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カカの天下  作者: ルシカ
477/917

カカの天下477「テンカ先生、変化!」

「よう、おまえら。ちょっといいか」


 いいですけど、カカです。


 サエちゃんサユカンと過ごすいつもの昼休み。いつもこの時間は職員室でだらけているはずのテンカ先生が珍しく教室にやってきて、私たち三人を手招きしました。


「なんですか、先生」


「お金は持ってませんよー」


「誰がガキにたかるかアホ。ちょっと聞いてみたいことがあってな」


 ドカリと座るテンカ先生に集まる私たち。ちなみに先生が座ったのはインドちゃんの席だ。トイレから帰ってきたらしいインドちゃんがおろおろしてるのが見えたが、やがてイチョウさんが「わたくしの席にきませんか? 一緒にお話しましょう」と誘っているのも見えた。「……ん」と頷くインドちゃん。いい展開だ。もしや確信犯?


「実は聞きたいことがあってだな」


 そんなミニドラマがあったのを知ってか知らずか、私たちに向かうテンカ先生はちょっと真剣ぎみだ。はて? 何の話だろう。


「もしもオレが教師以外の職業に就くとしたら、何が似合う?」


 突然の問いに目を丸くする一同。そんな中、私はとりあえず思ったことを口にした。


「教師も別に似合ってませんけど」


「やかましい」


 怒られたん。


「え、えっとっ。どんな職業が似合うか、ですよねっ」


「テンカ先生が似合う職業かー……警官とかどうかな?」


「あ、それいいかもねサエちゃん。じゃ、みんなで想像してみよう」




 ――もしもテンカ先生が、警官だったら。


「そこの犯人! 止まりやがれ!! 殺人の容疑で逮捕する!!」


「うるせぇ! こ、こっちは一人殺してるんだ! も、もう一人くらい殺しても別に――うぎゃあ!!」


 走って逃げていた犯人の首根っこを掴んで引きずり倒し、馬乗りになる先生。


「ほい、武器の包丁もらいっと」


「か、返せ……」


「あぁん? 返してほしいのか。そうかそうか、どこに返してほしい。右手か」


 ざしゅ。


「左手か」


 ざしゅっ。


「それとも丁寧に五本の指に返してやろうか。ほれほれほれほれほれほれ」


「うあああやめてやめて刺さないでぇぇぇぇぇ!!」


「刺してねーよ紙一重でな。でも手元が狂ったら刺さるかもなーほれほれほれほれほれ」


「ひぃぃぃぃいいぃぃいいぃいぃぃい!!」


「怖いか? 怖いか!? てめぇに刺された被害者はもっと怖かっただろうぜオラオラオラ」


「と、止めろ!! 誰かあの警官を取り押さえろ!!」


 ――想像、終わり。




「どこぞの警官よりよっぽど似合う、けど」


「どっちが犯罪者かわからないねー」


「さ、サエすけっ。そんなハッキリ言っちゃダメ!!」


「てめぇらん中でオレがどういうヤツなのかよくわかったよ」


 まーわかっちゃいたがな、と口元をひくひくさせるテンカ先生。まずい、担任が不機嫌になるのは非常にまずい。ここは格好いい職業を提示してイメージアップを!!


「あ、スチュワードズってどうかな!」


「スチュワードさんズー? いろんなスチュワードさんがオゥイェイでどうしたのー?」


「いやいやオゥノゥよっ! スチュワーデスでしょっ!」


「それそれ、スチュワーさんが死ぬやつ」


「デスはそういう意味じゃないっ! 全世界のスチュワーさんに謝りなさいっ」


「ごめんなさい」


「よろしい」


 そんなこんなで想像してみた。




 ――もしもテンカ先生が、スチュワーデスだったら。


 舞台はすでに飛んでいる飛行機の中。そして流れるアナウンス。


『ご搭乗の皆様にお知らせします。あー、んとな』


 丁寧な口調かと思えば急にくだける雰囲気。そして、


『この飛行機、そろそろ落ちるぞ』


 あっさり放った爆弾発言によって騒然となる機内!!


『ちょ、ちょっとテンカ君!! いくらなんでも正直すぎ!!』


『んだよ機長、正直のどこが悪い』


『悪くはないけどね! もっと柔らかく言わないと乗客の不安をあおるだけでしょう!?』


『不安? 不安なのか客ども。この軟弱者が!!』


『いやハッパかけてほしいわけじゃなくて!!』


『るっせぇな。落ちようが何しようが、オレがいるからなんとかなるに決まってんだろうが。ぎゃーぎゃー騒ぐな、おとなしくしてろ』


 ――想像、終わり。




「なんだろね、この頼りがいがありまくるスッチー」


「なんて男らしいっ!」


「不安あおって、安心させて……良いことしてるのか悪いことしてるのか、さっぱりわかりませんねー」


「あー。あのよ、なんか他に普通のねーか。普通の」


 むぅ、テンカ先生自体が普通じゃないのにそんなこと言われても。


「あ、じゃあもう結婚しちゃって奥さんになるってのはどうかしらっ!」


 結婚? 奥さん? 確かに普通だけど……




 ――もしもテンカ先生が、新妻だったら。


「よ、おかえりアンタ。飯か、風呂か、それともオレか?」


 ――想像、終わり。




「ぶははははははは! 可愛いこと言ってるはずなのにオレとか言って可愛くないし!!」


「ちょ、ちょっとカカすけ、いくら似合わないからって、笑っちゃかわいそ……ぷふははっ」


 思わず爆笑してしまった私たち。さすがにちょっと悪いことしたかなーとテンカ先生を見ると……はて、なにやら遠い目をしてらっしゃるのは一体なぜでしょう?


「ん、そうだよなぁ。似合わねぇよなぁ……はは」


「テンカせんせー?」


「あ、あのっ、もしかして怒りました?」


「あん? 怒りゃしねーよ。てめぇらの言うとおり、そんなもん似合わないのは事実だからな。オレはそんな自分が好きなんだし。さんきゅ」


 清々しくニカッと笑い、テンカ先生は「じゃな」と軽く手を振って教室から出ていった。


「……なんだったんだろう」


「さぁ、ってあれ? サエすけは」


 あら、いない。いつの間に?


 どこいったんだろう。


 というわけで、新たなテンカ先生をお見せしてみました。

 ただでさえ人気あるのになーと思いつつ、まぁその人気に免じてテンカ先生率がちょっと上がる予定です。カカラジでも言いましたけどね。

 

 それにしても前回の問題。おじいちゃんは大抵の人が正解でした。

 ですがタクヤ君、意外とわからないみたいですね笑 一回しか登場してないけど名前あるからわかるかなーと思ったのですが……ま、わからなくても別に笑

 

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