤツらだ!!」


「地味におそろしい!」


 ふ、そんなに褒めるなよ。しかしノリのいい人らっぽいな。このまま押し通してやる。


「てめーらの仲間のサラは預かった! とある場所に転がしてあるが、仲間を割られたくなかったら、おれたちを見逃せ!!」


「……むぅ、なんてことだ」


 要求が簡単すぎたかな。ま、いっか。


 空飛ぶカレーをかぶったサラさんが何か言いたげにしてたけど、結局何も言わずにせっせと目の辺りに覗き穴をあけていた。他の二人も同じく頑張ってる。


 私は偶然にもおむつかぶったおっさん人形をかぶったので、目の部分に穴があいてたのをそのまま使っている。しかしこのおっさん人形、首に穴あけて無理やり顔を突っ込んだので胴体が背中にのしかかって……重い。ビール腹ってやーね。


「さて、おれたちは行くからな。追ってくるなよ。追ってきたら割るからな!」


 全員の穴があいたのを確認し、私たちは去ろうとした。


 だが、そのとき!


「いいや、待て!! サラちゃんは見捨てよう!」


 本人に聞かせるにはあまりにも残酷な言葉が聞こえた!


「で、でも料理長!」


「いいじゃないか、どうせそろそろクビにするつもりだったんだ。だって皿割りすぎだもんあの子。自分は割れないくせに」


 うあ本人いないと思って本音が!!


「やっぱりですかーどうせそうだと思ってましたよー! くそーしねーばかー!!」


 ああぁ、サラさん割れてる! なんかいろいろ割れてるよ多分! 感情的に!


「ふ、ふん! こっちはわた――じゃなくてサラに拷問したから知ってるんですからね! この料亭が、色々と隠れてやってることがテレビにバレたら終わりだってことを!!」


 おお! サラさんさすが大人だ! 自分の感情はとりあえず置いといて新たな逃げる材料を持ってきた! よーしこれで!


「ちっ、あの娘そんなことまで……早めに殺しておくべきだったか」


 よーしこれでトドメだ。サラさんそろそろ泣くぞ。


「いー職場だと思ってたのにぃぃぃ」


 もう泣いてるし。


「あんな役立たずは捨てておけ。オイ手下ども! ぜってぇこいつらを逃がすんじゃねぇぞ!!」


「ヘイ!!」


 ざざざざっ、と散開する包丁持った料理人たち。なんだろうこの悪役っぷりは。かっけぇ。じゃなくてヤバい。どうするか――と、そのとき!


 細く高い口笛と、どどどどど……という複数の足音が。


 そして。


 どこ行ったんだろーってさっきから思ってたそいつらが姿を現した。ズドドドドドーっと庭へなだれ込む! ボスっぽいのと一緒に。


「うああああなんだこりゃ!?」


「うほ、材料がいっぱいですぜ料理長! 今夜は豪勢にいけそうだぁ、うしし! 牛だけに」


「マヌケなこと言ってねぇで下がれ! 踏み潰されるぞこの豚野郎!!」


「あっしは豚肉より牛肉でさぁ!」


「しゃべるなタコ!!」


「さらにタコまで!? どこに」


「おめーだ!!」


「――おーまたっせぃ!!」


 豚と牛に埋め尽くされてダイコンラン――大根じゃないよ大混乱だよ? コホン。えーそんな庭の中、その中でも一際大きな牛の上に仁王立ちした器用なボスっぽい人――はどっからどう見ても私の身内なのだが、小さい豚ちゃんを顔に乗せているので誰だかわからないことにしようと思う。


「いっやー! すぐに助けに来ようと思ってたんだけどさ、この子豚ちゃんが迷子になっててさー! んで見つけたらペットショップの犬と野良猫と三匹で鮭なんか食べててさー、まいったよーあっはっは」


 豪快に笑う豚仮面がくいっと顎を動かすと、数匹の豚と牛が私たちの元に。さすがは動物マスター。


「乗りな。一輪車も適当に運ばせるから」


「あ、はいっ、じゃ、じゃあ……お邪魔しますっ」


「わ、私、豚に乗るの初めてです!」


「多分乗りなれてる人はそうそういないと思うよー。あれ、カカちゃんどうしたのー」


 おそるおそる姉の舎弟動物に乗り込んでいく皆。でも私は動かなかった。


「お姉。私、逃げる前にちょっと」


「どしたのカカちゃん」


「こいつら、友達を泣かしたの」


「え……」


 ハッとするサラさん。恥ずかしい、見るな。


「ん、じゃーこの子使いな」


 姉が他の牛に飛び移ると、さっきまでその足元にいたごっつい牛が、私の元へとのっしのっし歩いてきた。


「こいつは破壊することに関しちゃ天下一品だよ! その名も『日本経済』だ!」


「壊しそー!!」


「っていうか今にも壊れそうねっ」


 恐れおののくサエちゃんサユカン。しかし私は臆せずそれに乗る。


「総理大臣とのコンビネーションとか見たいとこだけど……今日は諦めよう。いくよ、日本経済!」


 私が乗ったと同時に飛び上がる日本経済!


「ホントの日本経済もあれくらい飛び上がってくれればー」


「サエすけ、飛んだら落ちるのよ。伸びないと」


 そんな親友二人の声を背に、私は悪党どもの前へと降り立った。


「これは私たちの担任の先生が教えてくれたんだけどね――悪いことを言ったり悪いことをしたら、その分は全部自分に返ってくるんだよ!!」


 てなわけで全開でいっちゃいます。


 大! 暴! 走!




 ――後日談。


『――などの違法行為が発覚しました。その発覚の原因となった強盗事件について被告は「あれは牛じゃない、悪魔だ、日本経済だ」などと頭がイカレタ発言を繰り返しており、我々みんなダメだこりゃーと諦めている状態で――』


「……なぁ、カカ。このニュース」


「知らない、おかわり」


「……ほい。まぁ、バレなかったからいいけど……程々にしろよ」


 さぁねー。


 だって、許せないものは許せないもんね。


 


 はい、これでようやくテンカ先生編完結です!

 いやー……

 長かった笑 まさかここまで続くとは思ってませんでした^^;

 テンカ先生の伏線は「いつバラそっかなーいつバラそっかなー」ってずーっと温めてきたものです。まぁバラす機会がなかなか無かっただけですが笑

 そのせいかアレも書こうコレも書こうと思ってたらこんな感じになりました。

 ええ、ええ。何がしたかったかというと。

 悪を滅ぼしたかったんです爆

 こんなコメディもたまにはアリじゃないですかーってな感じでお許しくださいな笑


 明日からはまたいつもの感じに戻ります。でも投票〆切りまで日がないし出番ない人を出すべきか……ふつーの日常でいくかイロモノでいくか悩んでます^^;

 ま、明日の気分で。

 

 あ、あとあんパンも更新したのでまたよろしくです^^

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